□ H13年12月期 A-14  Code:[HE0303] : AM送信機の低電力変調方式の特徴。(変調をかける段・電力増幅段の効率)
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2022年
12/31 12月期問題頁掲載
09/01 08月期問題頁掲載
05/14 04月期問題頁掲載
H1312A14 Counter
無線工学 > 1アマ > H13年12月期 > A-14
A-14 次の記述は、AM(A3)送信機の低電力変調方式について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。
 A3送信機の低電力変調方式は、送信機の[A]で変調を行う方式であり、変調電力は小さいが、[B]は一般に[C]で動作させるので効率が悪くなる。

中間増幅段 電力増幅段 A級又はB級
中間増幅段 電力増幅段 C級
電力増幅段 中間増幅段 A級又はB級
電力増幅段 中間増幅段 B級又はC級
電力増幅段 中間増幅段 C級

 AMはアマチュアではあまり用いられなくなって久しいですが、変調方式の基本として知っておくべきことが多いです。これを分かっておかないと、SSBやFMでつまづいてしまいます。ここではまず、変調を掛けるときの電力についての2方式を見て行きます。

[1]AMの変調方式−低電力変調と高電力変調

 振幅変調は、振幅が一定の搬送波を信号波に比例した振幅に変化させる変調方法ですが、その方法には、送信機のどの段で変調をかけるかによって、2種類の方式があります。
Fig.HE0303_a 低電力・高電力変調の送信機構成
Fig.HE0303_a
低電力・高電力変調の送信機構成
 その2種類がどんな構成なのかを理解するために、Fig.HE0303_aを見て下さい。
(1) 低電力変調の構成
 まず、Fig.HE0303_a上は励振段以前で変調を掛ける低電力変調と呼ばれる方式です。励振段以前といっても発振器の直後のバッファ段や周波数逓倍段がある場合はそれ以前のところでは変調を掛けません。通常は励振段で掛けます。
(2) 高電力変調の構成
 Fig.HE0303_a下は電力増幅段で変調を掛ける高電力変調と呼ばれる方式です。後で述べますが、この方式は変調する側(信号波)にも大電力が必要です。

[2]低電力変調と高電力変調の比較

 この2つの変調方式を、様々な観点から比較してみましょう。
  • 変調に要する電力
     変調器に入力するのは搬送波と信号波ですが、ここで議論するのは、信号波の電力です。名前の由来となっているように、低電力変調は少ない電力で変調でき、高電力変調は大きな電力を必要とします。考えてみれば当然といえば当然で、励振段では制御すべき搬送波電力も小さいので、信号波も小さくて済みますが、電力増幅段では大きな搬送波を大きな信号波で変調してやらなければ、十分な変調度が得られません。

  • 各方式の電力効率
     電力効率という観点から考えましょう。まず、高電力変調は、搬送波の側は全ての段で効率の高いC級増幅が使用可能です。終段の電力増幅段においてもC級が使えるため高効率で、大電力を扱う中波放送は、基本的にこの方式です。なぜひずみの多いC級が使えるかはこの後でご説明します。
     次に、低電力変調は、変調器以降はひずみの少ないA級またはAB級増幅が必要となります。簡単にいうと「変調器とは歪み発生器」ですから、そこで発生したAM波=ひずみ波です。これに、後段で新たなひずみが加わってしまうと、最初の変調で得られた情報が崩れてしまうので、後段には大きなひずみが発生するC級増幅を持ってくることはできません
     従って、高電力変調の方が信号波を大きくする必要はありますが、電力効率は高く、大電力向きです。
     一方、低電力変調は出力段にC級を持ってくることができませんので、効率は高電力変調よりも低くなります。

  • 回路の重量・大きさ・規模
     これは明らかに各部品が小型で済む低電力変調に軍配です。大電力を扱う高電力変調器は、信号波側の増幅器も大電力が必要で大型化しますし、変調器に用いるトランスにしても大電力に耐えるものでなければなりません。回路の複雑さは、高電力変調の方が単純です。

 表にまとめるとこんな感じになります。

変調電力 電力効率 重量・大きさ 回路規模
低電力変調 小さい 低い 小型軽量 やや複雑
高電力変調
大きい 高い 大型重量大 単純
 

それでは、解答に移ります。
 …低電力変調では電力増幅以前で変調なので、ここは中間増幅段です
 …低電力変調では電力増幅段は…
 …ひずみの少ないA級又はB(ABでも可)級でなければなりません
となりますから、が正解と分かります。