□ H28年12月期 A-19  Code:[HH0512] : コリニアアレーアンテナの構造と動作原理・指向性
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2019年
12/18 12月期問題頁掲載
09/02 08月期問題頁掲載
04/13 04月期問題頁掲載
H2812A19 Counter
無線工学 > 1アマ > H28年12月期 > A-19
A-19 次の記述は、垂直偏波で用いるコリニアアレーアンテナについて述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。
(1) 原理的に、放射素子として[A]アンテナを垂直方向の一直線上に等間隔に多段接続した構造のアンテナである。
(2) 隣り合う各放射素子を互いに同振幅、同位相の電流で励振する。
(3) 垂直面内では鋭いビーム特性を持ち、水平面内の指向性は、[B]である。

1/4波長垂直接地 全方向性
1/4波長垂直接地 8字形特性
垂直半波長ダイポール 全方向性
垂直半波長ダイポール 8字形特性

 コリニアアレーアンテナは、VUHF以上(特に波長の短いUHF以上)の周波数でよく見られます。垂直偏波で用いると、水平面内は無指向性となるので、携帯の基地局にも採用されています。

[1]コリニアアレーアンテナの動作原理

 アンテナの本を見ても、なかなかこのアンテナについて詳しく書いてある物は見当たらなかったのですが、分かった範囲で動作原理・特徴を見てみます。
Fig.HH0512_a コリニアアレーアンテナの特徴と特性
Fig.HH0512_a
コリニアアレーアンテナの特徴と特性
 コリニアアレーアンテナは、その名の通り、アレー(同じ素子がいくつも同時に動作する)アンテナです。正確には、コ・リニアで、コ=同一の、リニア=直線の、ですから、同一直線上にエレメントが並んでいる、というイメージです。
 Fig.HH0512_aにその概要を示します。この例では、同軸ケーブルを縦に並べた形状を想定していますが、世の中にはこのように「直列」のものだけではなく「並列」のものもあるようです。
 同軸ケーブルは、1つの段の電気長(真空中の波長×波長短縮率)でλ/2になるように製作します。
 一番先端の素子は、λ/4の点で短絡します。入力ポイント(先端エレメントの給電側の端)から見ると、λ/4の先端短絡の伝送線路は、インピーダンスが∞に見えますので、ここから先に電力は進行しません
 また、このアンテナは、共振を利用していますので、定在波アンテナで、進行波アンテナではありません。
 給電点にはラジアルを設けることもあるようです。各段はλ/2ダイポールと同じ電流分布で、アンテナ全体としては、λ/2垂直ダイポールが縦に並んでいる形になっています。入力インピーダンスは、給電点の位置で調整すれば、同軸の場合は50 [Ω]に整合できます。

[2]電波放射はコモンモード電流

 同軸ケーブルタイプの場合、電気長λ/2ごとに芯線と外側導体を交互に入替える形で接続します。少し難しい話になりますが、この芯線と外側導体が入替わるポイントでは、給電された不平衡(ノーマルモード)電流が平衡(コモンモード)電流に変換され、放射に寄与します。EMC等で不要輻射を抑え込むため、忌み嫌われるコモンモード電流が、ここでは主役なのです。

[3]コリニアアレーアンテナの指向性・利得

 上で、λ/2垂直ダイポールが縦に並んでいる、と書きましたが、このように配列すれば、指向性は水平面内が無指向性、垂直面内が8の字特性となります。段数を重ねるほど、垂直面内の指向性は鋭くなります(これは、アンテナを縦にスタックにした場合と、理由は同じ)。ただ、段数があまり多いと、先端に近いエレメントからの放射は減りますので、限度があると思われます。利得も、段数が多くない範囲では、段数におおよそ比例します。
 下記に、コリニアアレーアンテナの簡単なまとめを表にしておきます。

コリニアアレーアンテナ(Fig.HH0512_a)
項 目 特  性
構造・動作原理 一般に市販されているものは、同軸ケーブルをλ/2ごとに外部導体と内部導体を交互に接続した構造のもの。入力された平衡電流(ラジアルで、同軸の不平衡電流をカットして平衡電流のみにしている)を各同軸の接続点で位相反転&電波放射に寄与する不平衡分に変換し、電波が放射される。最上段エレメントは接続点からλ/4の所で内部・外部をショート
指向性・偏波面 指向性:水平面内は無指向性 垂直面内:8の字
偏波面:垂直
インピーダンス 給電点の位置調整による
利得・実効長(高) 0.6×段数 [dBi]程度
電流分布 λ/2の1素子中では、ほぼλ/2ダイポールと同じ
周波数帯域 λ/2ダイポールと同程度
特徴・用途等  水平面内の無指向性が要求されるアンテナで、GPや垂直ダイポールでは利得が足りないために、多段にして垂直面内のビームをしぼり、利得を稼いでいる。アマチュアではVHF・UHFで良く使われる他、携帯電話の基地局にも使われている(通常はレードーム=風雨からアンテナを保護するカバー=が付いているので、アンテナ本体は見えない)
 

それでは、解答に移ります。
コリニアアレーアンテナは、垂直半波長ダイポールアンテナを縦に並べた構造です。
コリニアアレーアンテナの水平面内の指向性は、全方向性(無指向性)です。

従って、正解はと分かります。