□ H15年12月期 A-22  Code:[HI0102] : 電離層の電子密度(日変化・季節変化)と名前の対応
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2022年
05/14 04月期問題頁掲載
01/11 12月期問題頁掲載
2021年
10/17 09月期問題頁掲載
H1512A22 Counter
無線工学 > 1アマ > H15年12月期 > A-22
A-22 次の記述は、電離層の特徴について述べたものである。この記述に該当する電離層の名称(又は略称)として、正しいものを下の番号から選べ。
「地上から約100キロメートル付近にあリ、電子密度は、年間を通して太陽の南中時(正午)に最大となり、夜間には非常に低下する。」
 D層  E層  ES  F1  F2

 無線をやっていて、この電離層というものには自然の不可思議さを感じずにはいられません。電離層の本質は「電離した気体」ですが、太陽活動や地磁気といった自然現象に左右されて変化する、実に面白いものだと思います。ここではそんな電離層の性質を学びながら問題にかかります。

[1]電離層って何?

 HFに出られる方はもちろん、そうでない方もこの「電離層」というものが何であるのか、基本的知識として持っておくと実際の運用でも役に立つことがあると思います。
 地球には、太陽から紫外線やそれより波長の短い(=エネルギーの大きな)光が降り注いでいます。この光が、大気を構成する酸素や窒素に当たると、電子(多くの場合は最外殻電子)をたたき出します。つまり、これらの原子が紫外線等に当たってイオンに変化(電離)し、自由電子とイオンからなる「プラズマ」状態となります。
 気体が電離すると、電離がない時には素通りできたものが、電波は反射、屈折、散乱、減衰と、波動としてのいろいろな現象を示すようになります。しかも、それが周波数特性を持つので、HFの電波は反射されて、地球の裏側とも通信できるのに、VHFでは突き抜けてしまうため(通常)近距離としか通信できない、という現象になるわけです。
 さらに、反射や透過の性質は周波数に依存するだけでなく、電離の度合い、つまり電子の密度にも依存するので、日の当たらない(=電離がほとんど起こらない)夜間と昼間日差しの強い夏と弱い冬では、その性質が全く異なります。
 電離層は、その言葉通り、層状の構造をしていて、層によって電子密度が異なります。また、季節や昼夜で生成したり消滅したり、常に変化しています。地表に近い層からD層E層12となりますが、冬季や夜間はF1層とF2層はハッキリした境界がなくなり、一体化したようになります。
 文章で簡単にまとめるとこのような解説になってしまいますが、具体的な問題を解くことで、定性的・定量的に理解が深まることと思います。以下、昼と夜の電子密度に着目して、電離層を見て行きます。

[2]電離層の構造…その1 (冬季を除く)昼間

 冬季を除く昼間は太陽光が強いため、電離が盛んに起こります。各層内での電子密度も夜間や冬季に比べて高く、夏季にはF層は明確にF1層とF2とに分かれています(春秋は区別が付かないこともある)。では、地表に近い層からその性質を見て行きます。
Fig.HI0102_a 昼間の電離層の構造
Fig.HI0102_a
昼間の電離層の構造
D層地上60〜90 [km]の高さにあって、電子密度は他の層に比べて最も低いものです。地表に近いので、空気の密度は高いのですが、太陽からの高エネルギーな光線がそれより上層で吸収されているので、電離が弱いためと考えられます。
E層…D層のすぐ上の地上100 [km]前後にあり電子密度はD層よりも少し高い程度です。臨界周波数(他の解説を参照)は3〜4 [MHz]前後で、HFでも低い周波数帯の伝搬はこれによります。
 夏至の前後に、この層と同じ高さに、局地的非常に電子密度の高いスポラディックE層(Es層)が頻繁に出現します。
1…この層は200 [km]前後の高さに出現し、夏には明確にその電子密度の極大値がありますが、春秋には分かりにくいこともあります。電子密度はD,E層に比べてはるかに高くなります。
2…この層はF1層のすぐ上の300〜400 [km]の高さに出現します。春秋にはF1層との区別が分かりにくいこともあります。電子密度は電離層の中で最大で、太陽からの高エネルギー(波長の短い)の光線は、ほとんどこの層とF1層で吸収されます。

 ちなみに、冬季にはF1層とF2層の区別が付かなくなり、高さも下がります。次に述べる、夜間の分布に近くなります。

[3]電離層の構造…その2 冬季と夜間

 太陽光のない夜間や、日差しの弱い冬季の昼間は、電離があまり起こりません。電離層の構造も夏季の昼間とは大きな違いが出てきます。
D層夜間には消滅してしまいます。中波(AM)放送が夜になると、遠くの局がよく入感するのは、昼間には電子密度が高く減衰の大きかったD層が、夜間には消滅してしまうため(中波はE層で反射され伝搬する)です。
E層昼間に比べて大きく電子密度が下がります。この変化率はF層よりも大きいもので、生成・消滅のメカニズムが異なっていることを示しています。
 また、50 [MHz]に出られている方は経験があるかもしれませんが、この高さには夜間でもEs層が出ることがあります。
Fig.HI0102_b 冬季と夜間の電離層の構造
Fig.HI0102_b
冬季と夜間の電離層の構造
F層昼間は分かれていたF1層とF2層が融合して300 [km]付近にひとつのF層となります。電子密度も下がりますが、E層の昼夜の差ほど大きな変化ではありません。

それでは、解答に移ります。
 高さ約100 [km]付近にあって、夜間に電子密度が非常に低下するのは、E層です。従って、正解はと分かります。