□ H25年08月期 A-01  Code:[HA0204] : 正負の2点電荷間の平衡点位置の計算(クーロンの法則)
インデックス
検索サイトから来た方は…
無線工学の基礎 トップ

以下をクリックすると、元のページが行き先に飛び、このウインドウは閉じます

 ■ 無線工学を学ぶ
 (1) 無線工学の基礎 
 年度別出題一覧
  H11年 4月期,8月期,12月期
  H12年 4月期,8月期,12月期
  H13年 4月期,8月期,12月期
  H14年 4月期,8月期,12月期
  H15年 4月期,8月期,12月期
  H16年 4月期,8月期,12月期
  H17年 4月期,8月期,12月期
  H18年 4月期,8月期,12月期
  H19年 4月期,8月期,12月期
  H20年 4月期,8月期,12月期
  H21年 4月期,8月期,12月期
  H22年 4月期,8月期,12月期
  H23年 4月期,8月期,12月期
  H24年 4月期,8月期,12月期
  H25年 4月期,8月期,12月期
  H26年 4月期,8月期,12月期
  H27年 4月期,8月期,12月期
  H28年 4月期,8月期,12月期
  H29年 4月期,8月期,12月期
  H30年 4月期,8月期,12月期
  R01年 4月期,8月期,12月期
  R02年 4月期,9月期,12月期
  R03年 4月期,9月期,12月期
  R04年 4月期,8月期,12月期
 分野別出題一覧
  A 電気物理, B 電気回路
  C 能動素子, D 電子回路
  E 送信機, F 受信機
  G 電源, H アンテナ&給電線
  I 電波伝搬, J 計測

 ■ サイトポリシー
 ■ サイトマップ[1ama]
 ■ リンクと資料

 ■ メールは下記まで



更新履歴
2022年
12/31 12月期問題頁掲載
09/01 08月期問題頁掲載
05/14 04月期問題頁掲載
H2508A01 Counter
無線工学 > 1アマ > H25年08月期 > A-01
A-01 図に示すように、直線上の点AおよびBに点電荷を置いたとき、AB間の点Pにおいて電界の強さが零になった。点Bの電荷の値として正しいものを下の番号から選べ。ただし、点Aの電荷は+Q [C]とする。
 +2Q [C]
 +4Q [C]
+√2Q [C]
 −2Q [C]
 −4Q [C]
問題図 H2508A01a
Fig.H2508A01a

 この問題を解くには、2つのポイントがあります。まず、クーロンの法則を理解していることと、次に「電界がゼロになる」という物理的な意味を理解していることです。

[1]電界がゼロになる、とは?

 まずはじめに、電界がゼロになる点、というのはそもそもどんな点なのかを理解しておきます。
 まず、電界というのは、ある電場の中に「単位正電荷(+1 [C]のこと)」を置いた時、その電荷に働く力で定義されます。電界が強ければ強いほど、その電荷に働く力は大きくなり、電界がゼロなら力は働きません。もちろん、働く力は電荷の量に比例し、負電荷なら力の向きが逆になるだけです。

[2]クーロンの法則で考える

 2つの正電荷AとBに挟まれた空間(電場)で、電界がゼロになる点をFig.HA0204_aのように考えてみます。
 この空間では、単位電荷がP点で受ける力は、Aからの反発力とBからの反発力になります。P点の電界がゼロだ、ということは、この2つの力の大きさが同じで向きが逆、ということです。
 「電界がゼロになる」ということと「力を及ぼすものが何もない」のとは意味が違うことにご注意下さい。ここでは「力を及ぼすものが2つあって、その力がつりあっているという点が、電界がゼロになる点だ」、ということです。
 それでは、クーロンの法則を使って、具体的に解いていきます。
Fig.HA0204_a 電界の平衡点
Fig.HA0204_a
電界の平衡点
 電界がゼロになる点をPとして、点PとAの距離をx[m] 点PとBの距離をd−x[m] とします(AB間はd[m])。
 P点に置いたQ[C]がAから受ける力FAとBから受ける力FBとは、大きさが等しいので、
 FA=FB …(1)
が成り立ちます。一方、クーロンの法則から、2つの電荷(ここではAとQ、または、BとQ)の間に働く力は距離の2乗に反比例しますから、比例定数をkとして、
 FA=kQAQ/x2 …(2) 
 FB=kQBQ/(d−x)2 …(3)
(1)に(2)(3)を代入して整理すれば、
 QA(d−x)2 = QB(x2) …(4)
(4)式の両辺の正の平方根(d>xは明らかだから、d−x>0)を取って、
 (d−x)√QA=x√QB …(5)
ですから、これをxについて解いて、
 x=d√QA/(√QA+√QB) …(6)
で、となります。

それでは、解答に移ります。
 求めたいBの電荷をQB [C]として、(4)式に、x=PA=1 [m]、d−x=PB=2 [m]、QA=Qを代入すると、
 Q・PB2=QB・PA2
 ∴ QB=Q・PB2/PA2=4Q
となりますから、正解はと分かります。
 これまで、類似の問題は、2つの電荷が与えられていて、その2つを結ぶ直線上で電界が零となる位置を求めるものでしたが、今回は、一つの電荷と電界が零の位置が与えられていて、他方の電荷を求めるものです。電界が零となることの意味を理解しておけば、どちらが出題されても、四則演算だけの計算になります。
 計算の得意な方なら、クーロンの法則のツボ(力が距離の2乗に反比例)さえ分かれば、以下のようにして暗算で求めることもできます。
 Aの電荷をQ、AP=1、BP=2とすれば、BはPからの距離がAの2倍ありますから、Bの電荷としては22=4倍、つまりBは4Qの電荷量がなければ同じ大きさの力となり得ません。
 なお、BがAと逆符号の電荷を持っていたとすると、AB間の直線上に、電界の強さが零となる点はありません。従って、選択肢のは最初から除外できます。