□ H19年12月期 B-01  Code:[HA0101] : 電気現象の説明とその名前の対応
インデックス
検索サイトから来た方は…
無線工学の基礎 トップ

以下をクリックすると、元のページが行き先に飛び、このウインドウは閉じます

 ■ 無線工学を学ぶ
 (1) 無線工学の基礎 
 年度別出題一覧
  H11年 4月期,8月期,12月期
  H12年 4月期,8月期,12月期
  H13年 4月期,8月期,12月期
  H14年 4月期,8月期,12月期
  H15年 4月期,8月期,12月期
  H16年 4月期,8月期,12月期
  H17年 4月期,8月期,12月期
  H18年 4月期,8月期,12月期
  H19年 4月期,8月期,12月期
  H20年 4月期,8月期,12月期
  H21年 4月期,8月期,12月期
  H22年 4月期,8月期,12月期
  H23年 4月期,8月期,12月期
  H24年 4月期,8月期,12月期
  H25年 4月期,8月期,12月期
  H26年 4月期,8月期,12月期
  H27年 4月期,8月期,12月期
  H28年 4月期,8月期,12月期
  H29年 4月期,8月期,12月期
  H30年 4月期,8月期,12月期
  R01年 4月期,8月期,12月期
  R02年 4月期,9月期,12月期
  R03年 4月期,9月期,12月期
  R04年 4月期,8月期,12月期
 分野別出題一覧
  A 電気物理, B 電気回路
  C 能動素子, D 電子回路
  E 送信機, F 受信機
  G 電源, H アンテナ&給電線
  I 電波伝搬, J 計測

 ■ サイトポリシー
 ■ サイトマップ[1ama]
 ■ リンクと資料

 ■ メールは下記まで



更新履歴
2022年
12/31 12月期問題頁掲載
09/01 08月期問題頁掲載
05/14 04月期問題頁掲載
H1912B01 Counter
無線工学 > 1アマ > H19年12月期 > B-01
B-01 次の記述は、各種の電気現象等について述べたものである。このうち正しいものを1、誤っているものを2として解答せよ。
結晶体に圧力や張力を加えると、結晶体の両面に正負の電荷が現れる。この現象をピンチ効果という。
電流の流れている半導体に、電流と直角に磁界を加えると、両者に直角の方向に起電力が現れる。この現象をペルチェ効果という。
高周波電流が導体を流れる場合、表面近くに密集して流れる。この現象をホール効果という。
磁性体に力を加えると、ひずみによってその磁化の強さが変化し、逆に磁性体の磁化の強さが変化すると、ひずみが現れる。この現象を総称して磁気ひずみ現象という。
2種の金属線の両端を接合して閉回路をつくり、二つの接合点に温度差を与えると、起電力が発生して電流が流れる。この現象をゼーベック効果という。

 少し量が多くなりますが、電気現象をまとめてしまいます。電気現象は、物質(主に金属や半導体)と熱、力、磁界、電流などが相互に作用しあうものです。ここでは、3つのパターン(物質と熱、物質と力、物質と磁気と電流)について見て行きます。

[1]物質と熱の相互作用…ペルチェ・ゼーベック・トムソン

 物質と熱、それに電流の関係する法則は主なものが3つあります。ゼーベック効果、ペルチェ効果、トムソン効果で、ペルチェはパソコンのCPUの冷却やアウトドア用の保冷庫に使われているので、名前はお聞きになったことがあると思います。(ここでは「物質」と書いていますが、実用的には金属や半導体が使われることがほとんどです。)
 聞きなれない他の2つも合わせて覚えてしまいましょう。
ペルチェ効果とは
 異なるABの金属(半導体も含む)を接合して一定温度のもとで電流を流すと、接合部でジュール熱以外の熱の発生又は吸収が起こる現象。電流の向きを逆にすると発熱、吸熱が逆になります。この後に述べるゼーベック効果の逆の現象です。
 実用化されたペルチェ素子は、P形半導体とN型半導体を何重にも直列に接続したもので、電流の向きを反転すると、発熱面と吸熱面が逆になるので、保冷庫にも保温庫にもなります。
ゼーベック効果とは
 異なるABの金属を環状に結合して閉回路を作り、二つの接合部を異なる温度に保つと、接合部間に起電力が発生し、電流が流れる現象。ペルチェ効果の逆の現象です。温度の高低を逆にすると、起電力(電流)も逆向きになります。
 この現象は比較的広い温度範囲が計測できる、熱電対に応用されています。無線計測の問題に出てくる、高周波電流を測定するための、「熱電対形電流計」というものがあります。これは、電熱線に高周波電流を流し、その温度上昇を熱電対で起電力に変え、直流電流計を振らせるものです。
Fig.HA0101_a 物質と熱の相互作用
Fig.HA0101_a
物質と熱の相互作用
トムソン効果とは
 一様な金属線X温度こう配があるときに電流を流すと、ジュール熱以外の熱の発生又は吸収が起こる現象。これも、電流の向きを逆にすると発熱、吸熱が逆になります。

 最後に、言葉でだらだら説明しても覚えられないので、表にまとめてみました。

現象名 種類 反応の内容 可逆性 応用例
ペルチェ効果 2種の接合 均一温度分布内で電流を流すと接合部で発熱又は吸熱が起こる あり ペルチェ素子
ゼーベック
効果
2種の接合 2種の金属を環状に接合して、2つの接合点に温度差を与えると起電力が生じる あり 熱電対形
電流計
トムソン効果 一様な金属 温度勾配がある一様な金属線に電流を流すと発熱又は吸熱が起こる あり (あったら教えて下さい)
 

[2]物質と力と電磁界の相互作用…圧電効果・磁気ひずみ効果

 物質と力と電気(電界)が相互作用するのは圧電効果(ピエゾ効果ともいいます)です。また、物質と力と磁気(磁界)が相互作用するのは磁気ひずみ効果(磁歪:じわい)といいます。

圧電効果とは
 水晶などの結晶圧力を加えたり張力を加えたりすると、結晶の両端に電荷が発生する現象。加える力の向きを逆にすると発生する電荷の極性も逆になります。
 Fig.HA0101_b(上側)では、加えた力と発生する電荷がある向きになるように書かれていますが、正確には、かかる力の方向と結晶の軸との関係、物質の性質により、掛ける力の向きと発生する電荷の正負が決まります。
 また、上とは逆に、結晶やセラミック等電界を加えると、その物質に物理的なひずみが生じるも同じく圧電効果です。
Fig.HA0101_b 圧電(ピエゾ)効果
Fig.HA0101_b
圧電(ピエゾ)効果
 これもFig.HA0101_b(下側)では、加えた電界と発生する歪みが直角になるように書かれていますが、正確には、電界の向きと結晶の軸との関係、物質の性質により、発生する歪み力の向きが決まります。
 圧電効果は身近なところでは、水晶発振子や圧電ブザー、(CCD等の撮像素子を撮像に同期して物理的に振動させることにより、実効的に画素数を増やす効果を得る)ピエゾ素子などに応用されています。エプソンのインクジェットプリンターも、インクを吐出させる力を得るために、ピエゾ素子を使っています。

磁気ひずみ効果とは
 磁性体圧力を加えたり張力を加えたりすると、磁性体の磁化の強度が変化する現象をいいます。これも圧電効果と同様、加える力の向きと磁性体の磁化の軸が同じとは限りませんので、それらのなす角や物質ごとの定数に応じて強度変化の大きさが決まります。
 また逆に、磁性体の磁化の強さを変化させると、磁性体にひずみが生じる現象も磁気ひずみ現象です。これも磁化の軸とひずみ力の軸がずれていることがあります。
 これを応用した製品としては、魚群探知機や超音波洗浄器のトランスデューサ(超音波を発生する部分)等があります。その昔、スイッチング電源のスイッチング周波数がまだ低かった頃、コイルが「チー」と鳴く、という問題がありました。これは、コイルに流れる電流が変化する際、コアのフェライト等の磁化強度が変化してコアが振動するためでした。

[3]物質と磁界・電流の相互作用…ホール効果・表皮効果

 厳密には物質と磁界や電流との相互作用は、電磁気学でいろいろ方程式を解かなくてはなりませんが、ここでは「電気現象」に限って見てみます。
ホール効果とは
 金属や半導体を磁界中に置き磁界と直角の方向に電流を流すと、電界が発生する現象です。
 電流や磁界がFig.HA0101_cのような向きであったとすると、電界の向きは手前側が負に、向こう側(図には見えていない)が正になります。
 加える磁界や電流のどちらかの向きを逆にすると発生する電界の向きも逆になります(両方逆にしたら…電界の向きは変わりません)。
 発生する電界の大きさは、電流の大きさと磁界の強さの積に比例します。
Fig.HA0101_c ホール効果
Fig.HA0101_c
ホール効果
 この現象を応用したものには、ホール素子(磁気センサ)として、モーターの回転数の検出(回転物体に磁石を埋め込んでおいて電界の変化を読み取る)などのものがあります。導体よりも半導体の方が効果が大きく出るため、通常、商品化された素子としては半導体が用いられています。
 この現象の本質は、運動する電子(=電流そのもの。半導体ではホールも寄与)が磁界から受ける力(ローレンツ力)により、物質の片側に寄って流れるために、電子の密度が物体の側面の両側で異なることで起こるものです。

表皮効果とは
 (表皮効果を「物質と磁界・電流の相互作用」に分類することはちょっと無理がありますが、ここでは強引にここに入れています。)
Fig.HA0101_d 表皮効果
Fig.HA0101_d
表皮効果
 導線に交流電流を流すと、その周波数が高くなるほど、電流が導体の表面に近い所ばかりを流れるようになり、中心にはほとんど流れなくなる現象です。
 高周波になればなるほど、電流が流れる面積が小さくなるので、見かけ上、抵抗が増加したようになります。この効果を緩和するため、電流が大きく高周波が流れる送信機の出力段のコイルなどでは、中空のパイプを使ったり、表面に(高価ながら導電率の高い)銀をメッキしたりします。金メッキでも良いですが、それなりの厚さを付けなければならないとなると、相当高価です。
 流れる信号がGHzオーダーになると、実質上電流が流れているのは、表面から数十〜数[μm]程度しかありません(定量的な計算は専門的なページに譲ります)。このため、表面だけメッキしておけば、事足りるわけです。
 この現象はこれまで述べてきた電気現象と違い、外から磁界や電界を加えなくても起こり、なおかつ「抵抗分が増える」というありがたくない現象であるため、上に述べたような「対策」以外に、現象そのものを押さえ込むことはできません。
 なお、図には丸い断面の導線を書いていますが、断面がどんな形状であれ、この現象は起こります。プリント基板のような銅箔でも起こるため、マイクロ波を扱う基板に金メッキしてあるものがあるのは、上と同じ理由です。

 なお、上の説明に出てこなかった選択肢の「ピンチ効果」ですが、プラズマなど流体を流れる電流で、電流が大きくなるほど電流が流れる軸と直角方向に収縮力が働き、流路が狭められる(ピンチされる)効果を言います。
それでは解答に移ります。
 …これは圧電効果の説明ですから2誤りです
 …これはホール効果の説明ですから2誤りです
 …これは表皮効果の説明ですから2誤りです
 …これは磁気ひずみ現象の説明ですから1正解です
 …これはゼーベック効果の説明ですから1正解です
となります。