□ H19年12月期 A-11  Code:[HE1106] : 寄生振動の発生原因と特徴、取るべき対策
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2022年
12/31 12月期問題頁掲載
09/01 08月期問題頁掲載
05/14 04月期問題頁掲載
H1912A11 Counter
無線工学 > 1アマ > H19年12月期 > A-11
A-11 次の記述は、無線送信機などで生ずることのある寄生振動について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。
(1) 寄生振動は、増幅器の入出力間の不要な結合によって[A]回路を形成することにより生ずる。
(2) 寄生振動が生ずると、占有周波数帯幅が[B]他の通信に妨害を与えたり、ひずみや雑音の原因になる。
(3) 寄生振動を防ぐには、増幅器や部品を遮へいして回路間の結合量を[C]するなどの方法がある。

検波 広がって 大きく
検波 狭まって 小さく
発振 広がって 小さく
発振 狭まって 大きく

 寄生「振動」という名前が誤解を招きがちですが、これはメカニカルな振動ではなく、れっきとした発振(メカニカルな振動を介した発振もありますが)です。発振は、出力の一部が入力側に「正帰還」されて起こる現象です。

[1]寄生振動は送信機で起こる回路の発振

 増幅回路があって、出力の一部が入力と同じ位相で混入し、その周波数での増幅器の利得と混入割合の積が1を超えると発振します。混入する信号が弱かったり、その周波数での回路の利得が低かったり、はたまた位相が逆だったりすると、発振は起こりません。
Fig.HE1106_a 正帰還の経路と寄生振動防止
Fig.HE1106_a
正帰還の経路と寄生振動防止
 送信機でこれが起こると、混入経路が複雑で簡単に止められないことがありますが、元をたどれば必ず高出力側から入力側のどこかに混入するわけです。
 また、スーパーヘテロダイン方式を用いている機械では、中間周波数と送信周波数は異なりますが、周波数が異なるからといって混入しても寄生振動が起こらない保証はありません。回路の中にはダイオードや増幅素子など、非線形な素子が多くありますから、そこで「検波」されて入力周波数の中に送信信号が混入する可能性があります。
 経路も、ある増幅段の出力からその入力、というのが、通常は最短距離ですが、信号レベルの低い部分の遮蔽(シールド)が不十分だったりすると、数段離れた手前の回路に飛び込んで発振ということもあり得ます。

[2]寄生振動対策…基本は遮蔽・帰還防止

 では、寄生振動を起こさないようにするにはどうしたらよいでしょうか。
 基本はまず遮蔽(シールド)です。後段やアンテナからの強い電波を受けても、回路内部で拾わないようにすることです。リニアアンプを使っているような高出力な場合は、距離の離れたアンテナが内部と結合しないよう、筺体のシールドが重要になります。
 また、特に信号レベルが低い、あるいは利得が高い段には個別にシールドボックス(遮蔽箱)を設けるなど、回路部分が電波を拾わないようにします(以上、Fig.HE1106_a左)。
 電力増幅段にはそれ自体での発振を防止するRとLからなる、寄生振動防止回路をコレクタ又はプレート電源との間に挿入します。(Fig.HE1106_a右)

それでは、解答に移ります。
 …寄生振動は増幅回路が発振回路を形成するために起こります
 …不要な周波数の信号が発射されるので、占有周波数帯幅は広がります
 …発振は、回路の結合量を小さくしなければ止まりません
となりますから、正解はと分かります。