□ H15年08月期 A-04  Code:[HB0103] : 平衡している抵抗ブリッジを含む合成抵抗の計算
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2022年
12/31 12月期問題頁掲載
09/01 08月期問題頁掲載
05/14 04月期問題頁掲載
H1508A04 Counter
無線工学 > 1アマ > H15年08月期 > A-04
A-04 図に示す回路において、端子ab間の合成抵抗の値として、正しいものを下の番号から選べ。
38 [Ω]
44 [Ω]
52 [Ω]
60 [Ω]
65 [Ω]
問題図 H1508A04a
Fig.H1508A04a

 回路図を見ると、単純な直列や並列の合成抵抗では解けなさそうです。しかし…

[1]回路図を良く見て単純な回路に変形する

Fig.HB0103_a 回路を単純にする
Fig.HB0103_a
回路を単純にする
 キルヒホッフさんにでもお出ましいただかないといけないのか…あのややこしい連立方程式、解くの面倒だな、何とか楽に済ませられる方法はないかな、計算問題苦手だし…などと思いながら、じーっと、穴のあくほど、よく回路図を見てみます。すると、Fig.HB0103_aのような形に変形できてきませんか、回路図が。子供のパズルか、最近流行りのクイズ番組のようですが、こう変形してみると、何だか簡単に解けそうな気がしてきませんか?
 複雑な回路図を見たら、何とか直列・並列の組合せにできないか、とか、慣れ親しんでいる形にできないか、とか、悩んでみることをお勧めします。
 さて、直列の抵抗とブリッジ部分でできているのが分かったので、後は、ブリッジ部分の抵抗値が分かれば、簡単に求められます。これから書くように、この問題には簡単に解けるしくみが埋まっているのですから、出題者に感謝です。

[2]ブリッジが平衡しているかどうかを見極める

 次に、このブリッジ回路が平衡しているかどうかを見極めます。
 見極めるためには、Fig.HB0103_bにもありますが、
 R1:R2=R3:R4 …(1)
つまり、
 R14=R23 …(2)
が成り立っているかどうかを見ます。
 X−Y間に、起電力E [V]の電圧源を接続したとして、ブリッジが平衡しているときのノードUの電位VUとノードVの電位VV(基準はノードY)をそれぞれ求めると、
 VU=ER2/(R1+R2) …(3)
 VV=ER4/(R3+R4) …(4)
Fig.HB0103_b 抵抗ブリッジの平衡条件
Fig.HB0103_b
抵抗ブリッジの平衡条件
となります。

[3]平衡時に中心の抵抗には電流が流れない

 ここで、ノードUとノードVの電位VUとVVの関係を調べるために、VU−VVを計算してみます。
 VU−VV
  =E{R2/(R1+R2)−R4/(R3+R4)}
  =E{R2(R3+R4)−R4(R1+R2)}/{(R1+R2)(R3+R4)} …(5)
(5)式の分子のみに着目すると、
  E{R2(R3+R4)−R4(R1+R2)}
 =E{(R23+R24)−(R41+R42)}
 =E(R23−R14) …(6)
ここで(2)より、R14=R23なので、(6)式の値はゼロ、つまり、
 VU−VV=0  ∴ VU=VV
となります。ノードUとノードVの電位差がゼロだということは、この間に何を繋いでも、例えショートしても開放にしてもUV間の合成抵抗は変化しません。それならば、5はあってもなくても合成抵抗は同じになるでしょう。ブリッジの平衡のミソはここにあります。

それでは、解答に移ります。
 この問題が尋ねているのは、直列抵抗とブリッジ部の合成抵抗を合わせた抵抗値がいくらになるか、なので、まず、R5は無いことにして、R1〜4の合成抵抗を求め、それにR0を加えればいいわけです。
 R12=R1+R2=60 [Ω], R34=R3+R4=40 [Ω]
と置くと、ブリッジ部の合成抵抗RBは以下のように求められます。
 RB=1/(1/R12+1/R34)=1/(1/60+1/40)=24 [Ω]
 R0+RB=20+24=44 [Ω]
となりますから、が正解と分かります。

 長々と解説してきましたが、ブリッジが平衡しているとわかったら、すぐに真中の抵抗を無視してかまいません。あとは合成抵抗の問題に帰着できれば、ほとんど計算も無しに解けてしまいます。