□ H16年08月期 A-08  Code:[HD0304] : ハートレー回路で、共振回路のコンデンサ容量変化時の周波数の変化率計算
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2022年
12/31 12月期問題頁掲載
09/01 08月期問題頁掲載
05/14 04月期問題頁掲載
H1608A08 Counter
無線工学 > 1アマ > H16年08月期 > A-08
A-08 図に示すハートレー発振回路の原理図において、コンデンサCの値が36 [%]減少したときの発振周波数の変化率として、正しいものを下の番号から選べ。
 6 [%]増加する。
18 [%]増加する。
20 [%]増加する。
25 [%]増加する。
36 [%]増加する。
問題図 H1608A08a
Fig.H1608A08a

 部品の定数変化と発振周波数の変動の関係を聞かれています。共振回路の共振周波数を求める式が分かれば、容易に解答できると思います。

[1]共振回路の共振周波数を求める式と部品の定数変動

 ハートレーでもコルピッツでもインダクタンスL [H]のコイルと容量C0 [F]のコンデンサで組まれた発振回路の発振周波数f0 [Hz]は、これらのLとCで組まれた共振回路の共振周波数そのもので、次のように決まります。
 0=1/2π√LC0 …(1)
一方、ここでは、コンデンサの容量が変化してC1になったと言っているので、このときの発振周波数をf1 [Hz]とすると、
 f1=1/2π√LC1 …(2)
となります。

 問題が要求しているのは、周波数の変化率k [%]ですから、
 k=(f1/f0−1)×100
  ={√(C0/C1)−1}×100…(3)
となります。この値が正なら周波数は上がり、負なら下がることになります。

 ところで、、√の中はLとCに対して対称ですから、たとえば、Lがk [%]変動したとしても周波数の変化率は同じです。

[2]雑談…温度補償用コンデンサ

 セラミックコンデンサのカタログを見ると、「温度補償用」という一群の製品があります。これらは、温度係数が一定の値で、いろいろなものの係数があって選べるようになっています。要するに、温度係数を添加物などで制御して製品としています。
 普通に考えると、温度で変化しない方がいいに決まっているのに、なぜこのような「わざと温度変化する部品」が存在するかと言うと、これは共振回路の「相方」であるコイルの温度変化を打ち消すためです。例えば、温度が20℃変化して、Lが0.95Lに減少したとすると、Cは逆に、1.053Cになれば、√の中はほぼ一定ですから、発振周波数に変化はありません。
 しかしながら、これはまだまだ水晶発振子が高価だった頃の話で、LC発振器でそこまでシビアな設計をするくらいなら、水晶発振子で設計した方が何かと楽だ、という時代になってきました。最近では(温度係数がほぼゼロのものを除き)あまり温度補償用コンデンサに需要がある、という話を聞いたことがありません。

それでは、解答に移ります。
 C0=Cだったものが、容量が36 [%]減少してC1=(1-0.36)C=0.64Cになった、といっています。これを、(3)式に代入すれば、
 k={√(1/0.64)−1}×100=25 [%]
となるので、25 [%]の周波数上昇です。よって正解はと分かります。