□ H20年12月期 B-03  Code:[HF0706] : 受信機における混変調の発生する原因とその対策
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2022年
05/14 04月期問題頁掲載
01/11 12月期問題頁掲載
2021年
10/17 09月期問題頁掲載
H2012B03 Counter
無線工学 > 1アマ > H20年12月期 > B-03
B-03 次の記述は、受信機における混変調について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句を下の番号から選べ。
(1) 混変調は、通過[ア]にある強力な妨害波(不要波)が到来したとき、回路の非直線性により、希望波が不要波の信号波によって[イ]されてしまうために妨害を受ける現象である。
(2) 混変調を減らすには、高周波増幅器や周波数混合器の[ウ]を良くするとともに、同調回路のQを[エ]して不要波を減衰させる。また、不要波が特に強力な場合には、アンテナ回路に[オ]を挿入して、不要波を減衰させるのも効果的である。
 小さく  変調  リプル  帯域内  ウエーブトラップ
 直線性  帯域外  大きく  増幅 10 負帰還増幅器

 コンテスト等で、非常に強い局が近くに出てきて交信を始めると、自局の受信波にも影響が及んでしまうのが「混変調」です。
 なお、以下の記述では、問題文中の「不要波」と「妨害波」を同じ意味で、また、単に「帯域」といった場合の意味を、「希望波を受信するために必要十分な周波数帯幅」ということにし、高周波増幅段や周波数混合器がその機能を持つ周波数範囲としての「帯域」は、そのように明記して用いています。

[1]混変調…強い局に自局の受信信号が変調を受ける

 この問題で問われている混変調は、以下のような条件で起こります。
  • 強力な周波数の局が現れている
     普通、妨害波が、自局の高周波増幅段の帯域内にあって、かつ、希望波の帯域外にある場合に起こります。相互変調が2局以上でしたが、混変調は1局でも起こります。
  • その局が振幅変調波を出力している
     全く強度が変化しないのなら、混変調は起こりません(別問題として、感度抑圧のような妨害は起こり得ます)。自局の受信している信号が、妨害局の振幅変調と同じ変調を受ける現象です。
 では、なぜこのような妨害が起こるかも含めて、もう少し詳しく見て行きましょう。
 Fig.0706_aに、受信(希望)波と妨害波の周波数関係の例を示します。妨害局の搬送波がfUc側波帯(の一方)がfUc+fs、受信波がfDとします。
 この時、受信機の高周波増幅段や中間周波増幅段が非直線性を持つ(ひずみが生じる)と、希望波が妨害波に変調され、fD−fsやfD+fsという成分が発生します。
 両側波帯が生じるのはAM変調と同じです。混変調で生じる妨害の強度は、妨害局と希望波の強度の2乗に比例することと、混変調は周波数に関係なく、バンド内どこでも起こることが特徴です。
Fig.HF0706_a 混変調の発生原理と周波数関係
Fig.HF0706_a
混変調の発生原理と周波数関係
 このように、高周波増幅段の帯域内で、かつ希望波の帯域外に強い局の信号が入ってくる、という日常有り得る状況で起こる妨害のため、厄介ですが、なるべく起こらないようにする対策はあります。それを次に見て行きましょう。

[2]混変調を軽減する方法

 混変調が生じる原因は、大きく以下の二つです。
(1) 妨害波が増幅回路等の帯域内で、かつ、希望波の帯域外にあること
(2) 妨害波が増幅回路等の非線形領域にかかるほど強力であること
 単純に、「非線形性をなくせばいいじゃないか」「妨害波を排除してしまえばいいじゃないか」ということができればことは簡単ですが、なかなかそうは行きません。Fig.HF0706_bを見ながら、各々について、現実的な対策を考えてみましょう。

(1-1) 受信帯域を最適化する
 ゼネカバ受信機能を持ったリグなどでは、高周波増幅器の帯域が広く、アマチュアバンド外の放送波等に感度を持っている場合があります。これでは混変調を避けられないので、アマチュアバンドのみを通すフィルタをかける等して、帯域外の不要な強力な電波を排除します。
 フィルタはアンテナと受信機の間に設け、高周波増幅に入る手前で、妨害波を除去します。
Fig.HF0706_b 混変調を軽減する方策
Fig.HF0706_b
混変調を軽減する方策
(1-2) ウェーブトラップを設ける
 (1-1)はアマチュアバンド外の妨害波でしたが、バンド内の妨害波に対しては、妨害波の周波数を選択的に除去するウェーブトラップが有効です。
 ただ、アマチュアの場合は相手も周波数が動きますし、自分も動くので、バンド内の放送波のような固定周波数ならいいですが、トラップの周波数も動かせないと不便です。このフィルタも、アンテナと受信機の間に入れます。
(1-3) 同調回路のQを大きくする
 Qを大きくすれば、目的の周波数以外の周波数の減衰度が大きくなる(Fig.HF0706_b右下)ので、妨害波の強度を下げることができます。
(2-1) 直線性を向上させる
 回路を構成している素子(特に半導体類)を吟味して、大信号入力にも直線性を保つ素子を選択する、等の対策です。直線性が向上すれば、大信号が入っても歪みにくくなる(Fig.HF0706_b左下)ので、混変調は軽減されます。
 但し、アマチュアでは、受信機内部を改造するか、リグを買い換えることになってしまいますから、あまり現実的ではありませんが、一応対策といえば対策です。最近の高価なリグは、この点を売りにしています。

(3) (番外編)アッテネータを入れる
 あまりにも弱い信号には役に立つ方法ではありませんが、現実的な解としては、これが最も確実ではないのかなと思います。上記に書いた、混変調妨害の特徴を思い出して下さい。混変調妨害の強度は、信号強度の2乗に比例します。
 ならば、受信機の信号が電圧で1/10(-20dB)になるアッテネータを入れると、信号強度は1/10になってしまいますが、混変調の強度はそれよりさらに1/10の1/100(-40dB)になります。こうなれば、音は小さいものの、混変調はほぼ起こらないレベルになると考えていいでしょう。

それでは、解答に移ります。
 …混変調は高周波増幅器の希望波の7帯域外にある不要波により起こります
 …希望波が不要波により2変調されてしまうのが混変調です
 …混変調は素子や回路設計で6直線性を改善すれば軽減します
 …同調回路のQは8大きくすると、帯域外の信号が減衰します
 …特定の周波数を減衰させる5ウエーブトラップが有効です
となります。