□ H19年08月期 B-05  Code:[HJ0205] : 可動コイル形電流計に生じる誤差の要因
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2022年
12/31 12月期問題頁掲載
09/01 08月期問題頁掲載
05/14 04月期問題頁掲載
H1908B05 Counter
無線工学 > 1アマ > H19年08月期 > B-05
B-05 次の記述は、可動コイル形電流計の誤差の要因について述べたものである。このうち正しいものを1、誤っているものを2として解答せよ。
使用状態における計器の姿勢の影響
うず電流の発生による影響
外部磁界による影響
外部光による影響
周囲温度の変化による影響

 可動コイル形計器の構造と動作については、別の問題で詳しく聞かれているので、ここでは簡単に復習してから、指示値に影響する要因を調べます。

[1]可動コイル形計器の構造と動作(復習)

 まず構造ですが、単純化して描くと、Fig.HJ0205_aのようになります。NS各極を持った磁石の間に円柱状の鉄心があり、円柱を囲むように、磁界に垂直な方向に回転軸を持った「枠型」の可動コイルが配置されています。
Fig.HJ0205_a 可動コイル形電流計の構造と動作
Fig.HJ0205_a
可動コイル形電流計の構造と動作
 次に動作を考えますが、その前に、電流と磁界について復習しておきます。画面の左から右に向く磁力線の中に、画面に垂直な方向の電流があるとすると、画面の裏側に向かって流れる電流には下向きの力が、画面の裏側から手前に向かって流れる電流には上向きの力がそれぞれ働きます。
 これはフレミングの左手の法則による力ですが、この図でいうと、コイルの左斜め下の部分(N極に近い方)が手前向きの電流で、右斜め上(S極に近い方)が画面裏へ向かう電流の時、コイルには右回転の偶力(トルク)が働きます。
 このトルクを、スプリングで回転角に比例した大きさの逆向きの力で制限してやると、コイルの回転角が流れる電流に比例した値になり、この系が「計器」として動作します。

[2]可動コイル形計器に影響する周囲環境等

 可動コイル形計器の精度に影響する周囲の環境や使用方法等は、大きくは以下の3つです。
  • 計器の姿勢
    この系に働いている力の概略をFig.HJ0205_aの右に示します。普通、この手の計器は制御盤や機器の前面に取り付けて使用します(稀に制御「卓」もありますが)から、コイルの回転軸は水平(読み取り面は垂直)になっています。ですから、コイルには電磁力とそれに釣合うバネの力、それに指針(コイルも含む)に働く重力が働いています。
     いま、もしこの計器を読み取り面を水平(回転軸を垂直)にしてしまうと、この系に働く重力の向きが変わってしまいますので、指示値が変わってしまいます。
     つまり、可動コイル形電流計は計器の姿勢によって誤差を生じるので、指定された姿勢で用いなければなりません。
  • 周囲温度
    周囲温度大きくが変化すると、バネの定数が変化してしまい、指示値が真の値から誤差を生じます。通常は、指定された温度内なら、無視できる程度の誤差(仕様で規定される)に収まるように作られていますので、この温度範囲に収まるようにします。
  • 外部磁界
    周囲に強い磁界があると、本来コイルに作用するのが計器の中にある永久磁石のみでなければならないところに、外部からの磁力線が重ね合わさるので、指示値に誤差を生じてしまいます。
 計器の姿勢は、読み取り面に指示のあるものがほとんどで、水平、斜め、垂直の記号が描かれています。この通りに取り付けないと、誤差を生じます。外部磁界は、地磁気程度ではほとんど誤差にならないので、「南向き用」とか「北向き用」などという区別はありません。この他にも、振動がある場所や測定するものが厳密に直流でない(脈流など)場合も誤差になります。

それでは、解答に移ります。
 …姿勢が指定と異なると大きな誤差を生じるので1正しい記述です
 …うず電流は精度に影響を与えませんので2誤った記述です
 …外部磁界は内部の磁界と重ね合せで誤差を生じるので1正しい記述です
 …光が当たっても指示値に影響はないので2誤った記述です
 …周囲温度変化はバネ定数等、精度に変化を起こすので1正しい記述です
となります。