□ H20年08月期 B-05  Code:[HJ0601] : CM形電力計の動作原理と特徴、整合測定の方法
インデックス
検索サイトから来た方は…
無線工学の基礎 トップ

以下をクリックすると、元のページが行き先に飛び、このウインドウは閉じます

 ■ 無線工学を学ぶ
 (1) 無線工学の基礎 
 年度別出題一覧
  H11年 4月期,8月期,12月期
  H12年 4月期,8月期,12月期
  H13年 4月期,8月期,12月期
  H14年 4月期,8月期,12月期
  H15年 4月期,8月期,12月期
  H16年 4月期,8月期,12月期
  H17年 4月期,8月期,12月期
  H18年 4月期,8月期,12月期
  H19年 4月期,8月期,12月期
  H20年 4月期,8月期,12月期
  H21年 4月期,8月期,12月期
  H22年 4月期,8月期,12月期
  H23年 4月期,8月期,12月期
  H24年 4月期,8月期,12月期
  H25年 4月期,8月期,12月期
  H26年 4月期,8月期,12月期
  H27年 4月期,8月期,12月期
  H28年 4月期,8月期,12月期
  H29年 4月期,8月期,12月期
  H30年 4月期,8月期,12月期
  R01年 4月期,8月期,12月期
  R02年 4月期,9月期,12月期
  R03年 4月期,9月期,12月期
  R04年 4月期,8月期,12月期
 分野別出題一覧
  A 電気物理, B 電気回路
  C 能動素子, D 電子回路
  E 送信機, F 受信機
  G 電源, H アンテナ&給電線
  I 電波伝搬, J 計測

 ■ サイトポリシー
 ■ サイトマップ[1ama]
 ■ リンクと資料

 ■ メールは下記まで



更新履歴
2022年
05/14 04月期問題頁掲載
01/11 12月期問題頁掲載
2021年
10/17 09月期問題頁掲載
H2008B05 Counter
無線工学 > 1アマ > H20年08月期 > B-05
B-05 次の記述は、CM形電力計による電力の測定について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句を下の番号から選べ。
 CM形電力計は、送信機と[ア]又はアンテナとの間に挿入して電力の測定を行うもので、容量結合と[イ]を利用し、給電線の電流及び電圧に[ウ]する成分の和と差から、進行波電力と[エ]電力を測定することができるため、負荷の消費電力のほかに負荷の[オ]を知ることもできる。CM形電力計は、超短波帯における実用計器として、取り扱いが容易なことから広く用いられている。
 整合状態  擬似負荷  比例  静電結合  反射波
 誘導結合  受信機  能率  入射波 10 反比例

 CM形電力計、というのは、CM形方向性結合器という(便利な)素子を応用した電力計で、進行波と反射波を分離して計測できるため、SWR計を組むことができるものです。まずはその「方向性結合器」というのは何なのか、という所から入って行きます。

[1]方向性結合器とは何か

 SWRを測定する時、送信機からアンテナに向かう進行波と、不整合のためにアンテナから戻ってくる反射波同時に測定しなければなりません。普通、商用電源の電線にテスターを当てても、進んで行く電力と戻ってくる電力を別々に測定できる、なんてことはありませんが、無線の周波数あたりになってくると、「ある方法」を使えば比較的簡単に分離できるようになります。
Fig.HJ0601_a 方向性結合器の動作原理
Fig.HJ0601_a
方向性結合器の動作原理
 伝送線路中に挿入して、進行波と反射波にそれぞれ比例した出力を得る素子を、方向性結合器と言います
 Fig.HJ0601_aにその概念図を示します。上に書いた「ある方法」というのが、この方向性結合器を使った方法です。
 進行波は、ポート1からポート2に向かって流れます。反射波はその逆です。進行波電力の一部がポート4に現れ反射波電力の一部がポート3に現れます。
 伝送路1と伝送路2の間には、何らかの「結合部」があって、進行波や反射波の一部をそれぞれ取出す働きをします。
 このような素子が存在すれば、進行波電力Pfと反射波電力PrからVSWR(ρとする)から、
 ρ=[1+√(Pr/Pf)]/[1−√(Pr/Pf)] …(1)
でVSWRが求められます。
 ところで「そんな都合のいい素子、あるのか?」とお思いになると思いますが、それはこの後に書きます。

[2]CM形方向性結合器の動作原理

 CM形方向性結合器は、HFからVHF程度までの広い周波数範囲で使われている方向性結合器です。CMとは、容量性結合のCと、誘導性結合(相互インダクタンス)のMです。CだMだといっても何のことだか良く分かりませんから、回路の実例で話を進めましょう。
 Fig.0601_bの左にCM形方向性結合器の原理図、右に実際の応用を示します。
 原理図で、進行波は左から右に、反射波は右から左に流れるものとします。こうすると、図の真ん中にあるトランスに、進行波に比例した電流TmF、反射波に比例した電流TmRがそれぞれ重なって生じます。また、トランスの両側にあるコンデンサからはそれぞれ電流Tc1(負荷側)と電流Tc2(送信機側)が流れます。
 ここで、簡単のため、VSWR=1で反射波がない(ImR=0)とすると、進行波のみに着目(紫色の矢印)して、
Fig.HJ0601_b VHF程度までの方向性結合器
Fig.HJ0601_b
VHF程度までの方向性結合器
 VF=R1(Tc1+ImF)…(2)
 VR=R2(Tc2−ImF)…(3)
つまり、Tc2=ImFとなるように部品定数を選べば、(3)式はゼロになるので、負荷側の端子には進行波(電力の平方根)に比例した電圧が出てくるとともに、送信機側の端子には電圧が出ません。
 また、この回路は進行波に対しても反射波に対しても対称の形をしているので、ここまで書いたことは、反射波にも成り立っています。すなわち、進行波(電力の平方根)に比例した電圧が負荷側に反射波(電力の平方根)に比例した電圧が送信機側に、それぞれ出てくることになります。
 これを実際の回路に応用したのがFig.HJ0601_b右の回路で、トロイダルコアに巻いたトランスの両側にそれぞれ進行波の検波回路、反射波の検波回路を設け、電流計につなげば、クロスメータの出来上がり、というわけです。

[3]導波管の方向性結合器

 上記で書いたものは、集中定数の回路ですからマイクロ波では使えません。マイクロ波でSWRを測定するには、以下のような方向性結合器を使用します(マイクロ波帯では、この他にも様々な方向性結合器があります)。
Fig.HJ0601_c マイクロ波用の方向性結合器
Fig.HJ0601_c
マイクロ波用の方向性結合器
 Fig.HJ0601_cが導波管を用いた方向性結合器です。構造は簡単で、ポートAが送信機側でポートBが負荷側です。これにもう一本の導波管が「くっついて」おり、側面に2箇所穴が開いています。この穴の間隔は、管内波長の1/4となるようになっています。
 このように作ると、ポートDにのみ進行波に比例した電力が現れ、ポートCには進行波は出てきません。
 反射波がある場合は、ポートCにのみ反射波に比例した電力が現れ、ポートDには反射波は何も出てきません。
 ここでもまた、進行波に着目してみます。
 ポートAから2つの穴を抜けてポートDに至る2本の経路1と経路2は、その経路差がありません。経路差がありませんから弱めあうこともなく、ポートDに到達します。
 ポートAから2つの穴を抜けてポートCに至る2本の経路3と経路4は、経路2の方がUターンしている部分で、片道λ/4の2倍のλ/2の経路差を持ちます。経路差がλ/2であるということは、半周期ずれた正弦波の合成になるので、経路3と経路4の電波の強さが同じであれば、打ち消しあって何も出てこないことになります。
 このようにして、マイクロ波でも方向性結合器を構成することができて、SWRが計測できます。

それでは、解答に移ります。
 …CM形電力計は送信機とアンテナ又は2擬似負荷の間に挿入します
 …CM形電力計は、静電結合と6誘導結合を利用したものです
 …フィーダーの電流又は電圧に3比例する成分を利用します
 …CM形電力計は、進行波と5反射波の電力を同時に測定できます
 …反射波が分かることはSWR、つまり1整合状態が分かります
となります。