□ H19年12月期 A-21  Code:[HE0702] : 副搬送波周波数変調(SCFM)ファクシミリ伝送の伝送方式についての説明
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2022年
12/31 12月期問題頁掲載
09/01 08月期問題頁掲載
05/14 04月期問題頁掲載
H1912A21 Counter
無線工学 > 1アマ > H19年12月期 > A-21
A-21 次の記述は、AM送信機を用いた副搬送波周波数変調(SCFM)方式によるファクシミリの伝送について述べたものである。このうち誤っているものを下の番号から選べ。
写真のような中間調を含む原画を送ることができる。
周波数偏移(FS)変調方式に比較して、一般に同じ画像を送信するときの所要周波数帯幅が広くなる。
周波数変調された副搬送波は、一般に可聴周波数が用いられ、AM送信機の音声入力端子に入力して送信できる。
直接周波数変調(FM)方式に比較して、一般に受信時の信号対雑音比(S/N)が大きくなり良質な受信画像が得られる。

 時代はデジタルに移り変わり、パケット通信やD-STARで画像も送れるようになってしまいました。この問題のようなアナログFAXの問題がいつまで出題されるか分かりませんが、まだまだPCを使ったフリーソフトなどで運用されているファンもおられ、現役の電波形式ですから、原理だけはマスターしておくことにしましょう。

[1]FAXの3変調方式

(1) 周波数偏移変調
 この方式は、搬送波の周波数を2種類設け、FAXで送信したい画像を2値化して、白レベルと黒レベルにそれぞれの周波数を割り当てる方式です。原理は簡単ですが、白と黒の中間(灰色)が表現できないため、新聞の写真のように画像の濃淡を黒部分の面積で表現する「網点(あみてん)」に分解して送信する必要があります。

(2) 直接周波数変調
 周波数変調で、原稿の濃淡のレベルを周波数の変化に置き換えた変調方式です。
Fig.HE0703_a ファクシミリの3方式
Fig.HE0703_a
ファクシミリの3方式
 濃淡のアナログ的な変化が、周波数のアナログ的な変化に対応するため、写真のようなグラデーションを表現することができます。FM変調器に、原稿を読み取った濃度信号を入れてやれば実現しますが、無限に広がる側帯波ができるため、後段に帯域フィルタが必要になります。
 原理的には、濃淡に応じた周波数を発生する低周波発振器を、SSB送信機に繋いでも実現できます。濃淡の基準となる信号がないので、受信側では周波数がずれると、濃淡の具合が変化してしまいます。

(3) 副搬送波周波数変調(SCFM)
 AM送信機に、副搬送波と呼ばれる、原稿の濃淡信号を周波数の変化に変換した信号を入れてやることで実現します。これも、周波数のアナログ的な変化が濃淡を表すため、中間調をもった写真などが送れます。濃淡の基準となる、主搬送波があるため、受信側の周波数のズレによる再現性の違いは生じません。
 AM送信機に上に述べたような濃淡に応じた変調信号を入力してやれば実現可能です。ただ、Fig.HE0703_aをご覧になってお分かりの通り、占有周波数帯幅は(周波数偏移がどれも同じだとすれば)最も広くなります。また、占有周波数帯幅が広いということは、受信側のノイズもそれだけ多くなるということです。

それでは、解答に移ります。
 1…SCFM方式は中間調を送れます
 2…変移量が同じなら、周波数偏移変調より周波数帯幅は広くなります
 3…副搬送波は低周波なので、AM送信機のマイク端子に入れてやれば可能です
 4…SCFMの受信のS/Nは、直接周波数変調よりも帯域が広い分悪くなります
となりますから、正解(誤った選択肢)はと分かります。