□ H19年08月期 A-08  Code:[HD0202] : 負帰還増幅回路の4通りの帰還方法と入出力インピーダンスの関係
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05/14 04月期問題頁掲載
01/11 12月期問題頁掲載
2021年
10/17 09月期問題頁掲載
H1908A08 Counter
無線工学 > 1アマ > H19年08月期 > A-08
A-08 図に示す直列(電流)帰還直列注入形の負帰還増幅回路において、入力インピーダンスZi及び出力インピーダンスZoの値は負帰還をかけない時と比べてどのように変化するか。ZiとZoの値の変化の組合せとして、正しいものを下の番号から選べ。

i o
増加する 増加する
増加する 減少する
減少する 増加する
減少する 減少する
問題図 H1908A08a
Fig.H1908A08a

 これも覚えるだけなら簡単なのですが、理屈から説明するとなると、大変です。ここではあくまでも定性的に理解します。(数式を元に定量的に解析したい方は、回路理論の専門書を御参照下さい。)「負帰還とは何か、何のためにかけるか」は他の問題で解説していますので、そちらをご参照下さい。

[1]負帰還の掛け方には様々な形式がある

 負帰還の掛け方と入出力インピーダンスについて、いろいろな組み合わせを確認しておきます。試験場であれこれ理屈を考えている時間はありませんので、結局は丸暗記になってしまいますが、一度は原理(何故そうなるか)を確認しておいた方が良いです。

 では、全ての組み合わせとその名称を下の図に示し、その後、ひとつずつ解説します。
Fig.HD0202_a 負帰還の掛け方4種
Fig.HD0202_a 負帰還の掛け方4種

[2]電圧直列帰還型の動作と特徴

 入力には電圧源をつなぎます。増幅回路の出力は電圧源構成で、利得(真数)はAの電圧出力です。帰還回路は、出力の電圧Voをサンプリングして、フィードバック電圧Vfを入力の電圧に直列に加えます。Vfには、V1とほとんど同じ(でVfより少し小さい)電圧が現れますので、Viは殆どゼロになります。
 増幅回路Aの入力抵抗がRiだとすると、帰還回路がない場合はV1=Viですから、流れ込む電流はV1/Riですが、帰還回路があると、(V1−Vf)/Rとなります。従って、入力端子からみると、同じ電圧V1がかかっているのに、帰還回路があると流れ込む電流が減るので、入力抵抗は増加したことになるのです。定量的には、Riは(1+Aβ)Riに増加します。
 一方、出力抵抗ですが、増幅回路単体の出力抵抗をRoとすると、出力電流Ioを取り出したとき、帰還回路がないと出力電圧はRooだけ低下してしまいますが、帰還回路があるとその低下分を補うようにVfを下げてViが増加(すなわちVoが増加)するように動くので、出力電圧はほとんど下がらず、見かけ上出力抵抗は減少したことになるのです。定量的には、RoはRo/(1+Aβ)に減少します。

[3]電流並列帰還型の動作と特徴

 入力には電流源をつなぎます。増幅回路の出力は電流源構成で、利得(真数)はAの電流出力です。増幅回路は電流出力ですから、出力抵抗は電流源に並列に入ります。帰還回路は、出力の電流Ioをサンプリングして、フィードバック電流Ifを入力の電流から引込みます。Ifには、I1とほとんど同じ(でIfより少し小さい)電流が流れますので、Iiはほとんどゼロ(I1が流れ出しならIfは吸い込み)になります。
 帰還回路がない場合はI1=Iiですから、流れ込む電流はI1そのものですが、帰還回路があると、I1+Ifとなります。従って、入力端子からみると、帰還回路があると増幅回路のみの時より流れ込む電流が増えるので、入力抵抗は減少したことになるのです。増幅回路Aの入力抵抗がRiだとすると、定量的には、RiはRi/(1+Aβ)に減少します。
 一方、出力抵抗ですが、増幅回路単体の出力抵抗をRoとすると、出力電流Ioを取り出したとき、出力端にはRooの電圧が発生しています。今、外乱として負荷が重くなり、電流Idが余分に流れようとしたとすると、帰還回路がないと出力電流はIo+Idに増加してしまいますが、帰還回路があるとその増加分を抑えるようにfを増やしてIiを減少(すなわちIoが減少)させるように動くので、出力電流はほとんど変化しません
 すなわち、外部の負荷の変動に対して出力電流が変化しない、理想的な電流源に近づいたということで、これは出力抵抗Roが増加することを意味します。定量的には、Roは(1+Aβ)Roに増加します。

[4]電流直列帰還型の特徴と動作

 入力には電圧源をつなぎます。増幅回路の出力は電流源構成で、利得(真数)はAの電流出力です。帰還回路は、出力の電流Ioをサンプリングして、フィードバック電圧Vfに変換して入力の電圧に直列に加えます。以下、電圧直列帰還型と全く同じ理由で、帰還回路があると流れ込む電流が減るので、入力抵抗は増加ます。定量的には、Riは(1+Aβ)Riに増加することも同様です。
 一方、出力抵抗ですが、これも負荷が重くなって電流が増加しようとしても、その変化を抑えるようにフィードバックがかかりますから、電流並列帰還型と全く同じ理由で、帰還回路があると、出力抵抗は増加ます。定量的には、Roは(1+Aβ)Roに増加します。

[5]電圧並列帰還型の特徴と動作

 入力には電流源をつなぎます。増幅回路の出力は電圧源構成で、利得(真数)はAの電圧出力です。帰還回路は、出力の電圧Voをサンプリングして、フィードバック電流Ifに変換して入力の電流から引込みます。以下、電流並列帰還型と全く同じ理由で、帰還回路があると流れ込む電流が増えるので、入力抵抗は減少ます。定量的には、RiはRi/(1+Aβ)に減少することも同様です。
 一方、出力抵抗ですが、出力抵抗×出力電流による電圧降下を検出して、補う方向にフィードバックがかかる電圧直列帰還型と全く同じ原理で、帰還回路があると、出力抵抗は減少ます。定量的には、RoはRo/(1+Aβ)に減少します。

 以上を表にまとめると、下のようになります。
回路トポロジー 入力タイプ 出力タイプ 入力抵抗 出力抵抗
電圧直列帰還型 電圧源 電圧 増加 減少
電流並列帰還型 電流源 電流 減少 増加
電流直列帰還型 電圧源 電流 増加 増加
電圧並列帰還型 電流源 電圧 減少 減少
 

それでは、解答に移ります。
 問題のブロック図を見ると、これは電流直列帰還型ですから、入出力インピーダンスとも増加しますので、正解はと分かります。