□ H29年04月期 A-02  Code:[HA0903] : 電流素片が作る磁界の強さの公式(ビオ・サバールの法則)
インデックス
検索サイトから来た方は…
無線工学の基礎 トップ

以下をクリックすると、元のページが行き先に飛び、このウインドウは閉じます

 ■ 無線工学を学ぶ
 (1) 無線工学の基礎 
 年度別出題一覧
  H11年 4月期,8月期,12月期
  H12年 4月期,8月期,12月期
  H13年 4月期,8月期,12月期
  H14年 4月期,8月期,12月期
  H15年 4月期,8月期,12月期
  H16年 4月期,8月期,12月期
  H17年 4月期,8月期,12月期
  H18年 4月期,8月期,12月期
  H19年 4月期,8月期,12月期
  H20年 4月期,8月期,12月期
  H21年 4月期,8月期,12月期
  H22年 4月期,8月期,12月期
  H23年 4月期,8月期,12月期
  H24年 4月期,8月期,12月期
  H25年 4月期,8月期,12月期
  H26年 4月期,8月期,12月期
  H27年 4月期,8月期,12月期
  H28年 4月期,8月期,12月期
  H29年 4月期,8月期,12月期
  H30年 4月期,8月期,12月期
  R01年 4月期,8月期,12月期
  R02年 4月期,9月期,12月期
  R03年 4月期,9月期,12月期
  R04年 4月期,8月期,12月期
 分野別出題一覧
  A 電気物理, B 電気回路
  C 能動素子, D 電子回路
  E 送信機, F 受信機
  G 電源, H アンテナ&給電線
  I 電波伝搬, J 計測

 ■ サイトポリシー
 ■ サイトマップ[1ama]
 ■ リンクと資料

 ■ メールは下記まで



更新履歴
2022年
12/31 12月期問題頁掲載
09/01 08月期問題頁掲載
05/14 04月期問題頁掲載
H2904A02 Counter
無線工学 > 1アマ > H29年04月期 > A-02
A-02 図に示すように、直流電流I [A]が流れている直線導線の微小部分Δl [m]から45度の方向でr [m]の距離にある点Pに、Δlによって生ずる磁界の強さΔH [A/m]を表す式として、正しいものを下の番号から選べ。
 
 
 
 
 
問題図 H2904A02a
Fig.H2904A02a

 定常電流と磁界の関係を表す法則は、ビオ・サバールの法則とアンペールの法則です。電磁気学の教科書では、これらは「同じ物理現象を違う見方で見たもの」という風に書かれています。この問題はビオ・サバールの方です。

[1]ビオ・サバールの法則は微分形

 電流が磁界を作ることは、電磁石などで身近な現象ですが、この関係(電流が磁界を作ること)を定量的に表したものがビオ・サバールの法則と、アンペールの法則です。このうち、ビオ・サバールの法則は、Fig.HA0903_a左のような内容です。
Fig.HA0903_a ビオ・サバール=アンペール
Fig.HA0903_a
ビオ・サバールとアンペール
 無限に延びる直線状の電流Tの微小長さdlがあって、そこから距離rの点Pに作られる微小磁界dHは、
 dH=Idlsinθ/(4πr2) …(1)
 と表されます。θは点Pからdlのある部分までを結んだ線と電流がなす角です。
 dHの向きは、電流の向きに進む右ねじを回す向きです。(1)式は、電流上の微小部分の作る磁界です。無限遠に延びる電流のすべての部分が、P点に影響するのですが、当然、最も近くの位置の影響が大きく、距離の二乗に反比例して弱くなります。
 これは、(1)式の分母にr2があることでも明らかですが、同時に、直線ですから、遠くなればなるほどθが0やπに近づき、分子のsinθもほとんど0になります。
 全ての位置の微小電流の影響を「積分」という演算によって重ねあわせ、計算したものがアンペールの法則です。

[2]アンペールの法則は積分形

 アンペールの法則は、電流IからR離れた距離の磁界Hが、
 H=I/2πR …(2)
となるというものですが、これは式(1)をθについてπから0まで積分したものです。具体的な計算は掲載しませんが、電磁気の教科書にはほとんど出ていますので、そちらを参照して下さい。
 「無限に長い直線電流なんて存在しないのに、アンペールの法則((2)式のこと)なんて成り立つのか?」という疑問もあります。確かに厳密には実際の直線電流が作る磁界は(2)式とは違った値になるでしょうが、磁界の強さが電流のある位置からの距離の2乗に反比例するので、無限に長くなくても、そこそこ長ければある精度で近い値になるはずです。

それでは解答に移ります。
 この問題はビオ・サバールの法則をほとんどそのまま問うています。今回の出題までは、θ=90°しか出題されていませんでしたが、今回はθ=45°(π/4 [rad])ですので、解説を付けてみました。sinθ=√2/2ですから、(1)式にこれを代入して、正解はと分かります。