□ H19年12月期 A-12  Code:[HE0402] : SSB送信機の構成図で帯域フィルタの出力周波数等から局発の周波数を計算
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2022年
12/31 12月期問題頁掲載
09/01 08月期問題頁掲載
05/14 04月期問題頁掲載
H1912A12 Counter
無線工学 > 1アマ > H19年12月期 > A-12
A-12 図に示すSSB(J3E)送信機の構成例において、第1帯域フィルタの出力として中心周波数4,500 [kHz]の上側波帯(USB)が現れ、第2帯域フィルタの出力として中心周波数7,055 [kHz]の下側波帯(LSB)が現れた。第2局部発振器の発振周波数の値として、正しいものを下の番号から選べ。
問題図(横長) H1912A12a
Fig.H1912A12a
 2,555   [kHz]
 2,556.5 [kHz]
11.555   [kHz]
11.556.5 [kHz]
18.730   [kHz]

 構成を見ると、平衡変調器や周波数混合器の後段にはフィルタがあります。このフィルタと文章中の「上側帯波」「下側帯波」という言葉に注意して周波数を計算して行けば、難しいことを考えずに答えが出ます。

[1]平衡変調器・周波数混合器の後には必ずフィルタ

 問題の図を見ると、平衡変調器や周波数混合器の後段には必ずフィルタが入っています。フィルタですから、不要な周波数成分を落として(減衰させて)しまう働きをするわけですが、では、残るのはどのような周波数でしょうか?
Fig.HE0402_a 送信機の構成と上・下側波帯の周波数関係
Fig.HE0402_a 送信機の構成と上・下側波帯の周波数関係
 それを考えるために、Fig.HE0402_aのように信号周波数fs、搬送波周波数fc、局発周波数fLを決めます。後は、平衡変調器や周波数混合器でそれらが足されたり引かれたりして、フィルタで上下側波帯のどちらかが選択される…というように追って行きます。(Fig.HE0402_aには全てのケースを示すため、表記が複雑になっていますが、通常は追って行けば問題文に片側の側波帯がフィルタで落とされるようになっているので、問題は単純な計算になります。)
 まず、平衡変調器の出力ですが、fc±sとなります。これを第1帯域フィルタで上下側波帯のどちらかを選択します。つまり、赤色の復号のどちらかが選択されます。これは問題文をよく読んでどちらか判断して下さい。
 次に、このfc±s(のどちらか)を周波数混合器(通常DBM;Double Balanced Mixer 等の非線形素子が使われます)に入力します。周波数混合器といっても中身は平衡変調器とほとんど同じなので、出力にはfLを中心にfL±(fc±s(のどちらか))が出てきます。
 さらにこれを第2帯域フィルタで濾波して青色の復号のどちらかを選択します。これもどちらになるのかは、問題文をよく読んで下さい。また、逓倍段が入っている場合は、その逓倍数だけ乗算して計算に組み込んで下さい。

[2]問題文の記述に注意 USBorLSB

 単純な計算問題だ、といいましたが、引っ掛けられる可能性があるので、問題文の表現に注意しましょう。[1]で書いたように、全ての場合を書き出すと、最終的に電波となって飛んで行く信号の周波数は、以下の4通りになります。

平衡変調後 周波数変換後 出力周波数 最終側帯波
ケース1 上側帯波 下側帯波 L−fcs LSB
ケース2 下側帯波 下側帯波 L−fcs USB
ケース3 下側帯波 上側帯波 L+fcs LSB
ケース4 上側帯波 上側帯波 L+fc+fs USB
 上記の「ケース○」はFig.HE0402_aの丸付き数字に対応しています。
 問題文には「第2帯域フィルタの出力には中心周波数xx.xxx [MHz]のxSBが現れた」というように書かれます。上の表を見ていただくと、特に第2帯域フィルタで、上側波帯を選択しているのにLSBが出てくるケース(ケース3)や、下側波帯を選択しているのにUSBが出てくるケース(ケース2)などがあります。
 問題文だけ読むと、「LSBが出てきたんだから、このフィルタでは下側波帯を選んでいるんだろう」「USBが出てきたんだから、上側波帯を選んでいるんだろう」と思いたくなりますが、注意深く追って行かないと、引っ掛けられます。
 LSB・USBを判断する基準は、あくまでも第1帯域フィルタの後の信号とスペクトルを比べてどうか、ということです。Fig.HE0402_aの第1帯域フィルタ出力がUSB(黄色の山)でも、第2帯域フィルタで下側を取れば、LSBも出得る、ということなのです。

それでは、解答に移ります。
 この問題では、第1帯域フィルタで上側帯波を選んでいるので、最終出力は第2帯域フィルタで選んだ上下と同じ側帯波になります。つまり、第2帯域フィルタで上を選べば出力はLSBに、下を選べば出力はUSBが出てきます。問題文を追うと、出力がLSBなので、第2帯域フィルタでは下側波帯を選択していることが分かります。従って、
 ・第1帯域フィルタの出力は4,500 [kHz]のUSB→fcs=4,500 [kHz]
 ・第2帯域フィルタの出力は7,055 [kHz]のLSB→fL(fcs)=7,055 [kHz]
(周波数はいずれも中心周波数)ですから、上の第2式に第1式を足して、fL=11,555 [kHz]となります。
 従って、正解はと分かります。