□ H15年04月期 A-18  Code:[HG0202] : 単相倍電圧整流回路の回路図。入力交流電圧の実効値から出力電圧の計算
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09/01 08月期問題頁掲載
05/14 04月期問題頁掲載
H1504A18 Counter
無線工学 > 1アマ > H15年04月期 > A-18
A-18 図に示す整流回路における端子ab間の電圧の値として、最も近いものを下の番号から選べ。ただし、電源は実効値電圧32 [V]の正弦波交流とし、また、ダイオードDの順方向の抵抗は零、逆方向の抵抗は無限大とする。
 32 [V]
 45 [V]
 64 [V]
 90 [V]
128 [V]
問題図 H1504A18a
Fig.H1504A18a

 単相倍電圧整流回路の問題です。この回路では、入力交流の最大値の2倍の電圧(実効値に対しては2√2倍)の電圧が得られます。そのため、「倍」電圧整流というわけですが、その原理から見て行きます。

[1]単相倍電圧整流回路は半波整流回路の組合せ

 どうやったら、倍の電圧が得られるのでしょうか? そもそも、交流の波形は、基準電位(GND)をセンターにして、正側と負側に振れています。正側のみ、負側のみをそれぞれ別々に取り出して、合成してやれば、その差は元の振幅の2倍になるような気がしませんか?
Fig.HG0202_a 単相倍電圧整流の原理
Fig.HG0202_a
単相倍電圧整流の原理
 「気がする」なんていい加減な話は工学にはありませんから、ちゃんと回路図にして考えてみます。
 Fig.HG0202_a左上は単相倍電圧整流回路の回路図です。右は交流入力波形です。実はこの回路、良く見ると2つの半波整流回路が組み合わさってできています。
 まず、入力交流が正に振れている半周期を考えてみましょう。すると、回路は同図左下のような状態になり、D2は導通しないので、C1に充電されます。残りの半周期では、同図右下のようになり、D1は導通しないので、C2に充電されます。
 Fig.HG0202_aの下段の2つの回路は、それぞれ半波整流回路ですから、これらが組み合わさって、入力交流の正側・負側からそれぞれ直流を作り出している、と捉えることができます。

[2]単相倍電圧整流回路の出力電圧

 では、この回路の出力電圧はどうやって決まるのでしょうか? ヒントになるのは、元々の半波整流回路です。
 入力交流の実効値をViとすると、その(正弦波)交流を半波整流回路で整流して、コンデンサで十分平滑した後の出力Voは、交流の最大値Vmaxにほぼ等しく
 o=Vmax=√2Vi …(1)
です。これは交流の基本なので、改めてご説明は不要だと思います。次に、倍電圧整流回路では、出力電圧は2つの半波整流回路の和2Voですから、
 2Vo=2√2Vi …(2)
となります。
Fig.HG0202_b 整流方式による出力電圧の違い
Fig.HG0202_b
整流方式による出力電圧の違い
 例えば、実効値100 [V]の交流を直接この回路に入れたら、約282 [V]の直流が得られる、ということになります。

[3]n倍電圧発生回路(コッククロフト・ウォルトン回路)

 上で、単相半波整流回路と倍電圧整流回路を見てきましたが、この応用(発展)として、交流からもっと高電圧の直流電圧を発生させるための回路があります。
 ここで取り上げるのは、シンプルなコッククロフト・ウォルトン回路(長いので、以下、「CW回路」と表記します)と呼ばれるものです。
Fig.HG0202_c n倍電圧発生回路
Fig.HG0202_c
n倍電圧発生回路
 Fig.HG0202_c左上の回路は、単相半波整流回路(を少し変形して描いたもの)です。この直流出力V1は、入力の正弦波交流の最大値Viと同じです。これに、ダイオードD2とコンデンサC2を1段追加した、同図右上のような回路で、出力電圧V2は入力正弦波(の最大値)の2倍の電圧2Viを得ることができます。
 更にもう1段、ダイオードD3とコンデンサC3を追加すると、出力電圧V3には3倍の電圧3Viを得ることができます。
 あとは、推して知るべし、ですが、段数を増やしていけば、原理的にはn段でn倍の直流電圧を得ることができます。
 それでは、この回路の動作原理はどうなっているのでしょうか? まずはシンプルに2段の回路で動作を見てみます。
 交流が正弦波だと、実効値表記と最大値表記があって面倒なので、ここでの入力はFig.HG0202_d左のような、Duty 50%で正負に振れる矩形波であるとします。振幅はViです。
 まず、初期状態として、コンデンサは全て放電されているものとします。入力が負に振れている間、同図右上のように、D1は導通してC1が充電されます。この時、D2は逆電圧がかかるので、OFF状態であるため、C2は充電されません。
 次に、入力が正に振れている間は、今度はD1がOFF、D2がONになり、C2がC1の電圧と電源電圧の和で充電されます。
Fig.HG0202_d 2段CW回路の動作原理
Fig.HG0202_d
2段CW回路の動作原理
 大まかにはこんな動作になりますが、正確には、C1にQ=CV1の電荷が溜まっている状態からC2が直列に入ったものに対して電源電圧Viがかかるので、最初の1周期だけでは出力電圧=2Viとはなりません
 つまり、この回路は、交流がずっとかかり続けて初めて、目的の出力電圧に収束する回路になります。このことは、後で述べるように、段数が増えても同じです。
Fig.HG0202_e 3段以上のCW回路の動作
Fig.HG0202_e
3段以上のCW回路の動作
 同様に、n段(n≧3)の時は、Fig.HG0202_eのようになります。Vi<0の時は、D1, D3,…がONに、D2, D4,…がOFFになり、C1, C3…が充電されます。(同図上)
 逆にVi>0の時は、D2, D4,…がONに、D1, D3,…がOFFになり、C2, C4…が充電されます。(同図下)
 これもまた、大まかな動作を示したもので、一つ一つのコンデンサの充電電圧を時系列で見ていると、最初の1周期で全てが充電されて、出力にnViが得られるわけではなく、下の方(電源に近い方)のコンデンサから、徐々に充電されていき、出力電圧は(数学的に言うと)時間→∞の極限でnViに収束する、という動作になります。
 従って、余程容量の大きなコンデンサを使わない限り、大電流を取り出すと、出力電圧が下がってしまい、元に戻るまでに時間を要します。つまり、負荷変動に対して弱いので、定電圧で大電流を取り出す用途には不向きで、「電流はさほど要らないが、とにかく高電圧が欲しい」という粒子加速器のような科学技術用途によく使われます。
 身近な所では、カメラのフラッシュの充電回路(この場合のCW回路の負荷はコンデンサなので、充電時間内に所定の電圧が出れば良く、電圧安定性は不要)に使われています。

それでは、解答に移ります。
 ここでは、入力交流の実効値は32 [V]ですから、その2√2倍の電圧を計算すればよい、ということになります。
 32×2√2≒90.51 [V]
となりますから、正解は値が最も近いと分かります。