□ H14年08月期 A-15  Code:[HF0105] : 各種通信方式の復調における得失比較
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2019年
04/13 04月期問題頁掲載
2018年
12/09 12月期問題頁掲載
08/16 08月期問題頁掲載
H1408A15 Counter
無線工学 > 1アマ > H14年08月期 > A-15
A-15 次の記述は、各種通信方式の復調について述べたものである。このうち誤っているものを下の番号から選べ。
DSB(A3)方式の包絡線検波回路は、平均値検波回路に比較して検波効率が良い。
SSB(A3J)波の復調には、抑圧された搬送波に相当する周波数を復元するため、復調用局部発振器が用いられる。
FM(F3)受信機に用いられる周波数弁別器は、変調波入力の瞬時周波数と出力の振幅が直線関係にある回路及び直線検波回路の組合せから構成される。
DSB(A3)受信機には、検波ひずみが少なく、復調効率が良好な包絡線検波回路が広く用いられている。
SSB(A3J)受信機において、周波数変換部の局部発振器の発振周波数が変化しても、復調信号の明りょう度は影響されない。

 各種の検波方式とその得失についての比較の問題です。振幅変調で良く用いられる包絡線検波、FMの2同調検波、SSBの復調などについて調べます。

[1]包絡線検波回路と平均値検波回路

 AM変調された信号(以下、AM波)から搬送波(又は中間周波数)成分を取り除き、音声信号を取り出すのがこれらの検波回路の働きです。
 まず、包絡線検波回路ですが、Fig.HF0105_aのような回路です。左側のトランス(+同調回路)の入力にAM波を加えますが、これがなければ、殆どそのまま電源の整流回路です。
 整流回路と異なるのは、電源では取出すのが直流で、脈流は出てきてほしくないので、Cの容量を非常に大きな値にする一方、検波回路で取り出したいのは交流(脈流)なので、Cの容量(とRで組む時定数回路)はあまり大きくしない、という点です。
 逆に、Cを除去してしまう、という回路はあり得て、これは平均値検波回路と呼んでいます。(両者の動作は後述)
Fig.HF0105_a 包絡線検波回路
Fig.HF0105_a
包絡線検波回路
Fig.HF0105_b 包絡線検波と平均値検波
Fig.HF0105_b
包絡線検波と平均値検波
 Fig.HF0105_bは、包絡線検波と平均値検波の違いを図示したものです。
 搬送波周波数(又は中間周波数)をfC、復調したい音声周波数をfSとした時、
 S≪(1/CR)≪fC …(1)
となるようにCとRの値を選べば、検波出力は変調波入力の包絡線に沿って変化し、同図の右上のような波形が得られます。
 一方、Cを零にしてしまうと、変調波入力の上半分の平均値が得られます。正確には、ダイオードが理想的な素子であっても、変調波の振幅の「上半分」が後段の増幅器に送り込まれることになるので、出力は平均値ではありません。
 しかし、後段に配置する音声帯域の増幅器は、搬送波や中間周波の帯域に利得を持たないので、変調波が平均値化される、ということになります。

[2]検波効率

 検波効率は、厳密な定義を言い始めると、検波回路を正確に記述して数式を解かなくてはなりませんが、1アマレベルを超えるので、ここは簡単に検波器の入出力で、
 検波効率=検波出力振幅/変調波入力振幅 …(2)
という定義にしてしまいます。大雑把に言って、検波回路に入力した信号の、どの程度が検波されて出てくるのか、をいうのが検波効率なので、この式で考えて正解を間違えることは(1アマの問題では)ありません。
 こうすると、Fig.HF0105_bからも分かるように、同じ入力振幅であれば、平均値検波出力の方が包絡線検波出力より小さいので、これらの検波回路の比較では、検波効率は包絡線検波回路の方が高いと言えます。

[3]SSB復調

 SSBには搬送波がありません。これを、AMの受信機で聞いてみたことのある方はお分かりかと思いますが、モガモガいっていて、聞き取れません。これを聞き取れるようにするためには、送信時に抑圧されてしまった搬送波を、受信側で作り出してやる必要があります。
 AMの検波(復調)は言い換えると、搬送波という基準信号と側帯波の差周波数を求める、ということなので、基準となる搬送波がないと、音声にならないわけです。
 Fig.HF0105_cはLSBを例にしたSSBの復調のブロック図です。
 周波数変換後に中間周波数増幅された信号は、検波器(リング回路など)で局部発振器で発振した正弦波と混合され、差周波である音声信号が得られます。LSB,USBの切替は、中間周波数に対して局部発振器の周波数が上になるか、下になるかで、決定します。
 この時、中間周波に対して局発の周波数がずれるとどうなるでしょうか? この図では、局発の周波数が250 [Hz]低い方にずれてしまった場合を描いています。
Fig.HF0105_c SSB検波の動作
Fig.HF0105_c
SSB検波の動作
 元々、ずれる前はLSB(赤の山)のピークあたりと局発の周波数差が500 [Hz]だったとします。それが、局発が250 [Hz]低い方にずれたので、差が250 [Hz]になってしまいます。
 これは、復調した音声スペクトル(緑の点線)のピークが500 [Hz]から250 [Hz]にずれることを意味しますから、スペクトルの全体的に低い方にシフトし、人間の音声ならモガモガいって聞き取りづらくなる(明瞭度が下がる)ことを意味します。局発が逆に高い方にずれると、モガモガではなくヘリウムを吸って喋ったような高い声になります。
 AM変調(A3E)波と比較すると、AMでは搬送波とサイドバンドが必ず「ついてくる」ので、検波した時にサイドバンドと搬送波の周波数関係がズレることはあり得ません。なので、変な音声になることはありません。

[5]FM復調回路の構成と特徴

  FMの復調は、「周波数の変化を振幅に変換する」ことです。これには、基本的には同調回路の特性をうまく組み合わせて使います。まず、同調回路(中身は共振回路)の周波数特性を思い出して下さい。ある(直列でも並列でもよい)共振回路に高周波電圧を加えてゆくと、共振周波数において電流が最大又は最小になりました。
 では、周波数を上げて行くor下げて行くその「途中」はどうなっていたでしょうか?
 周波数と共に、電流(又は共振回路を構成する素子の両端の)電圧が周波数と共に変化しませんでしたか? これはまさに「周波数の変化が(電流または電圧の)変化に変換される」というFMの復調そのものの働きではないでしょうか?
 これをうまく利用したのが、同調検波器です。共振回路が1つでもこの効果は認められますが、2つにして共振周波数をずらし、かつ、互いに逆極性の電圧が出るようにしておくと、中心周波数からの変動に対して正負の出力が得られます
Fig.HF0105_d 2同調検波回路
Fig.HF0105_d
2同調検波回路
 この例を、Fig.HF0105_dに示します。
 入力には同調回路1があり、比較的広い周波数範囲で共振します。共振周波数はfcとします。この共振回路のLがトランスを構成し、2次側にもLが磁気的に結合した同調回路が2つあって、それぞれの共振周波数がf1とf2(但し、f1>fc>f2で、f1−fc=fc−f2)となっています。
 共振回路3は、共振回路2に対して逆極性の電圧が発生するように、トランスを工夫しておきます。
 すると、この2つの共振回路を合成した特性は、Fig.HF0105_e右のように、中心周波数fcを中心にした周波数の変化が、電圧の変化となって出力されます。
周波数のシフトが大きくなりすぎると、合成回路の特性は非直線になりますから、最大周波数偏移時でもf2〜f1の中に収まるようにしなければなりません。
 D1, C4, R1やD2, C5, R2は包絡線検波器を構成していますから、出力されるのは低周波成分のみとなります。
Fig.HF0105_e 2同調検波回路の動作
Fig.HF0105_e
2同調検波回路の動作
 FM復調回路にはこの他にもフォスター・シーレー回路等、様々な回路がありますが、基本的には、この回路のように2同調回路のスロープ部分を利用したものの変形版です。

それでは、解答に移ります。
 …包絡線検波の特徴の正しい記述です
 …SSBの復調回路の構成についての正しい記述です
 …FMの周波数弁別器についての正しい記述です
 …包絡線検波の特徴の正しい記述です
 …SSB復調で局発周波数がズレると明瞭度が落ちるので、誤った記述です
となりますから、正解(誤った記述)はと分かります。