□ H29年04月期 A-24  Code:[HJ0103] : 電圧計の内部抵抗、電流計のシャント抵抗による測定誤差の計算
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2022年
12/31 12月期問題頁掲載
09/01 08月期問題頁掲載
05/14 04月期問題頁掲載
H2904A24 Counter
無線工学 > 1アマ > H29年04月期 > A-24
A-24 図に示す回路において、端子ab間の電圧を内部抵抗RVが900 [kΩ]の直流電圧計VDで測定したときの誤差の大きさの値として、最も近いものを下の番号から選べ。ただし、誤差は、VDの内部抵抗によってのみ生ずるものとし、また、直流電源の内部抵抗は無視するものとする。
1.2 [V]
1.4 [V]
1.6 [V]
2.2 [V]
2.4 [V]
問題図 H2904A24a
Fig.H2904A24a

 簡単な合成抵抗の問題なので、計算の得意な方なら暗算で解けてしまうかもしれません。ここでは、電圧計の内部抵抗と電流計の分流抵抗について、定量的に解析してみます。

[1]電圧計の内部抵抗と誤差

 Fig.HJ0103_aのように、抵抗R1とR2が直列になっている回路に、電源VDが接続されているとします。R2の両端に、内部抵抗RVの電圧計を当てて、電圧を測ろうという回路です。
Fig.HJ0103_a 電圧測定回路
Fig.HJ0103_a
電圧測定回路
 本来、理想的な電圧計ならRVが∞で、電圧計側に流れる電流IMが零になります。現実はそうはいかないので、有限のIMが流れ、その分、電源から流れ出る電流IDが増えて、R1での電圧降下R1Dが増加し、VLが低下します。この分が誤差ΔVとなります。
 そこで、まず、電圧計がない時の、真のVLであるVL0を求めてみます。これは、単に電源電圧VDをR1とR2で電圧分割するだけなので、
 
となります。
 次に、電圧計がある時を考えると、(1)式の2が、R2とRVの(並列)合成抵抗R2Vになった、と考えれば良いわけで、
 
となります。電圧計を接続した時のVLを上と同様にVL1と書けば、(2)式を(1)式のR2に代入して(ちょっと面倒な計算ですが)、
 
と求められます。電圧計の有無による誤差を知りたいので、実測定値VL1の真の値VL0に対する誤差EVを求めると(これまたちょっと面倒くさい式ですが)、
 
となります。通常は、R1,R2≪RVの状態で測定しますから、(4)式の分母の第1項は無視できます。
 上記が、「教科書的な」解き方です。この設定では、抵抗が3本あり、式が複雑です。実際の試験の場面では(4)式を導出している間に制限時間が来てしまいそうですので、実戦的には、R2とRVの並列抵抗R2Vを求め、R1との電圧分割比を求める方法で、誤差や誤差率を求めるのが賢明だと思います。

[2]電流計の内部抵抗と誤差

 電流計の場合も同様です。Fig.HJ0103_bのように、抵抗R1を電源VDに接続し、流れている電流を内部抵抗(分流抵抗)RSの電流計で測ろうというものです。
 理想的には、RSが零であれば、電流計は測定系に影響を与えませんが、それではメータMが振れませんので、Sは小さな抵抗値ながら、有限な値を持たなければなりません
 すると、元々R1だった回路全体の抵抗値がR1+RSに上がり、IDが減少するので、その分が誤差になります。
 電圧計の時と同様、まず、理想的にRSが零の時のIDであるID0を求めると、これは単に電源VDに抵抗R1が接続されているだけなので、
 ID0=VD/R1 …(5)
Fig.HJ0103_b 電流測定回路
Fig.HJ0103_b
電流測定回路
 次に、RSが零でない電流計を接続したとすると、回路の電流ID1は、
 ID1=VD/(R1+RS) …(6)
となりますから、実測定値の真の値に対する誤差EI [%]は、
 EI=(ID0−ID1)/ID0×100
  =(1−ID1/ID0)×100
  =[1−R1/(R1+RS)]×100
  =RS/(R1+RS)×100 …(7)
となります。通常は、RS≪R1となる電流計を選択して使いますから、その範囲では、
 EI≒RS/R1×100 …(8)
となります。電流計は、IM=0としているので、(4)式のような複雑なことにならずに済んでいます。

それでは、解答に移ります。
 電圧計の問題ですが、上にも書いたように(4)式をまともに導出してから値を代入して「きれいに」解こうとすると、時間ばかりかかるので、R2とRVの合成抵抗を求めてから、誤差を求めるのがよさそうです。
 まず、電圧計を接続しない時のab間の電圧VL0は、
 VL0=VR2/(R1+R2)=60×100/(100+200)=20 [V] …(a)
次に、電圧計を接続した時のab間の電圧VL1を求めます。最初に、R2とRVの合成抵抗RXを求めると、
 RX=R2V/(R2+RV)=100×900/(100+900)=90 [kΩ] …(b)
となりますから、(a)式を求めた時と同様に電圧分割比からVL1を求めれば、
 VL1=VRX/(R1+RX)=60×90/(90+200)=18.62 [V] …(c)
となりますが、この問題で問われているのは誤差の絶対値、つまり(a)-(c)の値なので、20-18.621.38 [V]で、が正解と分かります。