□ H19年08月期 A-17  Code:[HG0402] : 並列形定電圧回路の動作原理の回路図による説明
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05/14 04月期問題頁掲載
01/11 12月期問題頁掲載
2021年
10/17 09月期問題頁掲載
H1908A17 Counter
無線工学 > 1アマ > H19年08月期 > A-17
A-17 次の記述は、図に示す並列形定電圧回路の動作について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。
 出力電圧が上昇すると、トランジスタTrのコレクタとエミッタの間の電圧が上昇するが、トランジスタTrのコレクタとベース間は[A]により一定電圧に保たれているので、エミッタとベース間の電圧が[B]し、コレクタ電流が増加する。したがって抵抗R1における電圧降下が[C]し、出力電圧の上昇を抑える。また、反対に出力電圧が低下するとこの逆の動作をして、出力は一定電圧となる。

バラクタダイオード 減少 減少
バラクタダイオード 増加 増加
ツェナーダイオード 増加 減少
ツェナーダイオード 減少 減少
ツェナーダイオード 増加 増加
問題図 H1908A17a
Fig.H1908A17a

 並列形定電圧回路の動作原理を調べます。並列形は、常に電流が流れているので、効率が悪く、あまり用いられませんが、動作原理そのものは比較的単純です。

[1]並列形で電圧を安定させるしくみ

 定電圧電源には、必ず負荷の電圧を常にモニターしていて、その変動を電源側の動作にフィードバックする機構が存在します。出力(=負荷にかかる電圧)をモニターして、定電圧部の動作を出力が逆方向に振れるように制御します。このような制御を、「負帰還(ネガティブフィードバック)」といい、増幅回路でも負帰還をかけたときのインピーダンスの変化などの問題で出ていますので、おなじみだと思います。
Fig.HG0402_a 並列形定電圧電源の動作原理
Fig.HG0402_a
並列形定電圧電源の動作原理
 では、並列形定電圧電源では、もう少し具体的に、どのような形でそれが実現されているのかを見てみましょう。
 Fig.HG0402_a左上を見て下さい。おおまかに、入力には抵抗、それに、出力の電圧をフィードバックする部分と、負荷と並列に入って電流を可変に流す電流制御回路からなっています。安定化出力を監視しながら、電流制御回路をコントロールしているわけです。
 いま、負荷が軽くなるか、入力電圧が上昇するかして、出力電圧が上昇しようと変動を始めたとします。
 それを察知したフィードバック回路は、電流制御回路の流す電流を増やすように動作させます。すると、入力電流が増加して抵抗での電圧降下が大きくなり、出力端(=負荷にかかる)電圧が上昇しないで済むことになります。(Fig.HG0402_a右上)
 逆に、負荷が重くなるか入力電圧が下がるかして、出力電圧が降下しようと変動を始めた時はどうなるでしょうか?
 この時は、上とは逆に、フィードバック回路が分流する電流が小さくなる(=負荷側に流す電流の割合を増やす)ように制御するので、出力端の電圧は下がらずに済むことになります。(Fig.HG0402_a右下)

[2]実際の並列形定電圧回路の動作

 問題図を見ながら考えてみましょう。実際の回路にしてみると(原理的には)、トランジスタとツェナダイオード、それに抵抗数個の単純な回路で実現可能なことが分かります。
 まず、入力電圧の変動または負荷が軽くなることで出力電圧が上昇すると、トランジスタのコレクタとエミッタの間の電圧が上昇します。トランジスタのコレクタとエミッタは負荷と並列に入っていますから、当り前といえば当り前ですね。
 しかし、トランジスタのコレクタとベース間にはツェナダイオードが入っています。ということは、ここは一定電圧に保たれるので、上昇するのはエミッタとベース間の電圧ということになります。エミッタ−ベース間の電圧が上昇すれば、コレクタ電流が増加する(これがトランジスタの動作原理)ので、抵抗Rで起こる電圧降下が増加して、出力電圧の上昇を妨げる方向に動作します。
 また、反対に出力電圧が低下すると、エミッタ−ベース間の電圧が下がり、コレクタ電流が減るので、抵抗Rでの電圧降下が減少して出力は一定電圧に保たれます。
 このように説明すると、上のブロック図の説明で出てきた「フィードバック回路」や「電流制御回路」がどの部分に相当するのか分からないほど実際の回路はシンプルです。この回路では、ツェナダイオードとトランジスタが組み合わさって出力電圧の監視と電流制御をまとめて行なっているように考えられます。あえて機能を分けるなら、ツェナダイオードがフィードバックを、トランジスタが電流制御を担っている、と考えられますが、こう分けたところで、単体ではそういう風に動作しないので、あまり意味がありません。実に良くできた回路です。

それでは、解答に移ります。
 …Trのコレクタ−ベース間に入っているのはツェナダイオードです。
 …出力電圧が上昇すると、エミッタ−ベース間の電圧が上昇します。
 …コレクタ電流が増加すれば、抵抗R1での電圧降下は増加します。
となりますから、正解はと分かります。