□ H19年12月期 A-05  Code:[HB0302] : RLCのそれぞれのリアクタンスから並列回路の合成インピーダンスを計算
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2022年
05/14 04月期問題頁掲載
01/11 12月期問題頁掲載
2021年
10/17 09月期問題頁掲載
H1912A05 Counter
無線工学 > 1アマ > H19年12月期 > A-05
A-05 図に示すLCR並列回路において、抵抗Rの値が25 [Ω]、コイルLのリアクタンスが100 [Ω]、コンデンサCのリアクタンスが20 [Ω]のとき、電流Iの値として、正しいものを下の番号から選べ。
2-j3 [A]
2+j4 [A]
2-j6 [A]
4-j4 [A]
4+j4 [A]
問題図 H1912A05a
Fig.H1912A05a

 容量性(コンデンサ)、誘導性(コイル)、抵抗の3つのインピーダンスが直列、並列に組み合わされた回路の合成インピーダンスの問題で、よく出題されます。インピーダンス計算の基本だからでしょう。

[1]複素数計算にチャレンジしてみよう

 2アマまでは実数の世界で何とか解いていましたが、1アマになったら複素数(=実数+虚数 の形の数)計算にチャレンジしてみて下さい。というのも、こういった直列や並列の回路の合成インピーダンスを求める時、複素数でインピーダンスを計算すると、オームの法則だけで解けてしまうからです。2アマの時のようなベクトル計算や直角三角形の1辺の長さを求める公式も(全然無縁なわけではありませんが)使いません。
 ただ、少しだけ面倒なのは、分数で答えが出た時に分母が複素数になってしまった時、実数部と虚数部を明確に分けるため、「通分」のような「正規化」という作業が必要になることです。でも、慣れてしまえば大して難しくはありません。
 この問題では回路の要素(抵抗・コンデンサ・コイル)は3つですが、上に書いたことは、要素がいくつでも使えます。2個や4個になっても、合成抵抗の計算と同じようにやって行けば良いのです。流れる電流も、遅れ位相なのか、進み位相なのか、電流の虚数部を電圧と比較すればすぐに分かります。こんな便利な複素数を使わない手はありません。

[2]複素数を使って解いてみる

 では、具体的に見て行きましょう。回路の要素が並列、直列に3つ繋がるパターンはFig.HB0302_aの2種類です。
Fig.HB0302_a 3つのインピーダンスの並列・直列
Fig.HB0302_a
3つのインピーダンスの並列・直列
 これ以外のパターンもありますが、これは別途問題があるので、そこで解いています。
 この図で、Z1〜Z3はどれが抵抗・コンデンサ・コイルであるかの組合せは全く任意です。どんな組合せでも合成インピーダンスZは各図の下にある式で表されます。合成抵抗を計算する式と全く同じです。
 Z1〜Z3に、抵抗なら抵抗値R [Ω]を、コイルなら誘導性インピーダンスjXLを、コンデンサなら容量性インピーダンス−jXCを代入します。
 ここで、複素数計算のミソは、Fig.HB0302_a並列回路のような、分数になる場合です。途中の計算経過では、分母が複素数になっても構いませんが、最終的に答えにする場合にはこの後に述べるように、分母に共役複素数をかけて実数にします。これを「正規化」といいます。
 あとはこれに問題の数値を代入し、複素数の計算をガチャガチャとやるだけです。複素数の計算練習はここではやりませんので、慣れていない方は、同様の問題をいろいろ解いてみて下さい。

[3]並列回路の場合はアドミッタンスで簡単に

 上の計算で、並列回路では大概の場合、ややこしい分数になって、間違いやすい計算を処理しなければなりません。しかし、アドミッタンスという便利なものを知っていると、簡単に計算できます。そこで、もっとスマートに計算をこなしたい方のために、この方法を試してみます。
 ここでも同じように3個のインピーダンス要素(Z1, Z2, Z3 [Ω])が並列に電源に接続されているものとします(Fig.HB0302_b)。
 今、各々の素子に、インピーダンスの逆数=アドミッタンス1, Y2, Y3 [S]を定義します。つまり、
 Y1=1/Z1 …(1)
 Y2=1/Z2 …(2)
 Y3=1/Z3 …(3)
です。単位[S]はジーメンスと読みます。
 さらに、これらの合成アドミッタンスYを、
 Y=Y1+Y2+Y3 …(4)
Fig.HB0302_b 並列回路のアドミッタンス計算
Fig.HB0302_b
並列回路のアドミッタンス計算
と定義します。直列回路の場合と似てきました。上で計算したような、複雑な分数式もありません。
 電源電圧をE [V]、流れる電流(これを求めたい)をI [A]とすると、
 I=EY …(5)
となります。複素数の計算で面倒な除算がなく、乗算だけで求められるので、並列回路の場合はこの方法が便利です。但し、(1)から(3)のアドミッタンス計算で、どれかのインピーダンスが純虚数や実数でない場合(要するにZ1からZ3のいずれかが複素数)は、この計算だけに複素数の除算が入ります。

それでは、解答に移ります。
(最初にインピーダンスで解き、次にアドミッタンスで解いてみます)
 この問題はFig.HB0302_aの左のパターンの並列の場合です。問題中の以下の値を代入します。問題文は容量性と誘導性のインピーダンスに虚数単位jと符号が付いていませんのでご注意下さい。
 Z1=R=25 [Ω]  Z2=XL=j100 [Ω]  Z3=XC=-j20 [Ω]
と置きます。合成インピーダンスZは、
 Z=Z123/(Z12+Z23+Z31)
  =RXLC/(RXL+XLC+XCR) …(a)
  ={25×j100×(-j20)}/{25×j100+j100×(-j20)+(-j20)×25}
  =50000/(j2500+2000−j500)
  =25/(1+j) …(b)
電源から流れる電流Iは、電源電圧をEとして、
 I=E/Z=100(1+j)/25=4+j4 [A]
と出るので、正解はと分かります。

 次に、アドミッタンスを使って解いてみます。
 この問題は、要素のインピーダンスが全て実数(抵抗)又は純虚数(インダクタ、又はキャパシタ)ですので、簡単に求められるパターンです。まず、各々のアドミッタンスを求めます。
 Y1=1/Z1=1/25=0.04 [S]
 Y2=1/Z2=1/XL=1/j100=-0.01j [S]
 Y3=1/Z3=1/XC=1/(-j20)=0.05j [S]
これらの合成アドミッタンスYは、
 Y=Y1+Y2+Y3=0.04+0.04j=0.04(1+j) [S
となります。電源から流れる電流I [A]は、電源電圧をE [V]として、
 I=EY=100×0.04(1+j)=4+j4 [A]
と求められ、上の結果と比較すると、全く同じです。しかし、計算はインピーダンスでゴリゴリ解く方法よりも大変スマートです。

 余談ですが、この電流は、虚数部の符号が正なので、電圧に対して進んでいることが分かります。また、電流の「絶対値」は、√(42+42)=4√2 [A]と求められます。