□ H18年04月期 A-10  Code:[HD0201] : 負帰還回路で、増幅器の裸利得と帰還率と増幅度の関係、又は計算
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2022年
12/31 12月期問題頁掲載
09/01 08月期問題頁掲載
05/14 04月期問題頁掲載
H1804A10 Counter
無線工学 > 1アマ > H18年04月期 > A-10
A-10 図に示す負帰還増幅回路において、負帰還をかけないときの電圧増幅度Aを100(真値)及び帰還回路の帰還率βを0.2としたとき、負帰還をかけたときの増幅度の値として、最も近いものを下の番号から選べ。
 0.2
 4.8
 8.6
12.0
80.0
問題図 H1804A10a
Fig.H1804A10a

 負帰還の増幅度を求める公式を覚えるのは難しくありませんから、試験の時はいちいち公式の導出をやらないで暗記してしまえばいいのですが、一度は「なぜそうなるの?」を調べておくと忘れにくいです。

[1]負帰還って何? 何のためにかける?

 増幅器は(理想的には)入力の信号をそのまま、振幅や流し得る電流のみを大きくして出力する装置です。ところが、現実にはこの「そのまま」という部分が難しく、ひずみやノイズといった、不要な成分が出てきてしまいます。
 この不要な成分の発生を減少させるため、出力の一部を入力側に戻し、入力から減算したものを増幅器の真の入力としてやるものです。利点としては、
  • 裸利得のばらつきが抑えられる
  • ひずみが抑えられる
  • 出力インピーダンスを低くできる
  • 入力インピーダンスを高くできる
  • 利得一定で増幅可能な周波数帯幅が広がる
というようなメリットがあります。また、増幅器の(負帰還をかけない時の)裸の利得が大きければ大きいほど、負帰還の効果が上がるため、元々の利得が非常に大きいオペアンプ(演算増幅器)で多用されます。

[2]負帰還回路の動作から利得を求める

 問題にもあるように、負帰還増幅回路は増幅器本体と帰還回路からなっています。増幅器本体はまさに信号を増幅する部分ですが、帰還回路は出力の一部を入力に戻し、ここから減算(符号を逆にして加算)する部分です。帰還回路でどの程度入力に戻すかを帰還率βといいます。
Fig.HD0201_a 負帰還増幅回路の動作
Fig.HD0201_a
負帰還増幅回路の動作
 まず、この増幅系に入る信号の入力電圧がVin、出力電圧がVoutだとします。求めたいのはVout/Vinです。
 帰還回路で出力電圧Voutがβ倍されて出てきます。「負」帰還ですから、それを入力電圧Vinから減算しますから、Vin−βVoutが、アンプAの入力になります。つまり、
 Vout=A(Vin−βVout) …(1)
(1)をVoutについて解いて、
 Vout(1+Aβ)=AVin …(2)
∴ out/Vin=A/(1+Aβ) …(3)
これが、負帰還回路の利得を求める公式になります。
 回路のトータルな利得を決めるのは、増幅器の裸の利得Aと帰還利得βですが、オペアンプなどではAが10000(一万)〜1000000(百万)にもなりますから、(3)式の分母分子をAで割ればVout/Vin≒1/βとなります。このことは、系全体の利得は、裸の利得Aがばらついても、設計パラメータで決められるβで決まってしまうことを意味しており、上で述べたように、裸利得のバラツキを抑えられている、ということを示しています。

それでは、問題に移ります。
 問題文から、A=100,β=0.2を(3)に代入すれば、電圧利得は約4.8となりますので、正解はと分かります。