□ H19年08月期 A-21  Code:[HE1001] : 月面反射通信に必要な設備、送受信の特徴
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05/14 04月期問題頁掲載
01/11 12月期問題頁掲載
2021年
10/17 09月期問題頁掲載
H1908A21 Counter
無線工学 > 1アマ > H19年08月期 > A-21
A-21 次の記述は、月面反射(EME)通信について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。
(1) 月面反射通信は、電離層を通過できるような高い周波数帯の電波を約38万 [km]離れた月に向けて発射し、月面で反射された電波を受信して通信を行うものである。伝搬減衰が大きいため、大電力送信機、高利得アンテナ及び[A]が必要である。
(2) 送信電波が地球から月まで往復するのに要する時間は[B]であり、月と地球上の観測者との相対運動による[C]効果により、戻ってきた送信電波は一般に送信周波数から少し離れた周波数が受信される。

高感度受信機 約2.5秒 ドプラ
高感度受信機 約1.5秒 ドプラ
高感度受信機 約1.5秒 ショットキー
広帯域受信機 約1.5秒 ドプラ
広帯域受信機 約2.5秒 ショットキー

 電波を月に反射させて交信しようという、壮大な実験です。アマチュアの通信衛星と違い、月まではけた違いの距離がありますから、減衰も凄まじいものがあり、それに対応する大出力の送信系、高利得で低ノイズな受信系が必須になります。
 2007年3月に茨城県にあるKDDIの地球局(廃局)で、巨大な32m径のパラボラアンテナを使って、EMEをやろうという実験がありましたが、エコーが59で聞こえたというのには驚きです。こんなアンテナが個人で持てれば、EMEでラグチューができてしまいます。

[1]途方もない遠距離通信…月面反射

(1) エコー
 地球から月までは、平均38万 [km]といいますから、アマチュア衛星のざっと1000倍のオーダーです。光(電波)で行っても片道約1.2秒余り往復では約2.5秒もかかります。この遅延時間後に自分の電波が返ってくるのが、エコーです(電離層のロングパスとショートパスによる時間差で生じるのもエコーですが、EMEのエコーは本来の意味での「こだま」です)。
 上で「平均」と書きましたが、地球の周りの、月の公転の中心が地球からはズレているので、地球からの距離は約35万〜約42万 [km]の間で変化するためです。従って、エコーの秒数も多少変化しますが、平均2.5秒と覚えておけばよいでしょう。

(2) 伝搬経路
 衛星通信と同様、月までの経路に障害物はありませんので、自由空間伝搬とみなせます。但し、月が水平線ぎりぎりに出ているときは、地上の建物などで遮られたり散乱されたりすることもあります。
Fig.HE1001_a EME通信の設備と伝搬特性
Fig.HE1001_a
EME通信の設備と伝搬特性
 当然のことですが、相手地点は月が見えている場所でなければなりません。月が沈んでいる所とは交信できませんし、送信側も月が見えていなければ何もできません。

(3) 伝搬減衰
 月まではこれだけの距離がありますから、途中の経路は自由空間伝搬とみなせる(障害物がない)とはいっても、非常に大きな減衰になります。dBで計算すると、435 [MHz]の波長では、約261 [dB]というとてつもない値になります。dBのままではあまりイメージが湧きませんので、真値に直してみると、1 [W]の電力が約10-26 [W]になってしまう、という計算になります。
 このように、受信できる電波が極めて弱いため、送信側では大電力送信機と高利得アンテナ受信側では高利得アンテナと低ノイズ受信機の組合せが必須になります。

(4) ドプラ(ドップラー)効果
 月は地球に対して静止していないので、月に当てた電波が返ってくる時には、ドプラ効果で周波数がシフトします。相対的に遠ざかっている時は周波数が下がり、近づいている時には周波数が上がります。周波数の高低は、走る救急車のサイレンと同じです。

それでは、解答に移ります。
 …必要なのは広帯域受信機ではなく、高感度受信機です
 …38万 [km]を光の速度で往復すると、約2.5秒かかります
 …相対運動する物体間での周波数のシフトはドップラ効果です
となりますから、正解はと分かります。