□ H15年04月期 A-03  Code:[HA0308] : コンデンサの種類と構造、用途
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12/31 12月期問題頁掲載
09/01 08月期問題頁掲載
05/14 04月期問題頁掲載
H1504A03 Counter
無線工学 > 1アマ > H15年04月期 > A-03
A-03 次の記述は、コンデンサの構造や用途について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。
(1) コンデンサの誘電体として空気を利用したものを空気コンデンサといい、容量のわりに形は大きく、同調用の[A]コンデンサなどに用いられる。
(2) アルミニウムはくの表面に作られた極めて薄い酸化皮膜を誘電体としたものは[B]コンデンサといい、大容量のものが作られるが、極性があるので主に[C]である。

バイパス フィルム 高周波用
バイパス フィルム 直流用
バイパス 電解 高周波用
可変 電解 直流用
可変 電解 高周波用

 星の数ほどあるコンデンサを、大雑把にまとめてみました。まとめ方にもいろいろありますが、コンデンサの性質は使われている誘電体の性質でほぼ決まりますので、誘電体の特徴ごとにまとめてみました。

[1]「硬い」誘電体…セラミック・マイカ

 コンデンサに使われる誘電体で、物理的に硬いものです。無極性で、高周波特性が良いものが多いです(セラミックには例外もあります)。
種類 誘電体の材質・構造 特徴 用途
セラミック
コンデンサ
セラミック(磁器)をサンドイッチして電極を取りつけたもの。最近ではセラミックを薄膜状にして電極と何層にも重ねた積層セラミックコンデンサ(面実装)が多用される。
誘電体のセラミックの物性により小容量高精度のものから、大容量低精度のものが製品化。周波数特性が良好。
容量の割に形状が比較的小さい。
温度補償
パスコン
フィルタ
段間AC結合
マイカ
コンデンサ
マイカ(雲母)に蒸着等で電極を付けたもの。マイカの薄くはげる性質を利用して平行平板を構成する。
マイカが天然鉱物であり、質のよい均質なものが得られにくいため、高価であまり利用されない。高精度、温度的には安定なものが作れる。高周波特性は良い。容量の割に形状は大きい。
高周波用
 

[2]「柔らかい」誘電体…フィルム・紙・空気

 柔らかい素材が誘電体のコンデンサで、(空気を除いて)概して高周波特性は良くありません。鉛フリーハンダ(鉛入りに比べて高融点)の対応のため、熱でダメージを受けやすいフィルムや紙は、使われない傾向にあります。誘電率が低い空気は、ほとんど見なくなりました。
種類 誘電体の材質・構造 特徴 用途
フィルム
コンデンサ
誘電体であるフィルムと電極である金属箔を巻き取って電極を引出した構造。誘電体として用いるフィルムにより、マイラ(ポリエステル)、ポリスチレン、ポリプロピレン、テフロン等がある。良く用いられるのはマイラとポリスチレンである。
容量は中程度のものが作れる。フィルムの厚みを自由に設計できるので、耐圧も様々なものが作れる。マイラは吸湿性があり、経時変化がある。テフロンを除き、一般に熱に弱い。巻物コンデンサなので、周波数特性はあまり良くない。
アナログ回路用
(一次用)ノイズフィルタ
紙コンデンサ
フィルムコンデンサのフィルムの代わりに、紙を電極で挟んで巻いたもの。
容量の割に形状が大きくなる、周波数特性が良くない、吸湿性が(フィルムより)あるなどで、今ではほとんど使われない。
フィルムに同じ
空気コンデンサ
誘電体に空気を用い、金属電極を空気中に対向させたもの。固定コンデンサとして用いられることはあまりなく、バリコン(可変コンデンサ)として用いられる。
空気は誘電率が低いので、小容量でも大型になる。昔はラジオの選局用にも用いられていたが、今はほとんど使われない。バリコンとして用いられるのは、大出力送信機の終段の調整等のみである。
終段同調用
 

[3]電気化学的薄膜を用いるコンデンサ…電解コン・電気二重層

 電解コンデンサは、数年前にパソコンのマザーボードで問題を起こすなどして、一般にも有名になりました。電気二重層コンデンサは、最近出てきたコンデンサで、これらは、極板の表面に生成した非常に薄い膜を誘電体として用います。容量が大きく、電解液を使っていること、極性を持つこと、が共通の特徴です。
種類 誘電体の材質・構造 特徴 用途
電解コンデンサ
アルミ表面にできた薄い酸化膜を誘電体、アルミ箔と紙に染み込ませた電解液で電極を構成する。電解液を蒸発・漏液させないためのシールとケースで密封してある。最近は、小容量のものはほとんどが面実装品が用いられる。
小型で大容量のものが作れるが、一般に精度や温度安定性は低い。逆極性・過電圧に弱い(破裂などが起こる)。時間とともにわずかに蒸発が起こって、電解液が減るため寿命がある。周波数特性は悪い。
電源平滑
パスコン
音声周波数の段間AC結合
有機半導体
コンデンサ
or
導電性高分子
コンデンサ
電解コンデンサに用いられている液体の電解質に代わり、有機半導体や導電性高分子といった固体の電解質を紙に染み込ませたものから構成される。構造はほとんど電解コンデンサと同じ。
三洋電機のOS-CONが有名。
電解コンデンサのように液体を使わないので、蒸発が起こる心配がなく、長寿命である。また、周波数特性が良く、インピーダンスが低いので、電源平滑用やパスコンとして用いた場合、リプル低減効果や高速応答性に優れる。
電解コンデンサに同じ
電気2重層
コンデンサ
電極に活性炭などの極めて表面積の大きな物質、また電解液を用いる。電解液と電極界面にできる電気2重層というナノメートルオーダの膜が誘電体として作用する。日本では、スーパーキャパシタという商標名で呼ばれることがある。
数1000μF程度の電解コンデンサと同程度の大きさで、数Fの容量が実現できるが、極性があり、交流(又は脈流)を流すのには向かない。機器の一時的なバックアップなど蓄電の用途に用いられる。
バックアップ電源
 
 これらの他にも、特殊なコンデンサや今ではほとんど使われなくなったコンデンサなど色々ありますが、割愛しました。

それでは、解答に移ります。
 …同調用の空気コンデンサは可変コンデンサ(バリコン)です
 …アルミ箔の酸化膜が誘電体なのは電解コンデンサです
 …極性があるコンデンサは直流(又は脈流)にしか使えません
となりますので、正解はと分かります。