□ H13年08月期 A-19  Code:[HH0703] : 送信アンテナの利得の評価方法と利得の種類(絶対・相対)
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2019年
12/18 12月期問題頁掲載
09/02 08月期問題頁掲載
04/13 04月期問題頁掲載
H1308A19 Counter
無線工学 > 1アマ > H13年08月期 > A-19
A-19 次の記述は、送信アンテナの利得について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。
送信アンテナの利得は、基準アンテナと供試アンテナの最大放射方向において、それぞれのアンテナから同一距離における[A]を等しくしたとき、基準アンテナの入力電力PO [W]と供試アンテナの入力電力P [W]との比 P0/Pで表される。この利得をデシベル表示すると、[B] [dB]となる。基準アンテナとして、等方性アンテナを用いた場合を、[C]利得といい、半波長ダイポールアンテナを用いた場合を、[D]利得という。


受信電力 20log10(PO/P) 絶対 相対
電界強度 20log10(PO/P) 相対 絶対
受信電力 10log10(PO/P) 相対 絶対
電界強度 10log10(PO/P) 絶対 相対
送信電力 10log10(PO/P) 相対 絶対

 送信アンテナの利得の定義そのものが問題になっています。初めて読むとよく分かりません。別の方法で定義しても値は同じですし、その方が我々アマチュアにとってなじみやすいからです。

[1]送信アンテナの利得の定義

 アンテナには様々な形状がありますが、その利得を定義する方法は決まっています。
  • 基準となるアンテナを決める
    基準となるアンテナは何でもいいわけですが、ベーシックなアンテナの方が、利得の値が汎用的に使えます。通常、全立体角に一様な電波を放射する「等方(アイソトロピック)」アンテナか「半波長ダイポール」アンテナを用います。
  • 両者の電界強度が同じになる電力を評価する
    まず、基準アンテナにある電力0を供給し、その最大放射方向で自由空間中、一定距離だけ離れた点Aで電界強度を測定します。その値がE0だったとします。
    次に、評価したいアンテナの最大放射方向、同じA点における電界強度を測定し、その値が0になるように電力を調整します。その電力がだとします。
  • 利得を計算する
    利得Gは真数では0/Pデシベルでは、10log(P0/P)となる。
 実際には、この世に完全な自由空間は存在しませんし、基準アンテナの利得は簡単な計算(アイソトロピックの場合)やシミュレーション(半波長ダイポールの場合)で求められますので実測することはないと思いますが、原理としてはこうなっています。
 難しく書きましたが、要するに、基準アンテナと評価したいアンテナで、電界強度が同じになるようにした時の、必要な電力の比率が利得、というわけです。
 でも、アマチュアの場合は相手までの距離が一定なわけではないので、受信側の電界強度を一定にするなんていうことはせずに、送信側は一定の電力で運用して、どこまで遠くに飛ぶか、あるいはどれだけ信号が強くなるか、で議論します。
 そこで、次のような定義だったらどうでしょう?

 基準アンテナと評価したいアンテナに同じだけの電力Pを供給し、ある距離離れた点Bでのそれぞれの場合の電界強度E0,Eによって、G=20log(E/E0)とする

 実はこれでも、先に挙げた定義と同じ値になります。(本当に同じ値になるか証明しろ、と言われると私もできないのですが、こういう定義も可能だそうです。)でも、これは試験に出ない(一般的な定義ではない)ので、雑談にとどめておきます。

[2]もう一つの定義−相対利得と絶対利得

 アンテナの利得の基準には、上で書いたように2種類の表記があります。相対利得と絶対利得は、基準をどのアンテナに取るかの違いだけ…ということです。
 一つはこの世に実在しない仮想のアンテナ「等方(アイソトロピック)アンテナ」ともう一つが(これは実在の)λ/2ダイポールアンテナです。
 アイソトロピックアンテナは、どの方向にも満遍なく電波を放射すると仮定したアンテナであることは上に述べましたが、一方、λ/2ダイポールは8の字特性を持ちます(Fig.HH0703_a)から、等方的ではなく、アイソトロピックアンテナより高い利得を持ちます。8の字になっている分だけサイドの方向のゲインが減っていますから、最大放射方向の利得はアイソトロピックより上がっているわけです。
Fig.HH0703_a アンテナの絶対利得と相対利得
Fig.HH0703_a
アンテナの絶対利得と相対利得
 このように、
 ・アイソトロピックアンテナを基準にした利得を絶対利得
 ・λ/2ダイポールを基準にした利得を相対利得
といいます。表記は、絶対利得が[dBi](「でーびーあい」と読むようです)、相対利得が単に[dB](デシベル)又は[dBd](「でーびーでー」と読むようです)ですが、[dBd]はほとんど見たことがありません。
 ところで、アイソトロピックアンテナを基準にして、λ/2ダイポールアンテナを測定すると、利得はいくらになるでしょうか? これも計算で出せて、約 2.15 [dBi](真数では約1.64倍)となります。アンテナのカタログなどで、利得が相対利得で表記されているのか、絶対利得で表記されているのかで、2.15 [dB]の差が出ます同じアンテナで絶対利得表記の方が2.15 [dB]大きく見える、ということですが、かなり大きい値です。メーカーによって表記が違うこともありますから、単位を良く見て、勘違いしないようにしましょう。

それでは、解答に移ります。
 …送信アンテナの利得は、電界強度が同じになるように評価します
 …電力比ですからlogの係数は10で、10log10(P0/P)で表されます
 …等方性アンテナを基準に表記した利得は絶対利得です
 …半波長ダイポールアンテナを基準に表記した利得は相対利得です
となりますから、正解はと分かります。