□ H20年12月期 A-19  Code:[HH0902] : 短縮形アンテナの電流分布とローディングコイルの位置、容量冠
インデックス
検索サイトから来た方は…
無線工学の基礎 トップ

以下をクリックすると、元のページが行き先に飛び、このウインドウは閉じます

 ■ 無線工学を学ぶ
 (1) 無線工学の基礎 
 年度別出題一覧
  H11年 4月期,8月期,12月期
  H12年 4月期,8月期,12月期
  H13年 4月期,8月期,12月期
  H14年 4月期,8月期,12月期
  H15年 4月期,8月期,12月期
  H16年 4月期,8月期,12月期
  H17年 4月期,8月期,12月期
  H18年 4月期,8月期,12月期
  H19年 4月期,8月期,12月期
  H20年 4月期,8月期,12月期
  H21年 4月期,8月期,12月期
  H22年 4月期,8月期,12月期
  H23年 4月期,8月期,12月期
  H24年 4月期,8月期,12月期
  H25年 4月期,8月期,12月期
  H26年 4月期,8月期,12月期
  H27年 4月期,8月期,12月期
  H28年 4月期,8月期,12月期
  H29年 4月期,8月期,12月期
  H30年 4月期,8月期,12月期
  R01年 4月期,8月期,12月期
  R02年 4月期,9月期,12月期
  R03年 4月期,9月期,12月期
  R04年 4月期,8月期,12月期
 分野別出題一覧
  A 電気物理, B 電気回路
  C 能動素子, D 電子回路
  E 送信機, F 受信機
  G 電源, H アンテナ&給電線
  I 電波伝搬, J 計測

 ■ サイトポリシー
 ■ サイトマップ[1ama]
 ■ リンクと資料

 ■ メールは下記まで



更新履歴
2022年
12/31 12月期問題頁掲載
09/01 08月期問題頁掲載
05/14 04月期問題頁掲載
H2012A19 Counter
無線工学 > 1アマ > H20年12月期 > A-19
A-19 次の記述は、1/4波長垂直接地アンテナ及び短縮形アンテナについて述べたものである。このうち誤っているものを下の番号から選べ。
1/4波長垂直接地アンテナは、大地の電気影像により半波長ダイポールアンテナと同じように動作する。
1/4波長垂直接地アンテナの場合、電波の放射に最も役立つのは、アンテナの頂部付近である。
短縮形アンテナの一つに、アンテナの中央部にローディングコイルを挿入したものがある。
アンテナの基部にローディングコイルを挿入した短縮形アンテナをボトムローディングアンテナという。
アンテナの頂部に容量冠や延長コイルを挿入した短縮形アンテナをトップローディングアンテナという。

 λ/4垂直接地アンテナの電流分布と、コイルやコンデンサによる短縮・延長の原理を復習しておきましょう。

[1]λ/4垂直接地アンテナの電流分布

 まず、1/4波長垂直接地型(いわゆるλ/4バーチカル)の電流分布をλ/2ダイポールアンテナのそれとの比較で見ておきましょう。Fig.HH0902_aがその説明図です。
λ/4垂直接地アンテナは、早い話がλ/2ダイポールアンテナを垂直に立てて、片方の極を接地したものと考えます。この時、大地を理想的な導体と仮定すると、地面の下に、長さも電流分布も同じの導線が仮想的に現れます。これを「電気影像」といいます。
 このようにして、片側を地球に持たせたダイポールアンテナとして動作するλ/4垂直接地アンテナは、その電流分布の形もλ/2ダイポールの片側と同じです。
(ただし、インピーダンスは片側がGNDと「ショート」状態のため、λ/2ダイポールの半分の約36 [Ω]となります。)
Fig.HH0902_a λ/4垂直接地アンテナの電流分布
Fig.HH0902_a
λ/4垂直接地アンテナの電流分布
 λ/2ダイポールの電流分布は、給電点で最大で、先の方に行くほど電流が減少するような分布ですから、λ/4バーチカルも先端では電流がゼロになります。つまり、電波は主にアンテナの低いところから放射されていることを意味します。

[2]長いアンテナエレメントを短縮する方法

 波長が長いと、高さが高くなって扱いづらいので、トップには容量冠(キャパシティハット)を付けます。中波の放送局などによく見られます。これは、大地との間に容量分を多く持たせることで、(この後に述べる)アンテナの等価回路上のキャパシタンス分を増やし、共振周波数を下げるものです。
 我々アマチュアではエレメントの途中には延長コイル(ローディングコイル)を入れます。アンテナのエレメントの等価回路は、一般に、電波を放射する「抵抗R」分と、共振周波数を与えるインダクタンス(コイル)のL分、それにキャパシタンス(コンデンサ)のC分が直列になった、直列共振回路で表されます。
 このうち、延長コイルはインダクタンス分を増やして、共振周波数を下げる働きをしますから、長いエレメントに替えたのと同じ効果を持ちます。つまり、短いエレメントを低い周波数で使う場合に用いますコイルに損失(抵抗分)がなければ、エレメントのどの部分に挿入しても効果は同じはずですが、実際にはコイルには抵抗分があるので、その位置によって得失が出てきます
 Fig.HH0902_bに種々のアンテナの短縮方法と電流分布のイメージを示します。
Fig.HH0902_b 長いエレメントの短縮方法
Fig.HH0902_b
長いエレメントの短縮方法
 コイルの持つ抵抗分(=電力損失)をを避けるため、電流が少ない頂点付近に付ける(トップローディング)のが電気的には有利ですが、エレメントが細いと頭が重くなってフラフラするので、しっかりしたエレメントが必要になります。
 一方、給電点付近にコイルを付ければ(ボトムローディング)、構造は安定ですが、電流が最大の場所にコイルを入れることになるので、エレメントの高い部分からの放射が減ってしまうとともに、抵抗分で高周波エネルギーが熱になってしまいます。センターローディングはその中間です。
 いずれの方法においても、程度の差はあれ、フルサイズよりは実効高が低くなってしまいますので、その分利得が低下してしまうことは避けられません。

それでは、解答に移ります(以下、λ/4垂直接地アンテナをVT=バーチカル、半波長ダイポールをDP=ダイポールと記します)。
 …VTの動作は、DPの片側のエレメントと同じなので正しい記述です
 …VTの電流分布は頂部に行くほどゼロに近いので、誤った記述です
 …中央部にコイルを入れたアンテナは存在するので、正しい記述です
 …ボトムローディングアンテナの正しい記述です
 …トップローディングアンテナの正しい記述です
となりますので、正解(誤った記述)はと分かります。