□ H18年08月期 A-06  Code:[HB0402] : LC並列回路からそのリアクタンスの周波数特性グラフを選ぶ
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09/02 08月期問題頁掲載
04/13 04月期問題頁掲載
2018年
12/09 12月期問題頁掲載
H1808A06 Counter
無線工学 > 1アマ > H18年08月期 > A-06
A-06 図に示すLC並列回路のリアクタンスの周波数特性を表すグラフとして、正しいものを下の番号から選べ。
問題図 H1808A06a
Fig.H1808A06a

 この回路は共振回路ですが、単に誘導リアクタンスと容量リアクタンスの並列回路として、全体のリアクタンスを考えてみましょう。

[1]誘導性リアクタンスと容量性リアクタンスの並列

 まず、自己インダクタンスL [H]のコイルのリアクタンスXL [Ω]、容量C [F]のコンデンサの容量性リアクタンスXCはそれぞれ、ω=2πf [rad/s]として、
 XL=ωL …(1)
 XC=−(1/ωC) …(2)
これらの合成インピーダンスZ [Ω]は、
 Z=(jXL・jXC)/{j(XL+XC)}
  =−j(ωL/ωC)/{ωL−(1/ωC)}
  =−jωL/(ω2LC−1) …(3)
ここで、この並列回路の全体としてのインピーダンスZの虚部(jの係数のこと)をZpとすると、
 Zp=−ωL/(ω2LC−1) …(4)
この式から、問題の図のグラフなど想像もつかないのですが、ちょっとした変形をしてみると見通しが開けます。でもこんな計算は、本番でやっていると試験が終わってしまいますので、最後に結果を定性的に説明します。(4)式を部分分数に分解します。
 Zp=(−1/2)√(L/C)[1/{ω√(LC)−1}+1/{ω√(LC)+1}] …(5)
さらにこれを(5)式の青字の部分に着目して、
 Zp=−(Z1+Z2) …(6)
という2つの部分に分けます。カッコの中の各々は、
 Z1=(1/2)√(L/C)[1/{ω√(LC)−1}] …(7)
 Z2=(1/2)√(L/C)[1/{ω√(LC)+1}] …(8)
となります。

[2]数学だけで考えると?

 今、調べたいのはωが変化した時、Zpがどのように振舞うか、です。実際に周波数は0から正の領域で、負の周波数というのはありませんが、一応ここでは単純に数学の議論であるとして、関数の形を探るためにωは全実数を取りうる、として話を進めます。
 すると、(7)の青字の部分はω=1/√(LC)の時に値が無限大となってしまいます。また、(8)式の赤字の部分はω=−1/√(LC)の時に値が無限大となります。(7)と(8)からZ1やZ2がωの関数と見てグラフを書くと、Fig.HB0402_aのようになります。
HB0402_a 並列共振の周波数−リアクタンス特性
Fig.HB0402_a
並列共振の周波数−リアクタンス特性
 少しゴチャゴチャしていて見づらいのですが、ここでは、
  青い線がZ1
  赤い線がZ2
の振舞いを示しています。Z1はωが右側から1/√(LC)に近づく時に+∞、左側から近づく時に−∞に発散します。一方、Z2も同様にωが右側から−1/√(LC)の時に+∞に、左側から近づく時に−∞に発散しています。
 ZはZ1とZ2を加えたグラフを、上下ひっくり返したものなので、
  緑の線がZp
となります。
 先にも書いたように、試験中にこんな計算をしていたのでは、時間がなくなってしまいます。上の計算は、下の「物理的説明」を補強するためにグラフの形を説明したまでであって、頭の中の理解としては、「数学より物理」「式より現象」ですから、ここからの説明が理解できれば、数式は忘れていただいてかまいません。

[3]重要なのは「回路としてのどういう動作をする?」ということ

 それでは、このグラフについて、回路的な意味を考えます。まず、負の周波数は無いので、0≦ωを定義域とします。
 ω=0(y切片)では、Z1とZ2は大きさが同じで符号が逆なので、その和はゼロになります。このことは、直流でコイルのインピーダンスがゼロになりますから、実際の現象と合っています。
 0<ω<1/√(LC)においては、Zp<0です。この領域では、コイルのリアクタンスが小さく、コンデンサのリアクタンスが大きいので、回路のリアクタンスは誘導性(電源電圧よりも電流が遅れる)となります。
 ω=1/√(LC)では、前述(7)式の説明のように±∞に発散します。この点は、この並列共振回路の共振周波数に他なりません。インピーダンスが無限大なので、この回路にこの周波数の交流電源を繋いでも、電流は流れません。
 1/√(LC)<ωにおいては、0<Zpです。この領域では、コイルのリアクタンスが大きく、コンデンサのリアクタンスが小さいので、回路のリアクタンスは容量性(電源電圧よりも電流が進む)となります。

それでは、解答に移ります。
 0≦ωの領域で共振点がω=1/√(LC)の1つしかなく、ここでリアクタンスが±∞に発散していて、0<ω<1/√(LC)でリアクタンスが正、かつ、1/√(LC)<ωでリアクタンスが負にあるものはしかありません。