□ H18年08月期 A-07  Code:[HC0403] : 電界効果トランジスタの相互コンダクタンスの定義
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2022年
05/14 04月期問題頁掲載
01/11 12月期問題頁掲載
2021年
10/17 09月期問題頁掲載
H1808A07 Counter
無線工学 > 1アマ > H18年08月期 > A-07
A-07 電界効果トランジスタ(FET)の相互コンダクタンスgmを表す式として、正しいものを下の番号から選べ。ただし、ドレイン電流の変化分をΔID、ゲート・ソース間電圧の変化分をΔVGS及びゲート・ドレイン間電圧の変化分をΔVGDとし、ドレイン・ソース間の電圧VDSは一定とする。
m = ΔID/ΔVGS
m = ΔVGS/ΔID
m = ΔID/ΔVGD
m = ΔVGD/ΔVGS
m = ΔVGD/ΔID

 FET固有のパラメータである、相互コンダクタンスについて、その定義を問う問題です。FETの動作原理を知っていれば解けますので、まずはFETの基礎的問題で知識を得てからかかると楽でしょう。

[1]「コンダクタンス」は抵抗の逆数

 まずはじめに、「コンダクタンス」はインピーダンス [Ω]やインダクタンス [Ω]に比べて、あまり出てこない用語ですが、単位は[S](シーメンス)で、要するに1/Ωの次元を持つ単位です。
 抵抗は大きければ大きいほど電流を通しにくいですが、コンダクタンスは大きいほど電流が通りやすい、ということを表します。10 [Ω]=0.1 [S]で、0.05 [Ω]=20 [S]といった具合です。
 ところで、なぜ、FETの特性を表すのに、抵抗の逆数なのでしょうか? それは、FETの動作原理である、「電圧で電流を制御する」という機能に由来します。

[2]コンダクタンスは電圧を電流に変換する係数

 コンダクタンスのことを考える前に、まず、バイポーラトランジスタ(以下、単にトランジスタと書きます)の場合を考えてみます。トランジスタの「(直流)電流増幅率」はhFEで表されます。この意味は、「コレクタ電流の変化分ΔTCはベース電流の変化分ΔTBの何倍か」、つまりhFE=ΔTC/ΔTBということです。
 ここで思い出していただきたいのは、トランジスタは「ベース電流でコレクタ電流を制御する」素子でした。だから、その制御能力を示すものとして、ベース電流からコレクタ電流への変換係数としてhFEが使われるわけです。hFEが大きければ、少ないベース電流の変化で大きなコレクタ電流を変化させられる、というわけです。
 それでは、FETではその「変換係数」はどんなものを使ったらよいでしょう? FETは、トランジスタと違い、「ゲート電圧の変化分ΔVGでドレイン電流の変化ΔIDを得る素子」です。ここで、トランジスタと同じように考えれば、ドレイン電流の変化分をゲート電圧の変化分で割れば、ゲート電圧からドレイン電流への変換係数、が出せます。
 つまり、ΔID/ΔVGがその変換係数に当たります。これが、FETの「相互コンダクタンスgm」ということになります。確かに、電流を電圧で割った形になっていますから、抵抗の逆数の次元を持つ数です。
 実際の特性は、Fig.HC0403_aのようになります。図では接合形FETのデプレッション形の特性を挙げていますが、MOS形(デプレッション・エンハンスメント)でも本質は変わりません。
 ここで注意しなければならないのは、第一には、この曲線はドレイン−ソース間電圧VDSを一定にして測定しなければならない、ということです。
Fig.HC0403_a 相互コンダクタンスとは
Fig.HC0403_a
相互コンダクタンスとは
 DSが異なると、曲線の形も違ってきます。また、第2点は、ゲート電圧によって曲線の傾きが変わるので、たとえVDSが一定でも、gmはVGに対して一定値ではない、ということです。グラフの曲線の傾きは、場所によって違います。まぁこれは、増幅器を設計する際に必要な知識なので、試験には出ませんが。
 相互コンダクタンスが大きい、ということは、小さなゲート電圧の変化で、大きなドレイン電流の変化を得ることができる、ということであり、FETの特性を表す数値になっていることは理解できるかと思います。

 接合形FETの特性が出たついでに、TDSSについて調べておきましょう。デプレッション接合形の場合、ゲートはチャネルに対して逆バイアスをかけて使用しますから、Nチャネルの場合ゲート電圧(ソースが基準)は0 [V]より大きな電圧は掛けられません。この(VG=0 [V])ときに流れるドレイン電流が最大となります。この電流値をTDSSといい、FETのもう一つの特性値になっています。TDSSは、製造に起因するバラツキが大きく、ちょうどトランジスタのhFEのように、その値でランク分けされていることがあります。実回路の設計では、このバラツキにも注意しなければなりません。

それでは、解答に移ります。
 ここまででVGと書いているものは、ゲートソース間電圧です。問題文から、上記の内容とgmの選択肢を比べれば、ゲート電圧の変化分に対してドレイン電流の変化分を示している、が正解と分かります。
 以下、インチキ解答法?ですが、コンダクタンス(=1/Ω)の次元を持つ選択肢はしかありません。残りの単位はみなΩです。5択の問題が、いきなり2択の問題になってしまいました。このあたりも、うっかりミスを防ぐコツです。