□ H20年04月期 A-19  Code:[HH0509] : 八木アンテナの構造と特性
インデックス
検索サイトから来た方は…
無線工学の基礎 トップ

以下をクリックすると、元のページが行き先に飛び、このウインドウは閉じます

 ■ 無線工学を学ぶ
 (1) 無線工学の基礎 
 年度別出題一覧
  H11年 4月期,8月期,12月期
  H12年 4月期,8月期,12月期
  H13年 4月期,8月期,12月期
  H14年 4月期,8月期,12月期
  H15年 4月期,8月期,12月期
  H16年 4月期,8月期,12月期
  H17年 4月期,8月期,12月期
  H18年 4月期,8月期,12月期
  H19年 4月期,8月期,12月期
  H20年 4月期,8月期,12月期
  H21年 4月期,8月期,12月期
  H22年 4月期,8月期,12月期
  H23年 4月期,8月期,12月期
  H24年 4月期,8月期,12月期
  H25年 4月期,8月期,12月期
  H26年 4月期,8月期,12月期
  H27年 4月期,8月期,12月期
  H28年 4月期,8月期,12月期
  H29年 4月期,8月期,12月期
  H30年 4月期,8月期,12月期
  R01年 4月期,8月期,12月期
  R02年 4月期,9月期,12月期
  R03年 4月期,9月期,12月期
  R04年 4月期,8月期,12月期
 分野別出題一覧
  A 電気物理, B 電気回路
  C 能動素子, D 電子回路
  E 送信機, F 受信機
  G 電源, H アンテナ&給電線
  I 電波伝搬, J 計測

 ■ サイトポリシー
 ■ サイトマップ[1ama]
 ■ リンクと資料

 ■ メールは下記まで



更新履歴
2022年
12/31 12月期問題頁掲載
09/01 08月期問題頁掲載
05/14 04月期問題頁掲載
H2004A19 Counter
無線工学 > 1アマ > H20年04月期 > A-19
A-19 次の記述は、八木アンテナについて述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。ただし、波長をλとする。
(1) 八木アンテナは、[A]アンテナの一種で、放射器、導波器及び反射器で構成されており、放射器の長さはほぼλ/2となっている。
(2) 指向性は、放射器から見て[B]の方向に得られる。
(3) 放射器の給電点インピーダンスは、導波器や反射器と放射器との間隔により変化するが、一般的な半波長ダイポールアンテナより[C]なる。


進行波 導波器 低く
進行波 反射器 高く
定在波 導波器 高く
定在波 反射器 高く
定在波 導波器 低く

 八木・宇田アンテナはその構造の単純さと利得の高さから、アマチュアでもよく使うアンテナです。この構造と動作の特徴を見て行きます。

[1]八木・宇田アンテナの構造と動作

 八木・宇田アンテナ(八木博士は発明、宇田博士は実用化研究により命名。以下、単に「八木アンテナ」とします)は、無給電素子(給電しない素子)を持つ指向性アンテナで、下記のような構造と特徴を持ちます。
項 目 特  性
構造・動作原理 ほぼλ/2の長さを持つ放射器(ラジエーター)に、λ/2よりわずかに長い反射器(リフレクター)、λ/2よりわずかに短い導波器(ディレクター)を前後に配置する。各エレメントの間隔はλ/4程度
指向性・偏波面 指向性:導波器の方向に単一指向性を持つ 導波器を増すと鋭くなる
偏波面:アンテナの設置方向で水平・垂直どちらも可
インピーダンス 特に整合を取らなければ20〜30 [Ω]
導波器・反射器の位置・構成に大きく依存
利得・実効長(高) 10〜16 [dBi]程度 導波器の数を増すと利得が上昇する
電流分布 導波器はλ/2ダイポールと同様。他のエレメントは導波器からの誘導電流が流れる
周波数帯域 共振形なので、ダイポールと同程度。エレメント間隔の最適化や放射器を折返しダイポールにしたりして広帯域化する
特徴・用途等  FMやTVの受信アンテナから、アマチュア・軍用まで、よく使われる。名称は、東北大の八木博士から取ったものだが、実用化研究は宇田博士が行なったため、正式には八木・宇田アンテナと呼ばれる。導波器の本数がある程度以上になると、大型になる割に利得の増加が大きくないので、同じアンテナを複数スタックにする方法で、ゲインを稼ぐ。アマチュアでは、交信相手が固定していないので、ローテーターが必要
 八木アンテナは、エレメント長・エレメント径・エレメント間隔など、利得や帯域幅、F/B比、インピーダンスに影響を与える変数を多く持ちます。このため、シミュレータのない時代にはアンテナメーカーで独自に、利得最適化・帯域最適化など、用途に応じた最適化を施したアンテナを製作していました。カメラのレンズの設計も似ています。しかし、今ではパソコンでもアンテナのシミュレーションが可能になったので、我々アマチュアでも、そこそこの特性のアンテナは製作することができるようになりました。
Fig.HH0509_a 八木・宇田アンテナの構造と特性
Fig.HH0509_a
八木・宇田アンテナの構造と特性
 また、他の多素子の水平面内の指向性アンテナの基本形であり、エレメントがクロスのもの、ループのもの(キュビカルクワッドetc.)など様々に応用されています。

[2]八木・宇田アンテナの特性ポイント

 八木アンテナの特性をポイントに絞り、まとめておきます。

・エレメント長…短い順に 導波器<λ/2 放射器≒λ/2 反射器>λ/2
・エレメント数と利得…多い方が高利得だが、あまり多くても効果は薄い
・周波数帯域…定在波形なので広くない
・スタック化と利得…偏波と位相を合せスタックにすると利得が約+3 [dB]


それでは、解答に移ります。
 …八木アンテナは定在波アンテナの一種です
 …八木アンテナのフロントは放射器から見た導波器方向です
 …放射器のそばに導体があると、インピーダンスは低くなります
となりますから、正解はと分かります。