□ H15年04月期 A-17  Code:[HG0407] : 電圧可変形の直列形定電圧回路の出力電圧が一定になる動作原理
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01/11 12月期問題頁掲載
H1504A17 Counter
無線工学 > 1アマ > H15年04月期 > A-17
A-17 次の記述は、図に示す直列形定電圧回路の原理的な動作について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。
 図において、出力電圧が上昇すると、トランジスタTr2のベース電圧は上昇するが、Tr2のエミッタは[A]により常に一定の電圧に保たれているので、Tr2のコレクタ電流が増加する。したがって、Rにおける電圧降下が[B]なり、トランジスタTr1のベース電位は[C]し、Tr1のコレクタとエミッタ間の電圧が増加して出力電圧の上昇を妨げ、一定電圧となるように動作する。

ツェナー
ダイオード
大きく 低下
ツェナー
ダイオード
小さく 上昇
ツェナー
ダイオード
大きく 上昇
サーミスタ 小さく 上昇
サーミスタ 大きく 低下
問題図 H1504A17a
Fig.H1504A17a

 まず、直列形定電圧回路の動作原理を簡単に見ておきましょう。その後で、この回路の動作を分析してみることにします。

[1]直列(シリーズ)形定電圧回路の構成と動作

 俗に、シリーズレギュレータと呼ばれる定電圧回路です。この回路の構成は、概略Fig.HG0407_aの左上のような構成になっています。
Fig.HG0407_a 直列形定電圧電源の動作原理
Fig.HG0407_a
直列形定電圧電源の動作原理
 フィードバック回路が出力電圧を常に監視しています。フィードバック回路の中には、基準となる電圧源があって、その基準に対して出力が低いか高いかを、電流制御回路に出力します。電流制御回路では、フィードバック回路から与えられた信号を元に、電流制限を強めたり弱めたりします。電流制御回路が負荷(出力)に直列に入っているので、「直列形」と呼ぶわけです。
 実際の電源装置では、フィードバック回路はトランジスタやオペアンプなどの増幅器と定電圧ダイオードの組合せ、電流制御回路はパワートランジスタが1個又は数個からなっています。
 この回路が負荷の変動(または入力電圧の変動)に応じて、どのように動作するかを追って、理解してみることにします。
  • 出力電圧が上昇しようとした時(Fig.HG0407_a右上)
    入力電圧が上昇した、あるいは、負荷が軽くなった、などの理由で出力電圧が上昇しようとした時は、フィードバック回路が電流制御回路に制限を強めるような信号を出します。
    実際には、トランジスタなどに加えるバイアスを減少させます。すると、電流制御回路での電圧降下が大きくなり、負荷端の電圧上昇が抑えられることになります。
  • 出力電圧が低下しようとした時(Fig.HG0407_a右下)
    上とは逆に、入力電圧が低下したり、負荷が重くなった、などの理由で出力電圧が低下しようとした時には、フィードバック回路が電流制御回路に制限を弱めるような信号を出します。
    実際の装置では、トランジスタのバイアス電流を増加させ、電流制限回路での電圧降下を小さくして、負荷の電圧を一定に保ちます。
 次に、特徴とその理由をまとめておきます。
  • 効率
    並列形よりは高い。負荷電流が少ない時は、電流制御回路に流れる電流も少なく、発熱が少ないため。
  • 短絡保護回路
    必要。負荷が短絡すると、電源側からの電流が無限に流れようとするので、電流制御回路が破損するおそれがあるため。
  • 電圧可変範囲
    並列形よりは広い。負荷に直列に電流制限回路が入る形なので、ここでの電圧降下を直接制御すればよいため。
  • トランジスタの耐圧と出力電圧
    トランジスタの耐圧(VCBO又はVCEO)は出力電圧よりも低くても可。出力が100 [V]でも入力が約120 [V]なら、トランジスタの電圧降下は20 [V]程で済むため。

[2]問題の回路の動作

 それでは、一般論が済んだ所で、この問題の回路に移ります。まず、Fig.HG0407_bのように各部の電位差・電流を取ります。
 ここで、復習して(思い出して)おくべきなのは、ツェナーダイオードDZの両端の電圧は一定(になるように電流を流す)、トランジスタのVBEはほぼ一定(シリコンで約0.7 [V])、ということです。後は順に見て行けば、そんなに難しい理屈は出てきません。
 まず、負荷が軽くなるなどして出力電圧Voutが上昇した時を考えます。この時、抵抗で分割されているVo1もVo2も上昇します。Vo2=VZ+VBE2ですが、o2が上昇すると、ツェナーダイオードのVZは一定なので、上昇するのはVBE2のみ、ということになります。
Fig.HG0407_b 可変形定電圧回路の動作
Fig.HG0407_b
可変形定電圧回路の動作
 すると、B2が増加するので、それに伴ってIC2も増加します。IC2が増加すると、R1に流れる電流も増加するので、ここでの電圧降下であるVBC1も増加します。つまり、GND電位から見たTr1のベース電位は下がることになります。BE1も小さくなるので、IB1が減少し、それに伴ってIE1も減少します。つまり、フィードバックを受けて、トランジスタが電流を制限する方向に動作します。
 逆に、負荷が重くなって出力電圧Voutが低下した場合は、上記とは全く逆の動作で、トランジスタの電流制限が緩み、負荷に大きな電流を流そうとIE1が増加します
 このように、この回路では、Fig.HG0407_aで見たような電圧検出部と、そこから得られる電流制御信号によって電流制御素子が負荷に電流でフィードバックをかける動作が、実現されているのです。

それでは、解答に移ります。
 …これは当然ながらツェナーダイオードです
 …Tr2のコレクタ電流が大きくなれば、Rでの電圧降下も大きくなります
 …Rでの電圧降下が大きくなれば、Tr1のベース電位は低下します
となりますから、正解はと分かります。