□ H11年04月期 A-02  Code:[HA0303] : 平行平板コンデンサの両極に±Qの電荷を与えた時の極板間の電界強度計算
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2022年
12/31 12月期問題頁掲載
09/01 08月期問題頁掲載
05/14 04月期問題頁掲載
H1104A02 Counter
無線工学 > 1アマ > H11年04月期 > A-02
A-02 図に示すように、真空中に置いた面積S [m2]の2枚の同じ平行板導体に、それぞれ+Q [C]及び−Q [C]の電荷を与えたとき、平行板導体間の電界の強さEを表す式として、正しいものを下の番号から選べ。ただし、真空中の誘電率をε0 [F/m]とする。
E=S/(ε0Q) [V/m]
E=ε0S/Q [V/m]
E=Q/(ε0S) [V/m]
E=SQ/ε0 [V/m]
E=ε0/(SQ) [V/m]
問題図 H1104A02a
Fig.H1104A02a

 平行平板コンデンサ内の電界の様子を調べる問題です。コンデンサの容量の公式は暗記していても、誘電体内の電界の様子までは即答できないのではないでしょうか? でも、実は非常にシンプルです。

[1]平行平板コンデンサ内部の電界を解析する

 平行平板コンデンサの極板間には、一様な電界が生じているものとします。(現実の世界では一様ではありませんが…。)
 その電界強度E [V/m]は、電極間にかかる電圧をV [V]、電極間の距離をd [m]とすると、
 E=V/d …(1)
で表されます。Vは問題の中では示されていませんから、自分で求めなくてはなりません。コンデンサの静電容量をC [F]とすると、
 Q=CV …(2)
また、Cも問題文中には示されていませんから、自分で求めます。極板面積がS [m2]、極板間距離がd [m]の平行平板コンデンサの容量C [F]は、
 C=ε0・(S/d) …(3)
Fig.HA0303_a コンデンサ内の電界
Fig.HA0303_a
コンデンサ内の電界
 問題の中で与えられているのは、ε0とS,Qだけですから、(1)〜(3)の式からそれ以外のdやVを消去すれば求まるはずです。順番にやっていくと、まず、(3)を(2)に代入してCを消去します。
 Q=(ε0SV)/d …(4)
 ∴ d=(ε0SV)/Q …(5)
(5)を(1)に代入して、
 E=V/[(ε0SV)/Q]=Q/(ε0S) …(6)
となります。

[2]接続を切って極板間距離を広げたら

 この結果をちょっと考察してみます。電界強度の式(6)にはdが出てきません。これは、極板面積Sも蓄積電荷Qも一定ならば、電界強度は極板間の距離dには依らないことを意味しています。
 ということは、例えば極板間距離がd0の時に電圧V0で充電しておき、その後、コンデンサには何も接続せず(←Qを一定にするため)に極板間をd1に広げた(d0<d1)としても、電極間の電界強度Eは変わらない、ということです。この時、電位差はV1(V1>V0)に上昇します。直感的にはちょっと不思議な気もします。
 しかし、これにはきちんと理由がつけられます。極板同士は逆符号の電荷を持っているので、静電力で引き合っています。極板間距離を大きくする、ということは、外から力を加えて静電引力に打ち勝って引き離すわけですから、この力が極板に対して「仕事をする」、すなわち極板にエネルギーを与えることになります。その与えられたエネルギー分だけ、(電荷量は不変なのに)コンデンサ両端の電圧が上昇する、ということなのです。

それでは解答に移ります。
 この問題で問われているのは(6)式そのものですので、正解はになります。