□ H18年04月期 A-25  Code:[HJ0503] : 補助電極を用いた接地抵抗の測定方法
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2022年
12/31 12月期問題頁掲載
09/01 08月期問題頁掲載
05/14 04月期問題頁掲載
H1804A25 Counter
無線工学 > 1アマ > H18年04月期 > A-25
A-25 図は、接地板の接地抵抗を測定するときの概略図である。図において端子(1)−(2) 、(1)−(3)、(2)−(3) 間の抵抗値がそれぞれ0.3 [Ω]、0.4 [Ω]、0.5 [Ω]のとき、端子(1)に接続された接地板の接地抵抗の値として、正しいものを下の番号から選べ。
0.1 [Ω]
0.2 [Ω]
0.3 [Ω]
0.4 [Ω]
0.5 [Ω]
問題図 H1804A25a
Fig.1804A25a

 接地抵抗というのは、地球と接地電極間の抵抗ですが、ハンダ付けする部品の抵抗と違い地球の側の電極はありませんから、測定するには何らかの工夫が必要になります。原理が分かってしまえば、オームの法則さえ必要なく解けてしまいます。

[1]補助電極を使って接地抵抗を測る

 地中に埋め込んだ接地電極があって、その接地抵抗を測定しようとする時、2本の補助電極が必要になります。上に書いたように、接地抵抗とは一方は電極ですが、相手が地球全体なので、直接「テスターで測るように」は行きません。そこで使用されるのが補助電極です。では、補助電極を使った接地抵抗の測定方法を以下に見て行きます。
Fig.HJ0503_a 補助電極を用いた接地抵抗の測定
Fig.HJ0503_a
補助電極を用いた接地抵抗の測定
 Fig.HJ0503_aのように考えます。A極を接地電極として、B極、C極を補助電極とします。G点を地球極だとすると、補助電極にも接地抵抗が存在します。
 各々の接地抵抗をR1, R2, R3とします。測定は、A−B間、B−C間、C−A間の抵抗を測定します。その測定値をR12, R23, R31とします。
 R12はR1とR2の直列ですから、
 R12=R1+R2 …(1)
となります。B−C間、C−A間も同様にして、
 R23=R2+R3 …(2)
 R31=R3+R1 …(3)
後は、計算する(R1に付いて解く)だけです。(1)から(3)を全部加えて2で割ります。すると、
 (1/2)(R12+R23+R31)=R1+R2+R3 …(4)
となりますが、この式の右辺からR2とR3を消去すれば求める接地抵抗R1が出ます。それには、(4)式から(2)式を引けばよく、
 R1=(1/2)(R12+R23+R31)−R23
  =(1/2)(R12−R23+R31) …(5)
と求められます。

[2]接地抵抗測定の実際

 計算上はこのようにして簡単に求められる接地抵抗ですが、実際にはいろいろと工夫が必要です。
  • 交流で測定すること
    インダクタンス分やキャパシタンス分があるからではなく、直流で測定すると、地中の水分や電解質が電気分解を起こして電極と反応したりするため、正確な測定ができなくなるからです。
  • 各接地極は相互に10 [m]程度離すこと
    理想的にはFig.HJ0503_aの点Gは無限遠点になければなりません。近いと、各電極間をショートカットする経路ができたようになり、値が狂います。
 その昔、「コールラウシュブリッジ」という交流ブリッジ(今でも大学の実習ではやられているようですが)で、この問題でいうR12などの電極間の抵抗値を測定し、この問題の方法で計算して接地抵抗R1を求めていました。
 現在では、電圧降下法という方法で、補助電極が2本必要なことには変わりないのですが、もう少し直接的に測定が可能(測定器に値が示される)になっています。ただ、この方法では、電極を直線状に並べなければならない制約があり、ビルの谷間等でそれが無理な所では、この問題のような計算で求める方法を取らなくてはなりません。

それでは、解答に移ります。
 与えられた抵抗値をそれぞれに代入すれば、R12=0.3 [Ω], R23=0.5 [Ω], R31=0.4 [Ω]となります。これを(5)式に代入して
 R1=0.1 [Ω]
となりますから、正解はと分かります。