□ H14年08月期 A-19  Code:[HH0901] : 半波長ダイポールの元々の長さを調整して、リアクタンス分をゼロにする原理
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2022年
12/31 12月期問題頁掲載
09/01 08月期問題頁掲載
05/14 04月期問題頁掲載
H1408A19 Counter
無線工学 > 1アマ > H14年08月期 > A-19
A-19 次の記述は、半波長ダイポールアンテナの給電点のインピーダンス(入力インピーダンス)について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。
 半波長ダイポールアンテナの給電点のインピーダンスZは、一般に次式で表される。
   Z≒ 73.1 + j42.5 [Ω]
このアンテナの長さを半波長よりやや[A]すると、アンテナエレメント自体のインピーダンスがやや[B]となり、42.5 [Ω]のリアクタンス分を打ち消して、給電点のインピーダンスは[C]とすることができる。このように、アンテナの長さを半波長から少しだけ調節する割合を、アンテナの[D]という。

長く 誘導性 純抵抗 延長率
長く 誘導性 最大 延長率
短く 容量性 最大 短縮率
短く 誘導性 純抵抗 短縮率
短く 容量性 純抵抗 短縮率

 半波長ダイポールアンテナを作る時、エレメント長を正確な半波長よりも少し短く作ります。それはなぜなのかを教えてくれる問題です(以下、給電点は常に中央にあるものとします)。

[1]アンテナのインピーダンスはエレメントの長さで変化する

 半波長ダイポールアンテナは、構造が簡単で、動作時の電流分布も理論的に出せるため、エレメント長を変化させた時にそのインピーダンスがどう変化するかも解析されています。
 一般に、アンテナのインピーダンスZは、電波放射に関わる(=電磁波として空間に放射される抵抗の)実数分R [Ω]と、関わらない虚数部分(=反射波として送信機に戻る)リアクタンス分X [Ω]により、
 Z=R+jX …(1)
と表現できます。何か特別な意図がない限り、アンテナを調整する際にエレメント長を調整するか、アンテナに取りつけたスタブなどの整合回路でXをゼロに打消して、抵抗分のみになるように整合を取ります。

[2]半波長ダイポールアンテナのエレメント長とインピーダンス

 半波長ダイポールアンテナでは、エレメント長を調整して整合を取るのが普通です。では、エレメント長をどのようにしたら、整合が取れるのでしょうか?
 Fig.HH0901_aがエレメント長LによるインピーダンスZの変化を示しています。ここから、この図に沿って説明します。

(1) λ/2より長い L3>λ/2
X>0となります。このような状態を、Zが「誘導性(Inductive)であるといいます。

(2) λ/2より(かなり)短い L1<λ/2
X<0となります。このような状態を、Zが「容量性(Capacitive)であるといいます。

Fig.HH0901_a エレメント長に対するX,Rの変化
Fig.HH0901_a
エレメント長に対するX,Rの変化
(3) λ/2に等しい L0=λ/2
この時もまだX>0であり、誘導性です。この時のZは、
 Z≒ 73.1 + j42.5 [Ω] …(2)
と表されます。

(4) λ/2より少し短い L2=kλ/2
Fig.HH0901_aの右のグラフを見ると、X=0となるようなkはほぼ0.95程度で、このkを短縮率といいます。

 このグラフから読めるのは、エレメント長を変化させると、R分はあまり大きく変化しないのに対して、X分は大きく変化することです。もし、R分も大きく変化してしまったら、整合は取りづらいですが、このような性質があるために、実際のアンテナ調整では両側のエレメントを少しづつカットして行くだけで、R分はあまり変化させず、X成分だけを都合よく0にできるのです。

それでは、解答に移ります。問題文に上で解説した内容で用語を入れて行くと…

 アンテナの長さを半波長よりやや[A短く]すると、アンテナエレメント自体のインピーダンスがやや[B容量性]となり、42.5 [Ω]のリアクタンス分を打ち消して、給電点のインピーダンスは[C純抵抗]とすることができる。このように、アンテナの長さを半波長から少しだけ調節する割合を、アンテナの[D短縮率]という。

となりますから、正解はと分かります。