□ H17年12月期 A-22  Code:[HI0203] : 短波の電波伝播で、ロングパスが生じる理由とショートパスとのエコーの説明
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2022年
01/11 12月期問題頁掲載
2021年
10/17 09月期問題頁掲載
04/28 04月期問題頁掲載
H1712A22 Counter
無線工学 > 1アマ > H17年12月期 > A-22
A-22 次の記述は、短波(HF)帯の電波伝搬について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。
 一般に電波は送受信点間を結ぶ[A]を通り、そのうち図のSのように最も短い伝搬通路を通る電離層波は電界強度が大きく、無線通信に用いられる。しかし短波帯の遠距離通信においては、Sの伝搬通路が昼間で第一種減衰が大きく、Lの伝搬通路が夜間で減衰が少ないとき、Lの伝搬通路を通る電波の電界強度が大きくなり、十分通信できることがある。
 このような逆回りの長い伝搬通路による電波の伝搬を[B]といい、条件により同時にSとLの二つの伝搬通路を通って伝搬すると、電波の到達時間差により[C]を生ずることがある。

大円通路 対流圏散乱 ドプラ効果
大円通路 ロングパス エコー
大円通路 ロングパス ドプラ効果
対流圏 ロングパス エコー
対流圏 対流圏散乱 ドプラ効果
問題図 H1712A22a
Fig.H1712A22a

 HFで世界中と交信する時、どちらにビームを向けたらよいか、を考えるのに役立ちます。不思議なことに、距離の長い経路を通ってくる電波の方が強かったり、両方同じようなレベルで聞こえるために、CWなどではエコーがかかって、取りにくいことこの上ないことなどがままあります。

[1]ロングパスとショートパス

 地球上のある点から電波を出して、もう一つの点に到達する経路は、無数にありますが、最短経路は一つだけです。この最短経路をショートパスといい、普通はこれに沿って伝搬するものと考えられるので、日本から北米西海岸向けで交信したい時は、ほぼ北東にビームを向けます。
Fig.HI0203_a 伝播経路の昼夜と第一種減衰
Fig.HI0203_a
伝播経路の昼夜と第一種減衰
 ところが、たまに、北東側からほとんどスカスカの信号しか聞こえないのに、南西からの信号が強かったり、両方から同じような強さで入感する事があります。このように、ショートパスと反対の経路で長い方の伝播経路をロングパスといいます。
 これは、Fig.HI0203_a左のように、ショートパスよりもロングパスの方が伝搬条件が良好なことがあって、距離の近い方が弱く、長い方が強い、という逆転の関係になるためです。
 どういう条件で、このようになるのかは、この後に詳しく見て行きます。

[2]昼と夜とで電離層通過時の減衰が異なる

 では、どのようなケースが「長い距離の方が条件が良い」のでしょうか? これを考えるには、代表的な例として、夜と昼との電離層の条件差があります。
 電離層は昼間は太陽からの電離作用により電子密度が高く、夜間は低いので、Fig.HI0203_a右のように、透過・反射の際の減衰(吸収)率が異なってきます。
 通常、DXに使用するにはD・E層を突き抜けてF層反射を利用する14 [MHz]帯以上の周波数が多いので、これを例に考えてみます。電磁波が電離層を突き抜ける時、その電子密度が高いほど、また、周波数が低いほど大きな減衰を受けます。減衰量は電子密度に比例し、周波数の2乗に反比例します。この突き抜ける時の減衰」を第一種減衰といいます。
 これに対して、反射の際に受ける減衰を、第二種減衰といいます。夜になると遠距離の中波放送(AMラジオ)が聞こえるようになるのは、昼間は存在して中波を減衰させてしまうD層が消滅し、E層の電離層波が使えるためです。この第二種減衰は電子密度が大きいほど、また、周波数がMUFに近づくほど大きくなりますが、電子密度や周波数と減衰量は単純な関数にはなりません。
 話を戻すと、14 [MHz]以上では夜間にE層の第一種減衰が減少し、また、第二種減衰も減少するため、電界強度が強いまま長距離伝搬できるようになります。この効果は、何度もホップ(跳躍)する遠距離ほど、昼間との差が顕著になります。
 このことから、ショートパスの経路がほとんど昼間で、大きな減衰を受けるが、ロングパスの方は夜間で、あまり減衰を受けない場合、ロングパスの方の距離による減衰よりもショートパスの第一種減衰の方が大きくなり、ロングパスの方が電界強度が大きい、という現象が起こるわけです。
 また、両者の強度が同程度の場合、経路差にも依りますが、数 [ms]〜数十 [ms]の時間差で到達するため、エコーとして聞こえ、電信などではキーダウンとスペースが重なって、信号は強いのにほとんど取れないこともあります。

それでは、解答に移ります。
 …短波を使う遠距離通信では主に大円通路を使います
 …ショートパスの反対はロングパスです
 …経路差による時間差が信号として聞こえる現象はエコーです
となりますから、正解はと分かります。