□ H16年04月期 A-07  Code:[HC0301] : トランジスタ増幅回路の接地方式ごとの、電流・電力増幅度の比較
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A-07 次の記述は、同じトランジスタを用いた、接地方式が異なる増幅回路の増幅度について述べたものである。このうち正しいものを下の番号から選べ。
電流増幅度が最も小さい回路は、コレクタ接地増幅回路であり、電力増幅度が最も大きい回路は、エミッタ接地増幅回路である。
電流増幅度が最も小さい回路は、コレクタ接地増幅回路であり、電力増幅度が最も大きい回路は、ベース接地増幅回路である。
電流増幅度が最も小さい回路は、エミッタ接地増幅回路であり、電力増幅度が最も小さい回路は、コレクタ接地増幅回路である。
電流増幅度が最も小さい回路は、ベース接地増幅回路であり、電力増幅度が最も大きい回路は、エミッタ接地増幅回路である。
電流増幅度が最も小さい回路は、ベース接地増幅回路であり、電力増幅度が最も大きい回路は、コレクタ接地増幅回路である。

 まず、トランジスタの増幅作用の本質とはなんなのか、を簡単に復習しておきましょう。この手の問題は「暗記」でも解けますが、理由がわかっていると、絶対に忘れませんし、実際の回路設計でも応用が利きます。

[1]トランジスタはなぜ増幅素子なのか?

 Fig.HC0301_aに、NPNトランジスタが動作しているところを示します。図はエミッタ接地になっていますが、トランジスタの動作する原理はどの接地形でも同じです。別の問題でも出ていますが、ベースを基準にすると、ベース−エミッタ間は順方向バイアスベース−コレクタ間は逆バイアスがかかるように、バイアス電圧を掛けます。
 まず、C-E間には電圧VCを掛けたまま、B-E間の電圧VBをゼロから徐々に上げて行くことを考えます。VBが零の時は、コレクタ電流ICは流れません。B-C間が逆バイアスになっているので、ダイオードと同じ整流作用のためです。VBを徐々に上げてゆくと、順方向バイアスなので、ベースには電流IBが流れはじめます。
 すると、今まで流れなかったコレクタ電流が流れ始めます。しかも、コレクタ電流がベース電流に比例して…。
 詳しいメカニズムは、半導体の教科書に解説してもらわなくてはなりませんが、ここでは現象だけ理解しておきます。
Fig.HC0301_a トランジスタの基本動作
Fig.HC0301_a
トランジスタの基本動作
 ベースにわずかな電流を流すと、B-E間は順バイアスですから、ベース側から流れてきた正孔(ホール)とエミッタ側から流れてきた電子が、B-Eの接合面付近で再結合します。
 ベースは通常非常に薄く作るので、ここに電流が流れると、ベース内のキャリアは密度が非常に低くなり、空乏層に近くなります。すると、今まで流れなかった、エミッタからコレクタへの電子がコレクタにかかっている正の電位に引かれて(ベース電流に比例して)流れるようになります。
 ベース電流はわずかですので、小さなベース電流で、その何倍ものコレクタ電流を制御できる…これがバイポーラトランジスタの原理そのものなのです。
 もう少し、定量的に見ておきます。ベース電流をIB、コレクタ電流をIC、エミッタ電流をIEとすると、
 C=βIB …(1)
これが、トランジスタの電流増幅作用を示す式そのものです。一方、電子はどこからも勝手に湧いたり消えたりしていませんから、3つの電流の関係は、
 IE=IB+IC(=(β+1)IB) …(2)
ここで、βは「電流増幅率」と呼ばれる、トランジスタにより決まる比例定数です。(周波数が上がってくると、[定数]とも言えなくなりますが。)
 ここまで見てきた電流の関係は、トランジスタの3つの接地方式において、どの方式を取っても成り立つものです。ですから、考えようによっては、非常にシンプルです。

[2]エミッタ接地回路の特徴

 エミッタ接地は、Fig.HC0301_b左の原理図のように構成します。他の接地方式よりも多く使われます。トランジスタは「電流増幅素子」なので、ベース電流が入力で、出力はコレクタ電流(又はエミッタ電流)ですが、通常、出力は電圧(又は電力)で取り出すので、負荷抵抗RLをコレクタに入れます。電圧・電流増幅ともに可能で、電力利得が大きく取れるため、最もよく用いられます。
 では、この回路の特徴を見て行きましょう。

(1) 入力インピーダンス

 B-E間は順方向ですから、ダイオードの順方向特性を考えてみて下さい。VBを大きくしても入力電流(IB)がどんどん増えるだけです。ということは、入力インピーダンスは低い(又は非常に低い)ことになります。
Fig.HC0301_b エミッタ接地増幅回路の動作原理
Fig.HC0301_b
エミッタ接地増幅回路の動作原理

(2) 出力インピーダンス

 トランジスタでは、出力は「電流」で出てきます。言い換えると、負荷抵抗が何Ωでも、そこにはベース電流のβ倍のコレクタ電流ICが流れます。なので、理想的には出力インピーダンスは無限大ですが、実際には負荷抵抗と同じ値になります。
 これは、Fig.HC0301_bの回路の出力に、負荷抵抗と同じ値の抵抗を接続すると、出力電圧が1/2になることから分かります。通常、送信終段以外では、負荷抵抗は数 [kΩ]ですから、出力インピーダンスも、この程度の値になります。

(3) 電流増幅度(率)

 ベース電流の何倍がコレクタ電流になるか、を示します。つまり、電流増幅度はβそのものです。βは、エミッタ接地の電流増幅度(率)といいます。βの大きなトランジスタで1000程度、構造上βを大きくできないパワートランジスタで数10程度です。実際には、流し得るコレクタ電流の最大定格が決まっていますから、それ以上は流せません。

(4) 電圧増幅度

 (2)で見たように、出力が電流モードですから、負荷抵抗を大きくすれば、それだけ大きな電圧が取れます。他の接地方式と比べても大きな電圧増幅が可能です。但し、VCより大きな振幅は取れません。

(5) 電力増幅度

 電力増幅度は電圧増幅度×電流増幅度ですから、大きな電力増幅が可能です。入力インピーダンスが低いことが使いづらい点ですが、他の接地方式よりも多く使われる回路形式であるのはこのためです。

(6) (交流信号の場合)入出力の位相

 出力はコレクタの接続されたノードから取ります。入力電圧が増加し、ベース電流が増えると、コレクタ電圧は下がります。入力電圧が下がると、ベース電流が減り、コレクタ電圧は上がります。つまり、入力と出力の位相は180°反転します。

(7) 周波数特性

 周波数特性は、他の接地方式に比べてミラー効果(後述)のために、あまり良くありません

 なお、Fig.HC0301_b右の実用回路ですが、コンデンサC1とC2はそれぞれ、前段、次段との直流分遮断のためのカップリングコンデンサ、C3はエミッタを交流的に接地しているコンデンサです。
 また、R1とR2、及びR3でベースバイアス電圧を決めています。RLは負荷抵抗です。

[ミラー効果とは]
 周波数特性を考える時、ベースが元々持っている内部的な抵抗=ベース抵抗RBと、ベース−コレクタ間の静電容量CBC(接合容量と拡散容量を合わせたもの)を考えます。この回路の電圧利得がAV倍だとすると、ベースにかかる電圧VBとコレクタの電圧VCは逆位相で
 VC=-AVB …(1)
と書けます。この状態ではベース容量CBCの両端の電圧は、
 VB−VC=VB+AVB=VB(1+AV) …(2)
となりますから、ベースから見ると、あたかも、
 C'BC=(1+AV)CBC …(3)
なる容量C'BCがぶら下がっているように見えます。この容量分とベース抵抗RBがカットオフ周波数
 fc=1/{2πCBCB(1+AV)} …(4)
のローパスフィルタ(LPF)を構成し、高周波成分の増幅度が下がってしまうのです。(4)式を見ると、AVが大きければ大きいほど、カットオフ周波数が低くなることが分かります。

[3]コレクタ接地回路の特徴

 コレクタ接地回路は、Fig.HC0301_c左の原理図のように構成します。これは、別名エミッタフォロワとも呼ばれます。Fig.HC0301_cのように、ベースに入力を入れるのはエミッタ接地と同じですが、出力を取り出すのが、エミッタに接続した負荷抵抗からです。バッファアンプ(緩衝増幅器)に良く用いられます。
 では、この回路の動作の特徴は何なのでしょうか?

(1) 入力インピーダンス

 エミッタ接地回路では、ベース電流を流しても電圧が上がらないので、インピーダンスとしては低いものでした。コレクタ接地では、エミッタとベースの間はトランジスタが線形な増幅器として動作している条件下では、ほぼPN接合の順方向の電圧(Siで0.6〜0.7 [V])に保たれています。
 ということは、入力電圧が振れると、それにつれてベース電圧も振れるので、(原理図のような回路では)ベース電流はほとんど流れず、入力インピーダンスは非常に高くなります。しかし、実際にはFig.HC0301_c右のような回路で使うことが多く、これですと入力インピーダンスは、R1とR2を並列に繋いだものに等しくなります。
Fig.HC0301_c コレクタ接地増幅回路の動作原理
Fig.HC0301_c
コレクタ接地増幅回路の動作原理

(2) 出力インピーダンス

 例として、入力電圧Vinが5.0 [V]で、VBEが0.7 [V]、RLが4.3 [kΩ]だったとしましょう。出力電圧はVin−VBE=5.0−0.7=4.3 [V]となります。RLを流れる電流は1 [mA]です。
 ここで、負荷を重くして2.0 [kΩ]にしたとします。ところがこうしても、ベースの電圧が変わらない限り、(ベース−エミッタ間は順方向の電圧降下のみですから)エミッタの電圧は4.3 [V]のままです。従って、RLを流れる電流は2.15 [mA]に増加したにもかかわらず、電圧はそのまま、すなわち、出力インピーダンスは原理的にはゼロ、ということになります。
 実際には、トランジスタもエミッタ電流が増えればVBEが大きくなるので、完全にゼロにはなりませんが、普通のトランジスタでも数 [Ω]程度の非常に低い値です。
 これが、エミッタフォロワがバッファアンプとして用いられる理由です。

(3) 電流増幅度(率)

 低周波では、入力のベース電流がIBでトランジスタの直流電流増幅率がhfeだとすると、コレクタ電流IC=hfeBなので、エミッタ電流IEは、
 IE=IB+IC=IB(hfe+1) …(5)
で、電流増幅率としてはhfe+1で、エミッタ接地と同じです。信号が高周波の時は、トランジスタの電流増幅率がhfeに変わるだけで、後は同じです。

(4) 電圧増幅度

 ベース−エミッタ間の電位差VBEは常にシリコントランジスタで0.7 [V]程度でした。ということは、ベースの電圧VBが凾uBだけ変化したとすると、エミッタの電圧VEも凾uE変化するわけですが、
 (VB+凾uB)−(VE+凾uE)=0.7 [V] …(6)
となります。元々、VBが変化する前は、
 VB−VE=0.7 [V] …(7)
であったわけですから、(7)-(6)より、
 凾uB−凾uE=0 [V]
 ∴ 凾uB=凾uE …(8)
この式の意味は、ベースに入力された電圧の変化分が、そのままエミッタ電圧の変化分に出てくる、もっと噛み砕いて言えば、入力と出力の電圧振幅は同じで利得が1、ということです。これが「エミッタフォロワ」(エミッタの出力はベース入力に「追随」する)の意味というわけです。
 「電圧増幅度1」なんてアンプとして意味があるのか?と思いますが、電流は(3)で見たようにしっかり増幅されていますから、れっきとした増幅器です。

(5) 電力増幅度

 (4)で見たように、電圧増幅度が1で電流増幅度が(3)で(hfe+1)倍でしたから、電圧増幅度が1より大きく取れるエミッタ接地よりは小さくなります

(6) (交流信号の場合)入出力の位相

 (8)式より、入力の電圧変化分と出力のそれは、符号も含めて同じですから、入出力は同位相です。動作としては、入力電圧が上昇→エミッタ電流が増加→RL両端の電圧が上昇、ということになりますから、式を用いなくても同位相であることが分かります。

(7) 周波数特性

 ベースから見ると、エミッタは同位相で同じ振幅で電圧が変化していますから、ベースエミッタ間容量CBEはあたかもゼロであるように見えます。残るは、ベースコレクタ間容量CBCですが、こちらは単に交流的にコレクタが接地されているだけですので、エミッタ接地の時のような容量が何倍にもなって見えるミラー効果は起こりません
 従って、周波数特性はエミッタ接地よりも良くなります。

 先に見た、エミッタ接地回路では、出力インピーダンスが十分に低くできませんでした。しかし、次段にこのコレクタ接地回路(エミッタフォロワ)を用いれば、エミッタ接地で電圧利得を稼ぎ、しかも出力インピーダンスが低くできる(電流が稼げる)ので、この2段構成は良く使われます。

[4]ベース接地回路の特徴

 ベース接地回路は、Fig.HC0301_d左の原理図のように構成します(実際にはこのように接続してしまうと、ベース−エミッタ間に接続された信号源電圧とトランジスタの特性としてのVBEが一致しないので、回路は動作しません。右の実際的な回路のように、エミッタに抵抗を介して入力します)。コレクタ側に負荷抵抗を置くのはエミッタ接地と同じですが、ベースは接地し、エミッタ側から信号を入れます。
 では、この回路の特徴を調べてみましょう(以後、説明は右側の回路を用いて行ないます)。

(1) 入力インピーダンス

Fig.HC0301_d ベース接地増幅回路の動作原理
Fig.HC0301_d
ベース接地増幅回路の動作原理
 ベースは交流的に接地であるため、VBEが一定だとすると、エミッタも交流的には接地です。すなわち、入力インピーダンスとしては、R3とR4の並列抵抗に等しくなります。
 増幅器としては、入力インピーダンスが高い方が有利なので、R3やR4を大きくしたいところですが、この後に述べるように、そうしてしまうとベース接地回路の「売り」である電圧利得が取れなくなってしまいます。
 つまり、ベース接地増幅回路では、入力インピーダンスは低くなります(=大きくできない、という意味)。

(2) 出力インピーダンス

 これは、エミッタ接地回路と同じく、次段の負荷がRLと同じ大きさの抵抗だと考えると、出力電圧が無負荷時の半分になるので、出力インピーダンスは負荷抵抗RLに等しくなります。

(3) 電流増幅度

 エミッタ電流IE、コレクタ電流IC、ベース電流IBの間には、接地方式の如何に関わらず、(5)式が成り立ちます。これを変形して、
 IE=IB+IC=IC(1+1/hfe) …(9)
ここで、求めたい電流増幅度は、IC/IEですから、(9)式を変形して、
 IC/IE=hfe/(hfe+1) …(10)
となります。hfeは一般的なトランジスタで数10〜1000ですから、電流利得は1より少し小さい値になります。例えば、hfeが100なら、IC/IE=0.99です。この値は、ベース接地の電流増幅率αといい、ベータとは次の関係があります。
 α=IC/IE=IC/(IC+IB)
  =(IC/IB)/(IC/IB+1)=β/(β+1) …(11)
この式を見て分かりますが、βが大きければ大きいほど、αは1に近づきます。つまり、βが大きい=わずかのベース電流しか流れない=コレクタ電流ICとエミッタ電流IEがほとんど同じ、ということです。

(4) 電圧増幅度

 電圧増幅度は、RL/R3で決まります。その理由は、まず、入力に入った交流電圧vinは交流的に接地されたエミッタにvin/R3の電流を流します。電流増幅度が(3)で見たように、hfe/(hfe+1)ですから、コレクタに流れる電流ICは、
 IC=(vin/R3){hfe/(hfe+1)} …(12)
負荷抵抗RLの両端に発生する電圧が出力電圧voutだから、
 vout=ICL=vin(RL/R3){hfe/(hfe+1)}
電圧利得vout/vinは、
 vout/vin=(RL/R3){fe/(hfe+1)} …(13)
この式で、{青字}は普通のトランジスタではほぼ1ですから、
 vout/vin=RL/R3 …(14)
となります。これは、エミッタ接地で得られる利得とほぼ同程度の大きさです。
 利得を稼ぐためには、R3を小さくすればいいわけですが、そうすると(1)で書いたように入力インピーダンスが下がってしまいます。逆に大きくすると、RLも大きくしなくてはならず、そうすると今度は(2)で書いたように出力インピーダンスが上がってしまいます。つまり、入力インピーダンスと出力インピーダンス、それに電圧利得がトレードオフになっており、極端に大きな利得にはできません。目的に応じて最適設計するしかないのです。

(5) 電力増幅度

 (3)で見たように、電流増幅度は1より小さいので、「増幅」というよりわずかに減衰に近いです。また、電圧増幅度は(4)で見たようにエミッタ接地と同等に取れますから、電力(電圧×電力)増幅度としては、エミッタ接地よりは小さくなります

(6) (交流信号の場合)入出力の位相

 入力電圧が上昇→エミッタ電圧が上昇→コレクタ電圧が上昇という動作をしますから、入力と出力は同位相です。

(7) 周波数特性

 エミッタ接地で問題になったミラー効果は、入力のベースと出力のコレクタが見かけ上(電圧増幅度+1)倍の容量で結合してしまうために起こることでした。ベース接地では、入力のエミッタとコレクタの間にベースがあり、これが接地されていますので入出力が結合せず、ミラー効果はありません。そのため、周波数特性はエミッタ接地よりは広くなります

 この問題とは直接は関係ありませんが、真空管式の送信機の終段に用いられる回路に、GG(Grounded Grid:グリッド接地)と呼ばれるものがあります。これも、このベース接地と似たような特徴を持っています。

 ここまでの内容を表にまとめると、以下のようになります。

回路特性 エミッタ接地 コレクタ接地 ベース接地
入力
インピーダンス
低い
(入力電圧が上昇してもVBEはほとんど一定)
高い
(入力電圧が上昇すると、ベース電圧も上昇)
低い
(エミッタ接地と同じ理由)
出力
インピーダンス
高い
(負荷抵抗と同じ)
低い
(原理的にゼロ)
高い
(負荷抵抗と同じ)
電圧利得 大きい
(hfeと負荷抵抗の大きさで決まる)
1より小さい
(ほぼ1)
大きい
(hfeと負荷抵抗の大きさで決まる)
電流利得 大きい
低周波ではほぼhfe
大きい
低周波ではほぼhfe
1より小さい
(ほぼ1)
電力利得 大きい
(電圧利得も電流利得も大)
エミッタ接地より小
(電流利得は大だがも電圧利得が1)
エミッタ接地より小
(電圧利得は大だがも電流利得が1)
交流信号の位相 逆相 同相 同相
周波数特性 あまり良くない
(ミラー効果による高周波利得減)
良好
(ミラー効果なし)
良好
(ミラー効果なし)
 

それでは、解答に移ります。
 …電流増幅度が最も小さいのはベース接地ですので誤りです
 …電流増幅度が最も小さいのはベース接地ですので誤りです
 …電流増幅度が最も小さいのはベース接地ですので誤りです
 …電流増幅度・電圧増幅度の記述共に合っていますので正解です
 …電力増幅度が最も大きいのはエミッタ接地ですので誤りです
となりますから、正解はと分かります。