□ H16年12月期 A-02  Code:[HA0204] : 正負の2点電荷間の平衡点位置の計算(クーロンの法則)
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2022年
12/31 12月期問題頁掲載
09/01 08月期問題頁掲載
05/14 04月期問題頁掲載
H1612A02 Counter
無線工学 > 1アマ > H16年12月期 > A-02
A-02 図に示すように、空気中においてA点に+4 [μC]、B点に+36 [μC] の点電荷があるとき、AB間のP点において電界が零になった。P点からA点までの距離の値として、正しいものを下の番号から選べ。ただし、AB間の距離は1[m] とする。
0.1  [m]
0.16 [m]
0.25 [m]
0.36 [m]
0.4  [m]
問題図 H1612A02a
Fig.H1612A02a

 この問題を解くには、2つのポイントがあります。まず、クーロンの法則を理解していることと、次に「電界がゼロになる」という物理的な意味を理解していることです。

[1]電界がゼロになる、とは?

 まずはじめに、電界がゼロになる点、というのはそもそもどんな点なのかを理解しておきます。
 まず、電界というのは、ある電場の中に「単位正電荷(+1 [C]のこと)」を置いた時、その電荷に働く力で定義されます。電界が強ければ強いほど、その電荷に働く力は大きくなり、電界がゼロなら力は働きません。もちろん、働く力は電荷の量に比例し、負電荷なら力の向きが逆になるだけです。

[2]クーロンの法則で考える

 2つの正電荷AとBに挟まれた空間(電場)で、電界がゼロになる点をFig.HA0204_aのように考えてみます。
 この空間では、単位電荷がP点で受ける力は、Aからの反発力とBからの反発力になります。P点の電界がゼロだ、ということは、この2つの力の大きさが同じで向きが逆、ということです。
 「電界がゼロになる」ということと「力を及ぼすものが何もない」のとは意味が違うことにご注意下さい。ここでは「力を及ぼすものが2つあって、その力がつりあっているという点が、電界がゼロになる点だ」、ということです。
 それでは、クーロンの法則を使って、具体的に解いていきます。
Fig.HA0204_a 電界の平衡点
Fig.HA0204_a
電界の平衡点
 電界がゼロになる点をPとして、点PとAの距離をx[m] 点PとBの距離をd−x[m] とします(AB間はd[m])。
 P点に置いたQ[C]がAから受ける力FAとBから受ける力FBとは、大きさが等しいので、
 FA=FB …(1)
が成り立ちます。一方、クーロンの法則から、2つの電荷(ここではAとQ、または、BとQ)の間に働く力は距離の2乗に反比例しますから、比例定数をkとして、
 FA=kQAQ/x2 …(2) 
 FB=kQBQ/(d−x)2 …(3)
(1)に(2)(3)を代入して整理すれば、
 QA(d−x)2 = QB(x2) …(4)
(4)式の両辺の正の平方根(d>xは明らかだから、d−x>0)を取って、
 (d−x)√QA=x√QB …(5)
ですから、これをxについて解いて、
 x=d√QA/(√QA+√QB) …(6)
で、となります。

それでは、解答に移ります。
A=+4 [μC]、QB=+36 [μC]、d=1 [m]を(6)式に代入して、
 d=1×{2/(2+6)}=0.25 [m]
となりますから、正解はと分かります。
 計算の得意な方なら、クーロンの法則のツボ(力が距離の2乗に反比例)さえ分かれば、以下のようにして暗算で求めることもできます。
 Aの電荷を1とすれば、Bの電荷は9ですから、P点は線分ABを√1:√9に内分する点、すなわち、AP:PB=1:3となります。従って、AP=AB/4で0.25 [m]となります。