□ H14年04月期 A-20  Code:[HH0507] : ループアンテナの構造・水平面内指向性・実効長
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2019年
12/18 12月期問題頁掲載
09/02 08月期問題頁掲載
04/13 04月期問題頁掲載
H1404A20 Counter
無線工学 > 1アマ > H14年04月期 > A-20
A-20 次のうち、垂直ループアンテナについての記述として、誤っているものを下の番号から選べ。ただし、ループの大きさが電波の波長に比べて十分小さいものとする。
水平面内の指向性は、8字形である。
到来波の方向探知に用いるときは、垂直アンテナと組合せて指向性をカージオイド形にすることが多い。
受信アンテナとして使用する場合、ループ面を電波の到来方向と直角にすると誘起電圧は最大となる。
MF帯において他局からの混信妨害を軽減するため、受信用のアンテナとして用いられることがある。
実効高が正確に計算できるので電界強度の測定用アンテナとして使用される。

 波長に比べて十分サイズの小さいループアンテナは、効率が悪いので送信には用いられませんが、ループの向きを変えることで、混信除去や方向探知ができるので、受信用に用いられます。

[1]ループアンテナの構造と動作

 まず、ループアンテナの概要をまとめます。
項 目 特  性
構造・動作原理 導線を、波長より十分小さなループに巻いたもの。円形ループ・方形ループなど巻く形は様々
指向性・偏波面 (ループ面を地面に垂直にした場合)
指向性:ループ面と同一方向が最大になる8の字
偏波面:垂直
インピーダンス 半径r [m]、巻き数nのループの場合、インピーダンスはr/λの4乗に、nの2乗に比例
利得・実効長(高) 実効高h [m]は、ループ面積A [m2]と巻き数nから、
 h=2πnA/λ [m] と計算で求められる
電流分布 ループが波長に対して小さいものは一様
周波数帯域 広い(帯域の概念がない)
特徴・用途等  波長に対してループ(サイズ)が小さいループアンテナは、アンテナとしての効率は低く、送信用アンテナとしてはあまり用いられない。中波や短波では、指向性があるため雑音電界から逃れる目的や、実効高が計算で求められるため、電界強度を計測する目的で使用される
 特徴をピックアップすると、まず、(波長とアンテナの形状が分かっていれば)実効高が計算で求められる、ということが挙げられます。
 実効高というのはすなわち利得と読み替えても成り立ちますので、アンテナ両端に発生する電圧が分かれば、電界強度が計算で求められる、ということになります。このため、電界強度測定器のピックアップ部分にはループアンテナを用います。
 次に、8の字特性の「切れ込み」を利用した方向探知が可能、という点です。方向探知は、感度が最大になる角度よりもディップする点を見つける方が容易です。
Fig.HH0507_a 微小ループの構造と特性
Fig.HH0507_a
微小ループの構造と特性
 もちろん、半波長ダイポールや、他の指向性アンテナでも、主ローブとサイドローブの間のディップで探知ができないこともありませんが、波長オーダーのアンテナをぐるぐる回すのは、いかにも不便です。その点、ループアンテナなら、大きさを小さくしても信号がディップする角度が変化することはありませんし、ループ面の法線方向が感度最小、という分かりやすい指標があります。ただ、感度ゼロの点が2つもあるので、2方向のどちらか分かりません。
 実際の方向探知は、この後に述べる、垂直アンテナとの位相差でカージオイド形の指向性を作り出す、合成アンテナを用います。

[2]方向探知用アンテナの動作原理

 まず、ループアンテナの動作の基礎として確認しておきたいのは、ループアンテナは「変化する磁界に比例した電圧を発生する」という点です。これに対して、ダイポールアンテナやグランドプレーン等の垂直系アンテナなどは、電界に比例した電圧を発生します。
 このことは、もし、同じ位置にループアンテナとダイポールや垂直アンテナをおいて、両者に発生する電圧を比較すると、位相がπ/2ずれている、ということを意味します。電磁波は(放射源から十分遠方においては)電界と磁界の位相はπ/2ずれているからです。
Fig.HH0507_b 方向探知用アンテナの構造と特性
Fig.HH0507_b
方向探知用アンテナの構造と特性
 では、方向探知(略して「方探」)用のアンテナについて見て行きましょう。方探アンテナとしてとして実用になるには、持ち運べる(せいぜい車に積める程度の)大きさが望ましく、感度のゼロ点が1箇所のみでなければなりません。
 これを、ループアンテナで実現するには、Fig.HH0507_bのようにループアンテナを垂直アンテナと組合せます。ループアンテナの8の字の指向性で、片方の「丸」エリアが正方向の磁界に対して正の電圧を発生させるとすると、もう片方の「丸」エリアは負方向の磁界に対して正の電圧を発生させる仕組みになっています。
 ここで、垂直アンテナの発生電圧の位相をπ/2ずらし(普通は遅延線で遅らせ)ます。こうすると、磁界同士(ループアンテナの方を遅らせれば電界同士)の強度の合成になり、水平面の指向性はループ面に水平な方向に最大値とディップを持つ、カージオイドになります。
 感度のディップ点が一箇所しかないので、このアンテナを回転させれば、どちらから電波が来ているか、迷わず分かる、というわけです。HFなどでは、どんな高価でビームの鋭い八木アンテナでも、感度のピークをぴたりと当てることは至難です。ディップ点も周囲の環境や地上高などで変化しますから、感度最小の点を探す方法もイマイチです。でも、この合成アンテナなら、手に持てる大きさで、方向がぴたりと分かる(ハズ)です。

それでは、解答に移ります。
 …垂直ループの水平面内の指向性は8字形なので正しい
 …方向探知には問題文の記述のようなアンテナを用いるので正しい
 …8字形の最大感度方向はループ面に平行方向なので誤り
 …感度にディップ点があり、MFの妨害回避に用いるのは正しい
 …実効高が計算で出るため、測定用アンテナとして用いられ、正しい
となりますので、正解(誤った記述)はと分かります。