□ H11年04月期 A-14  Code:[HE0701] : AMとSSB通信方式の比較
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更新履歴
2022年
05/14 04月期問題頁掲載
01/11 12月期問題頁掲載
2021年
10/17 09月期問題頁掲載
H1104A14 Counter
無線工学 > 1アマ > H11年04月期 > A-14
A-14 次の記述は、SSB(A3J)通信方式をDSB(A3)通信方式と比較したときの特徴について述べたものである。このうち誤っているものを下の番号から選べ。
100パーセント変調したDSB波の電力とSSB波の電力を比較したとき、SSB波の電力は1/2でよい。
搬送波が抑圧され、また、送信するときだけ電波が発射されるので、他の通信に与える混信が軽減できる。
信号対雑音比(S/N)が改善される。
選択性フェージングの影響が少ない。
片側の側波帯だけを利用するから、占有周波数帯幅はDSBのほぼ1/2となり、周波数利用効率が高い。

 約30年前、電話級の講習会で記述式の問題を解いた時、SSBのAMに比べたメリットは理屈も分からず丸暗記でした。もう一度、「1アマらしく」定量的にその利点を整理してみましょう。
(ここで、AMとは全搬送波振幅変調:A3E、SSBとは抑圧搬送波単一側波帯:J3Eを指すものとします。)

[1]AMとSSBの電力比較

 AMでは、搬送波は情報を送っていません情報は側波帯に含まれ、側波帯は片側でも情報が伝送可能です。SSBは搬送波がなく、側波帯も片側だけなので、同じ情報を伝えるのに、電力が少なくて済みます。このことを定量的に見てみましょう。(搬送波電力と変調度を与えてトータル電力を与える問題、あるいは変調時の電力と無変調時の電力から変調度を求める問題がよく出ています。)
 変調度をm(0≦m≦1)、無変調時の平均電力(=AMの搬送波の出力)をPcとします。このとき、側波帯の電力を上側、下側でそれぞれPU, PLとすると、AM変調波の電力PTは、
 PU=PL=(m2/4)Pc …(1)
なので、
 PT=Pc+PU+PL
   =(1+m2/2)Pc …(2)
Fig.HE0701_a SSBとAMの帯域・電力の比較
Fig.HE0701_a
SSBとAMの帯域・電力の比較
となります。今、m=1 (100%変調)だとすると、(1)と(2)から、PU=Pc/4, PT=(3/2)Pcとなりますから、PT/PU=6です。上に述べたように、振幅変調では、情報を送るのに必要なのは、どちらか一方の側波帯だけですから、相手に同じ強さの「情報信号」を送るために必要な電力は、SSBがAMの1/6で済む、ということです。変調度が100%より小さい時は、もっとSSBの方が有利になります。

[2]その他AMとSSBの比較 占有周波数帯幅、S/N、フェージング…

 電力も含む、AMとSSBを様々な観点から比較してみました。
搬送波の周波数をfc、音声で変調する場合の周波数帯域を0〜fs、とします。
着眼点 AM SSB
占有
周波数帯幅
発射電波の周波数域=fc±fs
周波数幅としては2fs
発射電波の周波数域=fc〜fc+fs(USB)。周波数幅としてはfs。すなわち、AMの半分で済む
無変調時の
空中線電力
c 0 情報伝送がない状態で電力もゼロ=効率がよい。
変調度m時の
空中線電力
(1+m2/2)Pc
m=1(100%変調)の時は3Pc/2
(m2/4)Pc
m=1(100%変調)でもPc/4で、AMの1/6。(上記[1]の通り)
受信側の
S/N
受信ノイズ電力を1とする 占有周波数帯幅が半分なので、AMでの受信ノイズ電力の約1/2
選択性
フェージング
の影響
両側の側帯波のどちらかがフェージングの影響を受ければ、了解度、信号強度が変化する。 AMに比べて、占有周波数帯幅が半分なので、選択性フェージングの影響を受ける確率も1/2
他に与える
混信の影響
占有周波数帯幅が広く、搬送波が常時出ているので、SSB方式に比べ影響が大。 AMに比べて、占有周波数帯幅が半分で搬送波もないので、他の通信に影響を与えにく
回路の構成 変調・復調ともに比較的単純 AM変調に比べて複雑。変・復調のために局部発振器が必要
 

それでは、解答に移ります。
 …100%変調時の電力はAMに対してSSBが1/6ですから、この文は誤りです
 …SSBの搬送波は出ていませんから、他局に与える混信も軽減されます
 …帯域が半分で、受信側のフィルタを狭帯域にでき、ノイズが減少します
 …帯域が半分で、選択性フェージングを受ける確率も単純に半分です
 …帯域が半分で、周波数利用効率はAMの2倍です
となりますから、正解(誤った記述)はと分かります。

 ところで、この問題には問題文には書かれていない比較の前提条件に曖昧な部分があり、解答に迷うところもあります。例えば、の文章で「送信するときだけ電波が発射される」という表現も、SSBで交信したことのある方ならお分かりかと思いますが、マイクのPTTを押した(送信モードに切替った)だけでは、電波は出ません。正確には「音声信号がある場合」とでもしなければならないと思います。
 「方式利得」などもっと定量的な比較は、プロの資格の範囲になります。いずれ、解説してみたいと考えています。