□ H14年12月期 A-20  Code:[HH0509] : 八木アンテナの構造と特性
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2022年
12/31 12月期問題頁掲載
09/01 08月期問題頁掲載
05/14 04月期問題頁掲載
H1412A20 Counter
無線工学 > 1アマ > H14年12月期 > A-20
A-20 次の記述は、八木アンテナについて述べたものである。このうち誤っているものを下の番号から選べ。
三素子の八木アンテナは、放射器、導波器及び反射器で構成されている。
放射器から見て、導波器の方向に指向性が得られる。
進行波アンテナの一種である。
導波器の数を1個から2個に増やすと利得が増加する。
反射器は放射器よりやや長い。

 八木・宇田アンテナはその構造の単純さと利得の高さから、アマチュアでもよく使うアンテナです。この構造と動作の特徴を見て行きます。

[1]八木・宇田アンテナの構造と動作

 八木・宇田アンテナ(八木博士は発明、宇田博士は実用化研究により命名。以下、単に「八木アンテナ」とします)は、無給電素子(給電しない素子)を持つ指向性アンテナで、下記のような構造と特徴を持ちます。
項 目 特  性
構造・動作原理 ほぼλ/2の長さを持つ放射器(ラジエーター)に、λ/2よりわずかに長い反射器(リフレクター)、λ/2よりわずかに短い導波器(ディレクター)を前後に配置する。各エレメントの間隔はλ/4程度
指向性・偏波面 指向性:導波器の方向に単一指向性を持つ 導波器を増すと鋭くなる
偏波面:アンテナの設置方向で水平・垂直どちらも可
インピーダンス 特に整合を取らなければ20〜30 [Ω]
導波器・反射器の位置・構成に大きく依存
利得・実効長(高) 10〜16 [dBi]程度 導波器の数を増すと利得が上昇する
電流分布 導波器はλ/2ダイポールと同様。他のエレメントは導波器からの誘導電流が流れる
周波数帯域 共振形なので、ダイポールと同程度。エレメント間隔の最適化や放射器を折返しダイポールにしたりして広帯域化する
特徴・用途等  FMやTVの受信アンテナから、アマチュア・軍用まで、よく使われる。名称は、東北大の八木博士から取ったものだが、実用化研究は宇田博士が行なったため、正式には八木・宇田アンテナと呼ばれる。導波器の本数がある程度以上になると、大型になる割に利得の増加が大きくないので、同じアンテナを複数スタックにする方法で、ゲインを稼ぐ。アマチュアでは、交信相手が固定していないので、ローテーターが必要
 八木アンテナは、エレメント長・エレメント径・エレメント間隔など、利得や帯域幅、F/B比、インピーダンスに影響を与える変数を多く持ちます。このため、シミュレータのない時代にはアンテナメーカーで独自に、利得最適化・帯域最適化など、用途に応じた最適化を施したアンテナを製作していました。カメラのレンズの設計も似ています。しかし、今ではパソコンでもアンテナのシミュレーションが可能になったので、我々アマチュアでも、そこそこの特性のアンテナは製作することができるようになりました。
Fig.HH0509_a 八木・宇田アンテナの構造と特性
Fig.HH0509_a
八木・宇田アンテナの構造と特性
 また、他の多素子の水平面内の指向性アンテナの基本形であり、エレメントがクロスのもの、ループのもの(キュビカルクワッドetc.)など様々に応用されています。

[2]八木・宇田アンテナの特性ポイント

 八木アンテナの特性をポイントに絞り、まとめておきます。

・エレメント長…短い順に 導波器<λ/2 放射器≒λ/2 反射器>λ/2
・エレメント数と利得…多い方が高利得だが、あまり多くても効果は薄い
・周波数帯域…定在波形なので広くない
・スタック化と利得…偏波と位相を合せスタックにすると利得が約+3 [dB]


それでは、解答に移ります。
 …3エレ八木の構成は放射器・導波器・反射器が各一本で正しい
 …八木アンテナのフロントは放射器から見た導波器方向で正しい
 …八木アンテナは共振を利用しており、定在波アンテナなので誤り
 …導波器を増やすと利得が増加するので正しい
 …素子長を比較すると、放射器≒λ/2,反射器>λ/2なので正しい
となりますので、正解(誤った記述)はと分かります。