□ H29年12月期 A-14  Code:[HD0105] : 増幅器・減衰器等の入出力、利得(損失)、スプリアス規定等のデシベル計算
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2022年
05/14 04月期問題頁掲載
01/11 12月期問題頁掲載
2021年
10/17 09月期問題頁掲載
H2912A14 Counter
無線工学 > 1アマ > H29年12月期 > A-14
A-14 次の記述は、表に示すスプリアス発射及び不要発射の強度の許容値と、50 [MHz]帯F3E空中線電力10 [W]の送信設備の測定値との関係について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。ただし、表中の基本周波数の平均電力及び基本周波数の搬送波電力は、当該送信設備の空中線電力の値と等しいものとする。

(1) 上記送信設備の、帯域外領域におけるスプリアス発射の強度の測定値が50 [μW]であった。これは、許容値の1 [mW]以下である。また、基本周波数の平均電力10 [W]より60 [dB]低い値(許容値)は[A]である。よって、帯域外領域におけるスプリアス発射の強度の測定値50 [μW]は、許容値を[B]。
(2) 同設備の、スプリアス領域における不要発射の強度の測定値が1 [μW]であった。この場合、当該不要発射の強度の測定値は、許容値を[C]。
問題図 H2912A14a
Fig.H2912A14a


1 [μW] 超えている 超えている
10 [μW] 超えている 超えていない
100 [μW] 超えていない 超えている
1,000 [μW] 超えていない 超えていない

 問題の番号から言って、この問題は送信機の分類と意図されているようですが、中身は単純なデシベル計算です。H29年の時点では目新しい問題ではありますが、デシベル計算さえできれば難しい問題ではありません。

[1]指数・対数の復習

 まず復習がてら、指数と対数について確認した後、デシベルと真値の変換方法や、ちょっとしたコツなどを書いてみました。まずは指数・対数の復習です。「俺はこんなの知ってる」という方はいきなり解答まで進んでも構いません。
 A,Bがそれぞれ正の数、n,mが任意の数だとすると、

 log(AB)=logA+logB …公式(1)
 log(A/B)=logA−logB …公式(2)
 log(An)=nlogA …公式(3)
 n+m=An×Am …公式(4)
 nm=(Anm …公式(5)
電気の世界では通常、logは10を底(てい)とする、常用対数を使用します。すなわち、log10=1ということです。また、公式ではありませんが、特徴的な以下の数値は覚えておくと便利です。問題に良く出る数値で、最小限に止めておきます。
 0 [dB]=10log1
 3 [dB]≒10log2.0
 4 [dB]≒10log2.5
10 [dB]=10log10
20 [dB]=10log100
デシベル計算で使う公式・数値はこの程度です。覚える公式は数が少ない方がいいですから。公式(1)〜(5)までを覚えていれば、0dBや10の倍数のデシベル値は覚える必要はありません。この値だけでも、上の公式と組み合わせれば、かなりないろいろな数が作れます。

 例えば、ある系(アンプ・ケーブル・アンテナ・フィルタ…)があって、入力がA、出力がB(AやBは電圧や電流、または電力)だとすると、その系の「利得」(又は「損失」)G(デシベル)は、
 Ga=20log(B/A) [dB] …電圧または電流利得(損失)
 Gp=10log(B/A) [dB] …電力利得(損失)
と表されます。あとはAやBに問題で与えられた数値を入れたり、利得をかけたりして、AやBの中身が公式で簡単にできるなら簡単にしてから計算するだけです。なお、一般にAとBは同じ次元を持つ量でなければなりません。
 ちなみに、係数が20(電流・電圧)と10(電力)で違うのは、以下のような理由によります。電圧や電流などの「一次変量」の比率を表現するものと、「電圧×電流」、「電流2×抵抗」あるいは「電圧2/抵抗」のように電圧や電流の「二次変量」で表現される電力を、同じ利得を同じデシベル値で表現するためです。電流や電圧が一次の量で、電力が二次の量なので、電力の係数を電圧や電流の半分にしてやらないと同じ値にならないからです。
 また、増幅器やアンテナ等、比較する基準に対して大きく出力が出てくるものは、デシベル値が正の値になりますが、ケーブルや(受動素子のみからなる)フィルタ、減衰器等の入力に比べて出力が小さくなるものは、負の値になります。ただ、これも厳密なものではなく、例えば減衰器(アッテネータ)は入力より出力が小さいに決まっているので、わざわざ負の値で「そこの-10dBのアッテネータ、取って」などとは言いません。自由空間伝搬の減衰量なども、伝搬すれば電界強度も単位面積当たりの電力も小さいに決まっているので、マイナスは付けません。
 ですから、デシベルの値が出てきた時は、それが「増加」や「利得」のことを言っているのか、「減衰」や「損失」のことを言っているのか、に注意する必要があります。

[2]デシベルから真数への換算表

 では、下記に、私が考えた、デシベルから真数への変換について、簡単な計算とともにコツをまとめておきます。
デシベル 変換方法 真値
(電力)
1 [dB] 4-3 [dB]と考えると、公式(2)でA=2.5, B=2なので真値=2.5/2
1.25
2 [dB] 6-4 [dB]と考えると、公式(2)でA=4, B=2.5なので真値=4/2.5
1.6
3 [dB] 上記の通り(10log2.0
2.0
4 [dB] 上記の通り(10log2.5
2.5
5 [dB] 2+3 [dB]と考えると、公式(1)でA=2, B=3なので真値=1.6×2
3.2
6 [dB] 3×2 [dB]と考えると、公式(3)でA=2(10log2≒3), n=2なので真値=22
4
7 [dB] 10-3 [dB]と考えると、公式(2)でA=10, B=2なので真値=10/2
5
8 [dB] 2×4 [dB]と考えると、公式(3)でA=2.5, n=2なので真値=2.52
6.25
9 [dB] 3×3 [dB]と考えると、公式(3)でA=2, n=3なので真値=23
8
 
10 [dB]以上の値や、電圧・電流比のデシベル表示についても、同様に考えれば、様々な値に応用が利くことと思います。もちろん、この表を逆に使って、真値→デシベルの変換もできます。

それでは、解答に移ります。
 Aの選択肢は、問題文から「10 [W]より60 [dB]低い値」を求めるだけですから、
 10 [W]×10-60/10=10-5 [W]=10 [μW]
となります。この問題で問われているのは、全て電力ですので、青字の10の肩の部分を60/20としてしまわないよう注意して下さい。(これを間違えても、この問題にはAで見合う選択肢がないので、気付きますが…)
 さて、ここで、もう答えがと分かってしまうわけですが、残りの選択肢BとCについても確認しておきます。
 10 [W]の平均出力の送信機に、この「規格」を適用すると、Aで限度値が10 [μW]だというのですから、計測した50 [μW]は当然ながらこれを超えている状態です。
 さらに、スプリアス領域における不要輻射強度が1 [μW]というのは、表の文章から、基本周波数の搬送波電力より60 [dB]低い値(=10 [μW])と比較して、超えていないということになるので、やはり正解はで正しいことが分かります。
 デシベル計算に自信があれば、他の選択肢は見なくても答えが出てしまう問題の作り方ですが、前回(平成29年8月期)が難しかったようなので、「救済問題」かもしれませんね。