□ H12年08月期 A-20  Code:[HH0801] : 送信電力を増加させた時に受信点での電界強度が増加する割合のデシベル計算
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2019年
12/18 12月期問題頁掲載
09/02 08月期問題頁掲載
04/13 04月期問題頁掲載
H1208A20 Counter
無線工学 > 1アマ > H12年08月期 > A-20
A-20 送信アンテナの放射電力を10 [W]から200 [W]に増加させたとき、受信点における電界強度が増加した割合として、正しいものを下の番号から選べ。ただし、log102=0.3とする。
 4.5 [dB]  13 [dB]  20 [dB]  26 [dB]  46 [dB]

 この問題は、一見アンテナの問題のようですが、10 [W]の入力電力を200 [W]に増幅するパワーアンプのゲインは何 [dB]でしょう?という問題と全く同じです。

[1]デシベル計算の「ミソ」 その1…対数計算

 上に書いたように、この問題はアンテナの問題ではなく(では何故私はアンテナ・給電線の分類に入れているか…は自分でも謎です)、単純なデシベル計算の問題です。送信側で増加させた電力が、そのまま受信側でも増加するわけです。
 そんなの知ってるよ、と言われることを承知で、デシベル計算に必要な対数の計算公式を復習しておきます。
 ミソ1 log=log+log …(1)
 ミソ2 log(/)=log−log …(2)
 ミソ3 loglog …(3)
他にもいろいろありますが、基本的にはこの3つがあれば問題を解くのに不自由はしないと思います。
 また、記憶しておくと便利な値として、log102≒0.3やlog103≒0.477があります。もちろん、log101=0, log1010=1です。

[2]デシベル計算の「ミソ」 その2…電圧?電力?

 公式は数学の教科書に出てくるだけですが、電気関係でデシベルを扱う時、もう一つ悩むのが、以下のことではないでしょうか?
  電圧or電流表記のデシベル … 20logx
  電力表記のデシベル … 10logx
まず、そもそもこのlogの前の係数10と20は何の違いから来ているのでしょうか? (ちなみに、10や20をかけるのは、logの値そのままだと小数点以下の桁を扱うことが多くなり、不便だから、ということのようです。)

[dB]は比を表す
 まず、デシベル(対数)という概念が、電圧や電力の絶対値よりもそれらの「比」に着目した量であることを思い出して下さい。つまり、上のxは何かの比率である、ということです。電界強度では1 [μV]を基準にした[dBμ]という単位が用いられますし、電力では、1 [mW]を基準とした[dBm]という単位が一般に用いられます。例えば、
 1 [μV]=0 [dBμ] → 1 [V]=1000000 [μV]=120 [dBμ]
 1 [mW]=0 [dBm] → 1 [W]=1000 [mW]=30 [dBm]
となるわけです。

電圧・電流は1次の量、電力は2次の量
 次に必要な知識は、電圧E [V]や電流I [A]は一次の量であるのに対して、電力P[W]は二次の量である、ということです。これは、あくまでこの3つの量の間での話です。ところで、一次の量、二次の量って何でしょうか?
 オームの法則で、抵抗をR [Ω]とすると、
 P=E2/R …(1)
  =I2R …(2)
  =IE …(3)
でした。よく見ると、PはEやIを二回掛けたものになっています。ということは、電圧(または電流)が2倍になれば電力は4倍(電力が4倍になれば電圧電流は2倍)になる、という関係があって、PはEやIよりも「次数が高い」といえます。
 従って、電圧や電流と電力を同じデシベル値で表記するには、工夫が必要で、その工夫が係数の10と20というわけです。これでもまだ抽象的です(書いている本人がそう思う)ので、具体例でやってみましょう。
 あるインピーダンス(一定値Z[Ω])を持つ回路に、起電力電圧E1 [V]の定電圧電源を接続しました。この時、Zで消費される電力P1 [W]は、
 P1=E12/Z …(4)
となります。次に、電圧がN倍のE2(=NE1)[V]になったとしましょう。すると、そのときの電力の値P2 [W]は、
 P2=E22/Z 
   =(NE1)2/Z=N21…(5)
となります。電圧や電力の比較の基準値をそれぞれP1, E1に取ると(以下、log10は単にlogと表記します)、
 電力比:log(P2/P1)=logN2=2logN …(6)
 電圧比:log(E2/E1)=logN …(7)
となって、電力比の対数は電圧比の対数の2倍の値になります。このように、電圧が増加(減少)して電力が増加(減少)した、という一つの物理現象の捉え方が、対数を取っただけで2倍異なって表記されるのは、混乱の元です。なので、デシベルに表記した時に、同じ物理現象が同じ数値で表されるように、電力の対数値(6)にAを掛けるなら、電圧値(7)(電流で考えても同じです)には2Aを掛ければいいわけです。
 このような理由で、A=10として、
 電力比 [dB]=10log(ある電力/基準電力)
 電圧比 [dB]=20log(ある電圧/基準電圧) 電流比も同じ
と表記するのです。

それでは、解答に移ります。
 電力比で、10 [W]から200 [W]に増加したのですから、真数で20倍です。これをデシベル値に直せば、
 10log(200/10)=10log20=10(log10+log2)=10(1+0.3)=13 [dB]
となりますから、正解はと分かります。
 下線部分の式の変形では、「ミソ1」((1)式)を使っています。
 送信側の電力の変化が、受信側の電界強度(=電圧)の変化と、きちんと対応しているのか?という疑問もあります。実際の電波伝搬ではいろいろな要因があって、正確に対応しないでしょうが、ここではそういう議論ではなくて、自由空間中で理想的な伝搬を考えます。
 電力がN倍になる、ということは、電界強度は√N倍になる、ということでした。この問題ではN=20なので、電界強度は√20倍になるはずです。デシベルで考えると、電力で13 [dB]の増加が電圧での13 [dB]の増加だ、といっているので、電圧が10(13/20)倍になった、ということです。電卓でこの値と√20を比較してみて下さい。ほぼ同じになるはずです。