□ H17年08月期 A-24  Code:[HJ0301] : 電流計と電圧計を含む測定回路で、回路内部の抵抗で消費される電力の計算
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12/31 12月期問題頁掲載
09/01 08月期問題頁掲載
05/14 04月期問題頁掲載
H1708A24 Counter
無線工学 > 1アマ > H17年08月期 > A-24
A-24 図に示す測定回路において、電流計の指示値をI [A]、電圧計の指示値をE [V]及び電圧計の内部抵抗をr [Ω]としたとき、抵抗R [Ω]の消費電力P [W]を表す式として、正しいものを下の番号から選べ。
P=EI−E2/r
P=EI+I2
P=EI+I2r−E2/r
P=EI−I2
P=EI+E2/r
問題図 H1708A24a
Fig.H1708A24a

 計測の問題ですが、ほとんどオームの法則で解けてしまいます。ミソは電流計や電圧計を簡単な部品に置き換えてしまうことです。

[1]電圧計が単なる抵抗だと考えれば…

 この問題を解きにかかる前に、電流計だの電圧計だのは中身が分からないと面倒ですから、Fig.HJ0301_aのように、単純化してしまいます。
Fig.HJ0301_a 単純化した回路モデル
Fig.HJ0301_a
単純化した回路モデル
 この問題文では、電圧計の内部抵抗については記述がありますが、電流計の内部抵抗について何も書かれていません。実は、着目しているのがノードa−b間の消費電力なので、電流計の内部抵抗は考える必要がありません。電圧計と抵抗Rに流れる電流の合計が、電流計の読みであり、抵抗Rの両端にかかる電圧が、電圧計の読みです。なので、抵抗と電圧計で消費される電力を計算するのに、電流計の内部抵抗は計算に出てこないのです。
 単純に電流計は0 [Ω]の抵抗である、という風にしてしまいます。また、電圧計も、r [Ω]の抵抗である、としてしまいます。
 これで、この問題は、「ノードa−b間にかかる電圧がE [V]で、2本の抵抗に流れる電流の合計がI [A]である時、R [Ω]の抵抗で消費される電力を求めよ」という問題に化けてしまいました。

[2]シンプルな解き方とこの問題の意味

 この2本の抵抗には電圧E [V]がかかっていて、電流が合計でI [A]流れているのですから、2本の抵抗で消費する電力PAllは、
 PAll=EI [W] …(1)
です。一方、r [Ω]で消費される電力Prは、
 Pr=E2/r [W] …(2)
となります。ここまでは、簡単に計算できます。求めようとするRの抵抗で消費される電力PRは、全消費電力PAllからrで消費される電力Prを引いたものですから、
 PR=PAll−Pr
   =EI−E2/r [W] …(3)
と求められます。
 この問題は、単なる計算問題ではなくて、出題者の意図としては、電圧計の内部抵抗と誤差の関係に気づいて欲しい、というところがあると思います。それは、(3)式を見ると分かります。
 もし、電圧計が高性能で内部抵抗rが理想的(無限大)と仮定すると、−E2/r=0となりますから、PR=EIとなって、負荷で消費される電力は、電圧計の読みと電流計の読みの積そのもので求められます。
 しかし、実際にはrは無限大ではないので、その分が誤差の項−E2/rとなって現れます。しかも、この誤差は内部抵抗rが小さいほど大きく、また電圧の2乗に比例するので、特に小さな電力(ことに高電圧、微小電流)を扱う回路では無視できないのです。

それでは、解答に移ります。
 計算の結果、(3)式から、PR=EI−E2/rとなりますから、正解はと分かります。