□ H19年12月期 A-17  Code:[HG0203] : ブリッジ全波整流回路でダイオードが故障で開放になった際の出力波形・電圧
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2022年
12/31 12月期問題頁掲載
09/01 08月期問題頁掲載
05/14 04月期問題頁掲載
H1912A17 Counter
無線工学 > 1アマ > H19年12月期 > A-17
A-17 図1に示す単相ブリッジ形全波整流回路において、ダイオードD3が断線して開放状態となった。このとき図2に示す波形の電圧を入力した場合の出力の波形として、正しいものを下の番号から選べ。ただし、図1のダイオードは、すべて同一特性のものとする。
問題図 H1912A17a
Fig.H1912A17a
問題図 H1912A17b
Fig.H1912A17b

 ブリッジ全波整流回路の問題です。技術者の実力は、トラブルの時に発揮される、という問題です。ブリッジ整流の動作原理が分かっていれば、難しくありません。

[1]ブリッジ全波整流回路の動作

 まず最初に、正常動作している時のブリッジ整流回路の動作を見ておきます。
Fig.HG0203_a 正常動作時の整流ブリッジ回路
Fig.HG0203_a
正常動作時の整流ブリッジ回路
 Fig.HG0203_a上の回路図で、赤や青の矢印はそれぞれ、入力交流が正の期間(入力の上側の端子の方が電圧が高い状態)での電流、負の期間(下側の端子の方が電圧が高い)での電流を示しています。
 正の半周期では、D2とD4が導通し、電流はD4→負荷→D2と流れます。負の半周期では、D1とD3が導通し、電流はD3→負荷→D1と流れます。
 波形で見てみると、同図下のようになり、ブリッジ整流回路は早い話が「絶対値回路」になっていることがわかります。
 実際には、負荷の手前に平滑回路が入りますので、負荷にかかる電圧はもっと直流に近くなります。

[2]ブリッジ回路の異常時動作(その1)…D1又はD3の故障

 ここからは、ダイオードの一つが故障して開放になった場合の動作を考えてみましょう。まずはD1又はD3のいずれかが故障した場合です。
 Fig.HG0203_bにその状態を示します。左上がD1が開放になっている場合です。
 この時、入力が正の半周期では、電流の流路に問題はないので、正常時と同じ出力波形(同図下段の赤い部分)が得られます。ところが、負の半周期では、D1が切れているために電流の戻りの経路が絶たれてしまっていますので、電圧は出ません。
 次に、D3が開放になったケース(右上)でも同様に経路が切れてしまっています。この場合も入力が正の半周期だけ出力が得られ負の半周期では電圧が出ません波形はD1故障の場合と全く同じです。
Fig.HG0203_b ブリッジ整流回路の故障パターン1
Fig.HG0203_b
ブリッジ整流回路の故障パターン1
 ここまでくると、D2やD4が同様の故障を起こした時も想像がつきます。

[3]ブリッジ回路の異常時動作(その2)…D2又はD4の故障

 ブリッジ整流回路は対称的に動作するので、上記が分かれば、D2やD4の故障の際にも動作は全く同じです。
 まず、D2が開放になった時は、入力が正の半周期で電流はD2に阻まれて流れません負の半周期では全く問題なく青の矢印のように流れます。出力波形は同図下のようになります。
 D4が開放になった時も全く同様です。

 このようにして見てみると、ダイオードが1本故障して開放になると、出力波形は半波整流回路と同じ動作になる、ということが分かります。別の見方をすると、半周期しか電圧が出ないので、出力電圧の平均値が半分になるということです。このことは、いろいろな波形が選択肢に現れますが、正解を選ぶ目安となるでしょう。
Fig.HG0203_c ブリッジ整流回路の故障パターン2
Fig.HG0203_c
ブリッジ整流回路の故障パターン2
 なお、この問題では全て故障モードがオープンですが、もしショートモードで壊れるなら、ある瞬間には入力が短絡されるので、ヒューズが飛ぶか、負荷に交流が加わって破損するかしてしまいます。

それでは、解答に移ります。
 …この波形は、正常動作時の波形ですから誤りです
 …出力が負側のみに出ることはありませんので誤りです
 …歯抜け、かつ正負の両方に出ることは有り得ませんので誤りです
 …上で見たように、半波整流と同じ波形になるこの状態が正しい
となりますから、正解はと分かります。