□ H12年08月期 A-25  Code:[HJ0301] : 電流計と電圧計を含む測定回路で、回路内部の抵抗で消費される電力の計算
インデックス
検索サイトから来た方は…
無線工学の基礎 トップ

以下をクリックすると、元のページが行き先に飛び、このウインドウは閉じます

 ■ 無線工学を学ぶ
 (1) 無線工学の基礎 
 年度別出題一覧
  H11年 4月期,8月期,12月期
  H12年 4月期,8月期,12月期
  H13年 4月期,8月期,12月期
  H14年 4月期,8月期,12月期
  H15年 4月期,8月期,12月期
  H16年 4月期,8月期,12月期
  H17年 4月期,8月期,12月期
  H18年 4月期,8月期,12月期
  H19年 4月期,8月期,12月期
  H20年 4月期,8月期,12月期
  H21年 4月期,8月期,12月期
  H22年 4月期,8月期,12月期
  H23年 4月期,8月期,12月期
  H24年 4月期,8月期,12月期
  H25年 4月期,8月期,12月期
  H26年 4月期,8月期,12月期
  H27年 4月期,8月期,12月期
  H28年 4月期,8月期,12月期
  H29年 4月期,8月期,12月期
  H30年 4月期,8月期,12月期
  R01年 4月期,8月期,12月期
  R02年 4月期,9月期,12月期
  R03年 4月期,9月期,12月期
  R04年 4月期,8月期,12月期
 分野別出題一覧
  A 電気物理, B 電気回路
  C 能動素子, D 電子回路
  E 送信機, F 受信機
  G 電源, H アンテナ&給電線
  I 電波伝搬, J 計測

 ■ サイトポリシー
 ■ サイトマップ[1ama]
 ■ リンクと資料

 ■ メールは下記まで



更新履歴
2022年
12/31 12月期問題頁掲載
09/01 08月期問題頁掲載
05/14 04月期問題頁掲載
H1208A25 Counter
無線工学 > 1アマ > H12年08月期 > A-25
A-25 図に示す測定回路において、電流計の指示値をI [A]、電圧計の指示値をE [V]及び電圧計の内部抵抗をr [Ω]としたとき、抵抗R [Ω]の消費電力P [W]を表す式として、正しいものを下の番号から選べ。
P=EI+I2r−E2/r
P=EI+I2
P=EI−I2
P=EI−E2/r
P=EI+E2/r
問題図 H1208A25a
Fig.H1208A25a

 計測の問題ですが、ほとんどオームの法則で解けてしまいます。ミソは電流計や電圧計を簡単な部品に置き換えてしまうことです。

[1]電圧計が単なる抵抗だと考えれば…

 この問題を解きにかかる前に、電流計だの電圧計だのは中身が分からないと面倒ですから、Fig.HJ0301_aのように、単純化してしまいます。
Fig.HJ0301_a 単純化した回路モデル
Fig.HJ0301_a
単純化した回路モデル
 この問題文では、電圧計の内部抵抗については記述がありますが、電流計の内部抵抗について何も書かれていません。実は、着目しているのがノードa−b間の消費電力なので、電流計の内部抵抗は考える必要がありません。電圧計と抵抗Rに流れる電流の合計が、電流計の読みであり、抵抗Rの両端にかかる電圧が、電圧計の読みです。なので、抵抗と電圧計で消費される電力を計算するのに、電流計の内部抵抗は計算に出てこないのです。
 単純に電流計は0 [Ω]の抵抗である、という風にしてしまいます。また、電圧計も、r [Ω]の抵抗である、としてしまいます。
 これで、この問題は、「ノードa−b間にかかる電圧がE [V]で、2本の抵抗に流れる電流の合計がI [A]である時、R [Ω]の抵抗で消費される電力を求めよ」という問題に化けてしまいました。

[2]シンプルな解き方とこの問題の意味

 この2本の抵抗には電圧E [V]がかかっていて、電流が合計でI [A]流れているのですから、2本の抵抗で消費する電力PAllは、
 PAll=EI [W] …(1)
です。一方、r [Ω]で消費される電力Prは、
 Pr=E2/r [W] …(2)
となります。ここまでは、簡単に計算できます。求めようとするRの抵抗で消費される電力PRは、全消費電力PAllからrで消費される電力Prを引いたものですから、
 PR=PAll−Pr
   =EI−E2/r [W] …(3)
と求められます。
 この問題は、単なる計算問題ではなくて、出題者の意図としては、電圧計の内部抵抗と誤差の関係に気づいて欲しい、というところがあると思います。それは、(3)式を見ると分かります。
 もし、電圧計が高性能で内部抵抗rが理想的(無限大)と仮定すると、−E2/r=0となりますから、PR=EIとなって、負荷で消費される電力は、電圧計の読みと電流計の読みの積そのもので求められます。
 しかし、実際にはrは無限大ではないので、その分が誤差の項−E2/rとなって現れます。しかも、この誤差は内部抵抗rが小さいほど大きく、また電圧の2乗に比例するので、特に小さな電力(ことに高電圧、微小電流)を扱う回路では無視できないのです。

それでは、解答に移ります。
 計算の結果、(3)式から、PR=EI−E2/rとなりますから、正解はと分かります。