□ H13年12月期 A-04  Code:[HB0201] : 正弦波交流の波形グラフと実効値・平均値周波数の読取り
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2022年
12/31 12月期問題頁掲載
09/01 08月期問題頁掲載
05/14 04月期問題頁掲載
H1312A04 Counter
無線工学 > 1アマ > H13年12月期 > A-04
A-04 図に示す正弦波交流において、実効値Vef 、平均値(絶対値の平均値) Vav 及び繰り返し周波数fの値の最も近い組合せを下の番号から選べ。

ef av
7.6 [V] 8.5 [V] 125 [Hz]
7.6 [V] 6.0 [V] 250 [Hz]
8.5 [V] 7.6 [V] 250 [Hz]
8.5 [V] 9.4 [V] 500 [Hz]
9.6 [V] 8.5 [V] 500 [Hz]
問題図 H1312A04a
Fig.H1312A04a

 直流と違って、交流は電圧や電流が時間的に変化しますから、表現の仕方が複雑です。この問題では、電圧の表記について調べます。

[1](正弦波)交流の特性値と振幅

 周期的な波形(特に正弦波)についてこれを表現するためには、簡単に言うと(1) 振幅、(2) 周波数、(3) 位相の3つの要素が必要です。正弦波ではない交流については、波形そのものも重要な情報です。ここでは交流の基本である、正弦波について考えます
 ここでは、最も基本的な要素である(1)の振幅についてもいろいろな表現があるので、それについて考えて行きましょう。

[2]波形に着目した振幅の表現…最大値と平均値

 まずは、波形をオシロスコープ等で観測した時に、その形から分かる振幅を調べます。目で見て直感的に理解できるので、難しくないと思います。
Fig.HB0201_a 交流電圧の表現形式
Fig.HB0201_a
交流電圧の表現形式
1) 最大値
 まず、最大値Vmについてですが、これは波形を観測して最も分かりやすいもので、波形の振幅が最も大きくなる点の電圧です。

2) 平均値
 これも割と理解しやすいです。正弦波交流の半周期を波形で描くと、Fig.HB0201_aの左上のようになりますが、この「山形」と面積が同じで、時間軸の長さが同じ長方形の高さを、平均値と言います。要するに、波形の山を均して平たくしたら、高さはいくつになるかということです。
 最大値がVm [V]の正弦波は、周波数をf [Hz]、として、ある時刻t [s]の電圧を、
 V(t)=Vmsin(2πft) …(1)
と表すことができます。三角波など直線で囲まれた波形と異なり、正弦波の関数を積分しなければ得られませんが、積分の計算は数学の解説に譲り、ここでは結果だけを書きます。V(t)の平均値VAは、
 VA=2Vm/π …(2)
となります。2/π=0.637ですから、平均値は最大値の6割強、ということになります。これは正弦波での値ですから、他の歪んだ波形では値が異なります

[3]電気エネルギーに着目した振幅表現…実効値

 ここまでは、交流波形から求められる振幅でしたが、電気をエネルギーの流れと捉えて表す振幅もあります。正弦波交流以外でも使えるので、汎用性があり、我々の周囲にはこの値で表現されたものが多いです。
3) 実効値
 実効値は、ある最大電圧の交流(ここでは正弦波交流)の電圧を抵抗にかけた時に消費される電力と、同じ電力を消費させる直流電圧は何Vか、という意味になります。例えば、家庭に来ているAC100 [V]は、実効値で表示されています。ということは、直流でも動作する500 [W]の電熱器を家庭のコンセントに接続した時と、DC100 [V]の電源につないだ時では、同じ500 [W]の電力を消費する、ということです(Fig.HB0201_a下半分)。
 細かい計算は、平均値と同様に、より専門的な書に譲りますが、(1)式の「2乗平均」というものを取ります。2乗を取るのは、電力は電圧(又は電流)の2乗に比例するからです。その結果だけ記すと、実効値VEは、
 VE=Vm/√2 …(3)
となります。1/√2=0.707ですから、実効値は最大値の7割強、ということになります。これも平均値と同様、正弦波での値ですから、他の歪んだ波形では値が異なります。

それでは、解答に移ります。
 まず、簡単な周波数から。問題の図では2周期分の時間が8 [ms]だと言っているので、1周期では4 [ms]です。周波数f [Hz]は周期T [s]の逆数ですから、1/4 [ms]=250 [Hz]となって、が正解であることがわかります。
 次に、実効値を考えます。問題はVmが12 [V]だと言っているので、実効値Vef=12/√2=8.5 [V]となります。従って正解はと分かるわけですが、一応確認のために平均値Vavも求めておきましょう。Vav=2Vm/π=7.6 [V]となりますので、やはりが正解であることがわかります。