□ H20年04月期 A-07  Code:[HC0304] : トランジスタの電気的特性(周波数特性)
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12/31 12月期問題頁掲載
09/01 08月期問題頁掲載
05/14 04月期問題頁掲載
H2004A07 Counter
無線工学 > 1アマ > H20年04月期 > A-07
A-07 次の記述は、トランジスタの電気的特性について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。
(1) ベース接地回路の高周波特性を示すα遮断周波数fαは、コレクタ電流とエミッタ電流の比αが低周波のときの値より[A][dB]低下する周波数である。
(2) エミッタ接地回路の高周波特性を示すトランジション周波数fTは、電流増幅率βの絶対値が[B]となる周波数である。このときのトランジション周波数fTは、[C]ともいわれる。

3 3 占有周波数帯幅
3 1 利得帯域幅積
3 3 利得帯域幅積
6 1 利得帯域幅積
6 3 占有周波数帯幅

第1部 トランジスタの直流特性

 トランジスタの特性には、大きく分けて直流特性と交流特性がありますが、まず始めに直流特性について、まとめておきます。

[1]直流電流増幅率hFEとは何か?

 Fig.HC0303_a左のように電流を流します。この時、ベース電流IBに対して、コレクタ電流ICが何倍になるかを表すのがhFEです。この値は直流に対しての値ですが、交流に対しても同様に定義され、hfeと表記(この手の直流と交流のパラメータが存在するものは、添え字が大文字が直流で、小文字が交流の特性を示すことが慣例)されます。
 トランジスタは、ベースに流れる電流で、コレクタに流れる電流を制御する素子ですから、この値が大きければ大きいほど、小信号を大きく増幅できる、ということです。パワートランジスタで数10、小信号用トランジスタで数10〜1000程度の値です。ダーリントン接続タイプでは、hFEが数千〜数万になるものもあります。これらは通常、型番で区別はされていませんので、データシートで確認する必要があります。
 hFE(hfeも)は、コレクタ電流ICの大きさや温度によって値が大きく変化しますから、実設計上は注意しなくてはなりません。

[2](ベース接地の)コレクタ遮断電流ICBOとは何か?

 エミッタを開放し、ベースとコレクタに逆電圧(通常はベース−コレクタ最大電圧VCBO)を掛けた(Fig.HC0303_a右上)時に流れる電流です。
 ベースとコレクタで作られるPN接合をダイオードに見立てて、定格ぎりぎりいっぱいまで電圧を掛けた時の漏れ電流、ということになります。
 [1]ではコレクタ電流はベース電流とhFEで決まる、と書きましたが、厳密には、コレクタ電流にはこのICBOが加わったものになります。
 漏れ電流ですから、少ない方が良い特性、ということになります。温度変化による特性は、PN接合ダイオードの逆方向特性と同じです。ICBOは絶対温度に対して指数関数的に増大します。
Fig.HC0303_a トランジスタの直流特性
Fig.HC0303_a
トランジスタの直流特性
 このことは、温度が上がると漏れ電流が増える、ということですから、高温で使用する場合や、温度が大きく変動する場合は、注意しなくてはなりません。

[3](エミッタ接地の)コレクタ遮断電流ICEOとは何か?

 ベースを開放にして、(NPNの場合)コレクタに+、エミッタに−の電圧を掛けた時に流れる電流(Fig.HC0303_a右下)がコレクタ遮断電流ICEOです。もちろんPNPの場合は、この逆です。
 この電流も漏れ電流の一種ですから、ICBOと同様に温度で変化します。

第2部 トランジスタの交流特性

 次に、トランジスタの周波数特性を表すパラメータについて整理します。
 一般に、増幅素子は動作周波数を上げてゆくと、「ある周波数」まではほぼ一定の増幅度を保ちますが、それ以上では周波数が倍になると利得が6 [dB]落ちるという-6 [dB/oct]の特性を示すようになります。
 この周波数が高ければ高いほど、高周波まで増幅可能なトランジスタだ、というわけですが、具体的にいくらになるのかは接地方式によっても異なりますから、ある接地方式を決めた時にいくらになるか、ということで表します。
 また、どんどん周波数を上げて利得が1になってしまう(つまりその周波数以上では増幅器となりえない)周波数も存在します。

[1]α遮断周波数とは何か

 まず、αというのは、ベース接地の電流増幅率です。つまり、ベース接地回路でコレクタ電流/エミッタ電流の値です。
Fig.HC0303_b トランジスタの交流特性
Fig.HC0303_b
トランジスタの交流特性
(詳しくは別の問題で確認していただきたいのですが)αは直流又は低周波では1より少し小さい値です。周波数をだんだん上げて行くと、ある周波数でαが初期の値の1/√2(=70.7%)になり、この周波数をα遮断周波数といいます(Fig.HC0303_b上)。
 なぜ1/√2なのかは、後で説明します。

[2]β遮断周波数とは何か

 βというのは、エミッタ接地の電流増幅率(通常hFEに同じ)です。つまり、エミッタ接地にした時の、コレクタ電流/ベース電流の値です。これもαと同様に、周波数をだんだん上げて行くと、ある周波数で初期の値の1/√2(=70.7%)になりますが、この周波数をβ遮断周波数といいます(Fig.HC0303_b上)。
 ちなみに、この「遮断」という用語は、英語で言う「カットオフ周波数」の「カットオフ」から来ているものと思いますが、「遮断」というと、信号が通らなくなることと思ってしまいます。もうちょっと訳語がマシなものがないかと思いますが、この後に出てくるトランジション周波数と間違えないようにして下さい。
 ここで出てきた、αやβの遮断周波数は、平坦部(十分低周波領域)の値の3 [dB]落ちの周波数を言います。3 [dB]落ちというと、電圧又は電流の割合で表すと1/√2です。一方、電力の割合で言うと、1/2です。
 最近でこそギガヘルツサンプリングのデジタルオシロもありますが、高周波では、電圧や電流を直接波形で観測できることは少なく、それらの積分である電力で測定してきました。つまり、電力が測定の基準だったので、増幅器の高周波特性は「電力が半分」という基準で決められたわけです。
 問題では、6 [dB]という選択肢も現れます。6なのか3なのかを忘れると正解できないように出題されることが多いです。ここで書いたことをヒントに、3 [dB]落ち、を思い出して下さい。

[3]トランジション周波数とは何か?

 トランジション周波数は通常fTと書かれます。上のβ遮断周波数のグラフで、利得βが0 [dB](真数で1)になる時の周波数です。
 英語のトランジション(transition)は「遷移」という意味ですが、この周波数を境に、周波数が低い側では増幅器(利得>0 [dB])であったものが、これより高い周波数では減衰器(利得<0 [dB])に「遷移」する周波数(Fig.HC0303_b下)、と覚えておくと、忘れません。
 また、周波数と利得は反比例(周波数が倍で利得が半分、というのが6 [dB/oct]の意味)ですから、逆に考えると、周波数と利得の積は一定です。この積を「利得帯域幅積(GB積)」といい、オペアンプなどでも周波数特性を代表する値として利用しています
 例えば、10 [MHz]で利得が20倍のβが得られるトランジスタなら、利得が1倍となる周波数(すなわちトランジション周波数)は200 [MHz]となります。この200 [MHz]という値が、このトランジスタの「利得帯域幅積」ということになります。周波数が5 [MHz]なら、利得は40取れるな、ということがすぐに分かります。

それでは、解答に移ります。
 …α遮断周波数は平坦部の3 [dB]落ちた周波数です
 …トランジション周波数は、βが1となる周波数です
 …トランジション周波数は利得帯域幅積ともいいます
となりますから、正解はと分かります。