□ H20年04月期 A-22  Code:[HI0301] : 周波数帯による電波伝搬の違い(電離層波・地表波・直接波)
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2022年
05/14 04月期問題頁掲載
01/11 12月期問題頁掲載
2021年
10/17 09月期問題頁掲載
H2004A22 Counter
無線工学 > 1アマ > H20年04月期 > A-22
A-22 次の記述は、周波数帯ごとの電波の伝搬の特徴について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。
(1) 中波(MF)帯の電波の伝搬では、昼間はD層による減衰が大きいため電離層反射波はほとんど無く、主に[A]が伝搬するが、夜間はE層又はF層で反射して遠くまで伝わる。
(2) 短波(HF)帯の電波は、電離層波により遠距離に伝搬する。電離層の電子密度は、[B]の影響を受け季節や時刻によって変化するため、使用できる周波数も変化する。
(3) 超短波(VHF)帯の電波は、伝搬距離が短いときは主に直接波が伝わる。通常は電離層反射波は無いが、[C]での反射により遠距離まで伝搬することがある。


散乱波 地球磁界 F層
散乱波 太陽活動 スポラジックE層
地表波 太陽活動 F層
地表波 太陽活動 スポラジックE層
地表波 地球磁界 F層

 電波は自由空間では直進しますが、地球上の実際の伝搬では、山や建物などの反射物(障害物)があったり、電離層があったり、大気の屈折率分布があったりと、いろいろ変化に富んでいます。また、周波数によっても、これらの存在で電波の進み方が違ってくるので、ここでは周波数の低い順にまとめておきます。

[1]長波(300 [kHz]以下)・中波(300〜3000 [kHz])の伝搬

 物理で習う「波の性質」として、「波長が長いほど物陰にも回り込む」というものがあります。波長の長い長波や中波もビル影や山の陰などにも回り込むため、中波(AM)放送や、電波時計に利用されている、標準電波JJYの40 [kHz]や60 [kHz]といった周波数が使われています(標準電波が長波なのは、伝搬が安定しているという別の理由もあります)。
 長波は、波の性質として地表に沿って進む地表波の他、D層を突き抜け、E層で反射され伝搬します。周波数が低いので、E層内部までは入り込まず、表面反射に近い反射を起こします。そのため、E層での第二種減衰反射時の減衰)は非常に少なく、波長が数10 [kHz]程度までの超長波では、大地とE層の間で、導波管が構成されたような伝搬となり、非常に遠方まで伝搬します。また、D層での第一種減衰突き抜け時の減衰)は電子密度が低いほど小さいので、受信電界強度は夏よりも冬、昼よりも夜に強くなります。
 一方、中波はE層で反射されますが、D層での第一種減衰が大きい(Fig.HI0301_aの(2))ため、昼間は地表波(Fig.HI0301_aの(1))直接波(Fig.HI0301_aの(4))のみの伝搬となります。1.9 [MHz]バンドに出ておられる方は、夜中が稼ぎどき(Fig.HI0301_aの(3))です。このバンドのコンテストなどでは、ローカル局を取り尽くしてしまったら、昼間は昼寝していてもいいくらい、ほとんど何も入感してきません。
 放送では、中波のアンテナは打上げ角が大きいと、昼間は電離層に電力を食われてしまうだけ、夜間は混信を増やすだけです。なので、なるべく打ち上げ角が低くなるように実効高などを設定します。AM放送の送信所が見通せなくても放送が聞けるのは、地表に沿って進む地表波があるためです。

[2]短波(3〜30 [MHz])の伝搬

 アマチュアにも多数の割り当てがある、短波の伝わり方です。短波は主に直接波電離層波の利用になります。地表波は、減衰が大きいため、ほとんど利用できません。(Fig.HI0301_aの(5),(6))
Fig.HI0301_a 電波の伝わり方
Fig.HI0301_a
電波の伝わり方
 電離層波はほとんどの場合、E層を突き抜け、F層で反射されます。しかし、F層も時間(地方時)や季節によって電子密度が変化するため、使用可能な周波数は変化します。
 また、E層の減衰も時間・季節によって変化し、低い方のバンドではE層の第一種減衰が大きくて通信できないこともあります。1.9 [MHz]や3.5/3.8 [MHz]帯が昼間、近距離しか通信できないのもこのためです。
 電離層への入射角(の正割)も使用可能な周波数の上限を決める(正割法則)ので、距離によっても使用可能な周波数は異なります。
 超短波(VHF)帯ではよく知られたスポラディックE層sによる突発的な伝搬が24.5 [MHz]や28 [MHz]といった高い方の周波数で起こることもあります。
 電離層伝搬の、電子密度と使用可能な周波数との関係や、入射角と正割法則などは、他の問題の解説を参照して下さい。

[3]超短波(30〜300 [MHz])の伝搬

 通常、電離層は突き抜け(Fig.HI0301_aの(9))てしまいますので、主に直接波(同図の(8))が用いられます。中波や短波に比べて直進性が強いので、ビルや山陰には回りこみませんが、反射波回折波を利用して、見通せない所と通信が可能になることがあります。この他、空気の屈折率にムラがあると、その部分に当たった電波が散乱されたり、高さ方向の屈折率分布が逆転するとラジオダクトが形成されて、遠方まで伝搬したりと、不安定ながら、いろいろな伝搬モードが存在します。
 また、6〜7月頃に頻繁に現れるsスポラディックE層50 [MHz]や144 [MHz]の電波を反射(Fig.HI0301_aの(7))します。これも電子密度により、50 [MHz]程度では反射されますが、144 [MHz]では突き抜けてしまうことがあり、これも不安定で周波数によって通信できたりできなかったりします。

 まとめると、下記の表のようになります。
周波数帯 伝搬形態
中波
(0.3〜3 [MHz])
波としての性質:直進性は強くなく、影にも回り込む
主な伝搬モード:直接波又は地表波。電離層波は昼間減衰
昼夜・季節変化:D層の電子密度が低下(第一種減衰小)する夜間はE層反射で通信可能
短波
(3〜30 [MHz])
波としての性質:中波と超短波の中間
主な伝搬モード:直接波又は電離層反射波。地表波は減衰が大。ハイバンドではEs伝搬もあり
昼夜・季節変化:昼間はハイバンドの電離層波が強い(ローバンドはE層で減衰)。夜間はローバンドが強い(ハイバンドはF層突き抜け)
超短波
(30〜300 [MHz])
波としての性質:直進性が強く、反射波や回折波も利用可能
主な伝搬モード:直接波(Esにより、電離層波も可能)。その他、散乱・反射・ダクトなど
昼夜・季節変化:ほとんどない。Esのみは夏季(6〜7月)に頻発。Esは夜間でも出現する
 

それでは、解答に移ります。
 …中波の電波は、昼間は主に地表波が伝搬します
 …電離層の電子密度は太陽活動の影響を受け、季節や時刻で変動します
 …超短波の電波は、スポラジックE層で反射されることがあります
となりますから、正解はと分かります。