□ H11年04月期 B-03  Code:[HH0501] : 1/4λホイップアンテナの特性(指向性・インピーダンス・電流分布)・動作
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2022年
12/31 12月期問題頁掲載
09/01 08月期問題頁掲載
05/14 04月期問題頁掲載
H1104B03 Counter
無線工学 > 1アマ > H11年04月期 > B-03
B-03 次の記述は、1/4波長ホイップアンテナの電気的特性について述べたものである。このうち正しいものを1、誤っているものを2として解答せよ。
入力インピーダンスは約36 [Ω]である。
水平偏波用である。
1/4波長垂直接地アンテナとして動作する。
水平面内の指向性は無指向性である。
垂直面内の指向性は単方向性である。

 ホイップアンテナは、モービルで使われるなど、アマチュアでも良く見かけるものです。その基本は、λ/4垂直接地アンテナですので、まずはこのアンテナの特性を掴んでから問題に取りかかります。
 なお、問題文中では、単に「ホイップアンテナ」とあるだけ で水平か垂直かは記述がありません。ここでは、一般的に用いられる、垂直型であるものとして解説します。

[1]1/4波長垂直接地アンテナとは

 まずは、1/4波長垂直接地アンテナの全体像を掴みます。

1/4波長垂直接地アンテナ(Fig.HH0501_a)
項 目 特  性
構造・動作原理 給電線(不平衡)にλ/4のエレメントを接続、片側は接地。接地側が電気影像として動作するので、λ/2ダイポールの半分の長さ(高さ)で済む
指向性・偏波面 指向性:水平面内=無指向性 垂直面内=半円形
偏波面:垂直
インピーダンス 36 [Ω] (λ/2ダイポールの半分)
利得・実効長(高) 利得:λ/2ダイポールとほぼ同じ 実効高λ/2π [m]
電流分布 給電部が電流最大で末端に行くほど正弦的に減少する分布。先端では原理的にゼロ
周波数帯域 共振周波数を中心とする、狭い帯域
特徴・用途等  モービルホイップ等のホイップアンテナもこのλ/4垂直接地アンテナの仲間。自動車の場合は車体が大地とのカウンターポイズ(容量接地)となる。中波放送局などで巨大な鉄塔としっかりした接地で給電しているのもこれ。厳密には容量環(キャパシティハット)が付いていたり、フェージング防止のためにエレメントの長さを変えたりで、正確にλ/4ではないことが多い。アマチュアでは、「バーチカルアンテナ」としても使用
 早い話が、λ/2ダイポールアンテナを縦にして、地面に近い側を接地して電気影像を利用してしまえば、全長がλ/4で済んでしまうではないか、という発想のアンテナです。
 従って、特性もλ/2ダイポールに似ている、と言いたいところですが、片側を接地しているために、インピーダンスが約半分の36 [Ω]になり、(垂直面内)指向性もダイポールの8の字を半分に切ったようになります。また、接地抵抗が十分低くないと効率が低下しますし、利得も半分なので、あまり有利ではありません。

Fig.HH0501_a 垂直系無指向性アンテナの構造と動作
Fig.HH0501_a
垂直系無指向性アンテナの構造と動作

[2]ホイップアンテナ・グランドプレーンアンテナ

 λ/4垂直接地アンテナとホイップアンテナは、呼び方が違うだけ、といったら怒られるかもしれませんが、動作原理は同じです。ただ、モービルなどの場合は良好な接地が取れませんから、ボディをカウンターポイズとして用います
 その他の、電流分布や(理想的な場合の)インピーダンスは同じです。

 ついでに、似たようなアンテナのグランドプレーンアンテナを簡単に見ておきます。
 グランドプレーンアンテナは、Fig.HH0501_aの右のようにλ/4のエレメントと、接地の代わりにλ/4の「ラジアル」と呼ばれる接地線をエレメントと直角に四方に張ったものです。これなら接地は不要ですが、このアンテナを建てようと思ったら、「敷地面積」はλ/2四方のスペースが要るので、垂直アンテナにしたご利益がありません。実際にはラジアルをコイルで短縮したりして使用します。

それでは、解答に移ります。
 …インピーダンスはλ/2ダイポールの約半分で36 [Ω]で1正しい
 …ホイップアンテナは立てて使い、垂直偏波なので2誤り
 …ホイップアンテナと垂直接地アンテナは動作原理が同じなので1正しい
 …ホイップアンテナの水平面内指向性は無指向性なので1正しい
 …ホイップアンテナの垂直面内指向性は8の字の上半分なので2誤り
となります。