□ H18年04月期 B-01  Code:[HJ0101] : 国際単位系で示される電磁気関係の物理量の単位
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05/14 04月期問題頁掲載
01/11 12月期問題頁掲載
2021年
10/17 09月期問題頁掲載
H1804B01 Counter
無線工学 > 1アマ > H18年04月期 > B-01
B-01 次の表は、電気磁気等に関する国際単位系(SI)からの抜粋である。[ ]内に入れるべき字句を下の番号から選べ。
アンペア毎メートル [A/m]
ヘンリー [H]
ヘンリー毎メートル [H/m]
オーム [Ω]
オーム・メートル [Ω・m]
ウェーバ [Wb]
ファラド毎メートル [F/m]
ルーメン [lm]
ウエーバ毎平方メートル [Wb/m2]
10 ジーメンス [S]
問題図 H1804B01a
Fig.1804B01a

 電磁気関係の国際単位(SI)系での規定を問う問題です。分かっているようで、案外正確なところは覚えていません(というか、多くて丸暗記しきれない)。なるべく基本的な単位を覚えておいて、複雑なものは組合せで考えるようにするといいと思います。

[1]単位は覚えるもの?

 その「組み合わせの方法」が物理法則なので、電気物理の項に出てくる物理法則を理解していれば、大概の単位は基本単位から導き出せてしまいます。
 例えば、簡単な例では、抵抗率ρです。文章で書くと、「導線の抵抗Rは、その物質の抵抗率ρと長さlに比例し、断面積Sに反比例する」となります。
 式で書けば、抵抗R [Ω]=抵抗率ρ×長さl [m]/断面積S [m2]
ですから、
 ρ=R・S/l [Ω・m2/m]→[Ω・m]
という単位であることが導き出すことができます。
 このように、この問題は、単に単位を暗記させる問題ではなく、電気の諸法則を理解しているか、という問題でもあるわけです。問題を解く側としては、物理法則を理解していれば、単位を丸暗記するよりも効率的で楽だ、ということなので、法則だけは身につけておいた方がよいでしょう。

[2]基本的な単位

 前置きが長くなりましたが、電磁気関係の基本的な単位を示します。大体のものがアルファベット(又はギリシャ文字)1文字で表されるものです。ですが、実はこれらの単純に見える物理量も、「次元」という概念で、さらに細かく表されます。
 「次元」を構成する量は、長さm、質量kg、時間s、電流Aの4つで、他の物理量はこの4つの組合せで表すことができます。このため、SI単位系は別名、MKSA単位系、とも呼ばれます(正確には国際標準としてMKSA単位系が採用された)。
 この、次元自体は暗記する必要はありませんが、物理法則と組み合わせて導出した時に、検算に使えます。

物理量 単位(読み) 備考
電圧
ボルト
基本的な単位ですが、実はこの後に出てくる、電荷量C(クーロン)を電位差Vだけ移動させるのに必要なエネルギーがCVなので、[V]は[J/C]の次元を持ちます。
電流
アンペア
これも基本的な単位で、「次元」を構成する物理量のひとつです。単位時間あたりに流れる電荷量、ということで、[C/s]の次元を持ちます。
電力
ワット
電気の単位を使って表現すれば、電圧と電流の積である、[VA]の次元を持ちます。エネルギー[J]と時間[s]を使えば、単位時間あたりのエネルギーなので、[J/s]の次元です(上で、V=J/CとA=C/sをそれぞれ代入するとVA=J/sとなります)。
エネルギー
ジュール
エネルギーは物理的に言うと仕事量です。力学では力とその働く方向に移動した距離の積(積分)、電気では電力[W]と時間[s]の積(積分)です。従って、[J]=[Ws]という次元を持ちます。
電荷
クーロン
コンデンサなどに蓄積されている電気の量がこの単位です。電流と時間の積[As]の次元を持ちます。
抵抗
インピーダンス
リアクタンス
Ω
オーム
オームの法則からも明らかなように、電圧を電流で割った[V/A]の次元を持ちます。交流に対する電流を妨げる量としてのインピーダンスやリアクタンスもこの単位です。
コンダクタンス
アドミッタンス
サセプタンス

ジーメンス
抵抗の逆数の[Ω-1]の次元を持ちます。インピーダンスの逆数がアドミッタンス、リアクタンスの逆数がサセプタンスです。面倒なので、後の方に「タンスの話」でまとめます。
静電容量
ファラド
コンデンサの容量の単位です。大き過ぎるので、マイクロファラドμF(=10-6F)やピコファラドpF(=10-12F)が使われます。コンデンサの電荷量は静電容量と電圧の積ですから、静電容量は[C/V]の次元を持ちます。
インダクタンス
ヘンリー
コイルの自己インダクタンスやトランス巻き線間の相互インダクタンスの単位です。時間変化する電流がコイルに発生させる逆起電力は、電流の時間微分とインダクタンスの積なので、インダクタンスは[Ωs]の次元を持ちます。

ここに示したものの他、長さm、質量kg、時間sもありますが、ほとんど自明なので説明は省略します。

[3]組み合わせ単位

 ここでは、上記の基本的な単位を組み合わせたものについて調べます。

物理量 単位(読み) 備考
抵抗率 Ω・m
オーム・
メートル
上記の例で書きましたが、(導線の)抵抗は抵抗率と長さに比例し、断面積に反比例するところから求められます。
導電率 S/m
ジーメンス
毎メートル
導電率は抵抗率の逆数ですから、単純に計算すれば、(Ω・m)-1=Ω-1/m=S/mとなります。
電界の強さ
(電界強度)
V/m
ボルト毎
メートル
電位の傾きとも考えられます。1[m]進む時、電位[V]がどれだけ上がる(又は下がる)かを示したもので、受信アンテナに発生する起電力を計算するのに使用します。
磁場の強さ A/m
アンペア毎
メートル
ビオ・サバールの法則、又はアンペールの法則から、長い直線電流I[A]からr[m]離れた位置での磁界の強さがI/2πrとなることから、この物理量が[A/m]の次元を持つことがわかります。
磁束 Wb
ウェーバー
ある面積(どんな形でも良い)を通り抜ける磁力線の垂直成分の大きさの合計を言います。厳密には面積が曲面である場合は、積分して求めますが、要するにある面積を貫く磁力線の数、と考えればよいでしょう。
磁束密度 Wb/m2
ウェーバー毎
平方メートル
又はTテスラ
上で磁束を定義しましたが、その単位面積あたりの量をいいます。Wbを単位面積あたりに直すので、[Wb/m2]という次元なわけです。
単位[T]テスラも、磁束密度の単位です。1 [T]=1 [Wb/m2]です。
誘電率 F/m
ファラド毎
メートル
物質の持つ、電気力線を集める性質の強さを表します。(平行平板コンデンサの)静電容量は、誘電体の誘電率と極板面積に比例し、極板間距離に反比例するところから、誘電率の単位は、F/mと導き出せます。
電束密度 C/m2
クーロン毎
平方メートル
電荷q [C]の表面から出るのが電束で、その密度が電束密度Dです。点電荷からd [m]離れた点ではD=q/(4πd2)ですから、単位はC/m2となります。
透磁率 H/m
ヘンリー毎
メートル
物質の持つ、磁力線を集める性質の強さを表します。強さH [A/m]の磁場中に物質を置いた時、集められる磁束密度をB [Wb/m2]とします。B/Hが透磁率なので、[Wb/Am]の次元を持ちます。[Wb/A]はインダクタンス[H]の次元と等しいので、結局[H/m]の次元を持つことがわかります。

上記で、「単位を覚えることは物理法則を理解すること」などと偉そうなことを書きましたが、実は、物理量の単位は、その発展の過程で4πが付いたり付かなかったり、と非常に複雑な過程を経ており、いまだに古い物理の教科書では、SI単位系でないものもあります。私もほとんど理解しきれないのですが、電気の物理量とその単位は、法則と密接に結びついていることだけは確かですので、この問題を「測定」に位置づけましたが、電気物理の項を紐解くのが、解答への早道であることには変わりありません。

[4]タンスの話 その1…インピーダンスとアドミッタンス

 電気をやっていると、「○○タンス」という物理量が多く出てきて、混乱することがあります。私も混乱しているので、ちょっとまとめてみました。まず第一に、電流の流れやすさ、流れにくさを示す量をまとめます。
 交流を扱うため、最初にインピーダンスZ(この「○○タンス」だけは馴染み深いでしょう)を以下のように複素数で定義してしまいますので、実数部Rと虚数部Xが出てきます。jは虚数単位です。
 Z≡R+jX …(1)
このZは、いわば「電気の流れを妨げる量」とでも言う量で、大きければ大きいほど電流が小さくなるイメージです。インピーダンスZの実数分Rを抵抗レジスタンス)、虚数分Xをリアクタンスといいます。いずれも単位は[Ω](オーム)です。
 インピーダンスを使った計算は、交流電源に直列的に部品が接続されている場合は、単純に和になるのでよいのですが、(抵抗だけの回路でも)並列の部品が多い場合は、計算が複雑になります。
 そこで、「電気の流れやすさを表す量」として、インピーダンスの逆数であるアドミッタンスYという量を以下のように定義します。
 Y≡1/Z=G+jB …(2)
これもインピーダンスと同様に、実数部Gと虚数部Bに分けて、Gをコンダクタンス、Bをサセプタンスと呼びます。いずれも単位は[S](ジーメンス)です。並列回路の問題を解いてみるとわかりますが、逆数で計算すると、計算が楽になります。
 なお、(1)式の逆数を取って(2)式を対応させるとわかりますが、X≠0ならG≠1/R、また、R≠0ならB≠1/Xなのでご注意下さい。
 なお、インピーダンスとアドミッタンスをまとめて「イミッタンス」と呼ぶことがあります。スミスチャートを扱われたことのある方なら「イミッタンスチャート」でおなじみかも知れません。これは物理量ではなく、両者をまとめた「交流に対する抵抗分という概念」と理解して下さい。

[5]タンスの話 その2…キャパシタンスとインダクタンス

 上記の「タンス」の他に、コンデンサCの容量やコイルLの誘導分を示す、キャパシタンスインダクタンス、といった「タンス」もあります。先に見たように、キャパシタンスは単位が[F](ファラド)で、インダクタンスは[H](ヘンリー)です。
 上記の電流の流れやすさ、流れにくさとは異なり、これらは部品の持つ定数です。扱うのが交流の時は、コイルやコンデンサは周波数によって「電流を制限する働き」が異なりますので、部品そのものの持つ定数を、周波数によってその働きが変化する値で表現することは適切ではありません。反対に、周波数によって(理想的には)値が変化しない抵抗のようにオームで表すことができる部品は、抵抗値そのものが部品の性質を示すことになります。
 (角)周波数をω [rad/s]とすると、ご存知のように、
 X=ωL (コイルだけの時), X=1/ωC (コンデンサだけの時)
 X=ωL−1/ωC (コイルとコンデンサが直列の時)
また、サセプタンスBで表せば、
 B=1/ωL (コイルだけの時), B=ωC (コンデンサだけの時)
 B=1/ωL+ωC (コイルとコンデンサが並列の時)
となります。
 文章で長々と書きましたが、まとめると以下のようになります。
物理量 単位(読み) 意味
インピーダンス Ω
オーム
交流に対する電流の流れにくさを表す。一般に複素数。
抵抗
(レジスタンス)
Ω
オーム
インピーダンスの中の実数部分。周波数に依存しない成分。受動部品では正の値しかない。
リアクタンス Ω
オーム
インピーダンスの中の虚数部分。周波数に依存する成分。容量成分はマイナス、誘導成分はプラスの値を取る。
アドミッタンス
ジーメンス
インピーダンスの逆数。交流に対する電流の流れやすさを表す。一般に複素数。
コンダクタンス
ジーメンス
アドミッタンスの中の実数部分。周波数に依存しない成分。受動部品では正の値しかない。
サセプタンス
ジーメンス
アドミッタンスの中の虚数部分。周波数に依存する成分。容量成分はプラス、誘導成分はマイナスの値を取る。
キャパシタンス F ファラド コンデンサの静電容量
インダクタンス H ヘンリー コイルの自己「誘導係数」、2以上の巻線間の相互誘導係数
 

それでは、解答に移ります。
 …抵抗率の単位は、5 オーム・メートル [Ω・m]です
 …誘電率の単位は、7 ファラド毎メートル [F/m]です
 …磁束密度の単位は9 ウエーバ毎平方メートル [Wb/m2]又はテスラ [T]です
 …磁界の強さの単位は1 アンペア毎メートル [A/m]です
 …アドミッタンスの単位は10 ジーメンス [S]です
となります。