□ R02年09月期 A-01  Code:[HA0207] : 2つの点電荷を含む平面上の任意の点の電界の強わを求める計算
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2022年
12/31 12月期問題頁掲載
09/01 08月期問題頁掲載
05/14 04月期問題頁掲載
H3209A01 Counter
無線工学 > 1アマ > R02年09月期 > A-01
A-01 図に示すように、真空中で√2 [m]離れた点a及びbにそれぞれ点電荷Q1=1×10-9 [C]及びQ2=-1×10-9 [C]が置かれているとき、線分abの中点cから線分abに垂直方向に√2/2 [m]離れた点dの電界の強さの値として、正しいものを下の番号から選べ。ただし、真空の誘電率をε0 [F/m]としたとき、1/(4πε0)=9×109とする。
 3√2 [V/m]
 6√2 [V/m]
 9√2 [V/m]
12√2 [V/m]
15√2 [V/m]
問題図 H3209A01a
Fig.H3209A01a

 この問題が出題された2020年(令和02年)09月期は、新問の嵐でした。今迄、2つの電荷の問題と言えば、それら2つを結ぶ直線上で、電界が零(平衡)になる位置等、一次元で考えればよい問題でした。ところが、この問題は、二次元に拡張されています。より難しくなったと言えますが、電磁界をベクトルで捉える基本問題ですので、理解して臨みましょう。

[1]電界と力の関係

 詳しくは、電気物理の教科書に譲りますが、そもそも電界や磁界、というのは「力」を仲立ちにした定義です。具体的に言うと、ある場所での電界の強さや方向は、その点に単位電荷(1 [C])を置いた時に、どの方向にどれだけの大きさの力を受けるか、で定義することになっています。
 真空中で、原点Oに置かれた点電荷Q [C]が作る電界の大きさE [V/m]を考えます。原点から離れた場所Pで、原点の点電荷が生み出す電界の強さをE [V/m]とすると、Eは、
 
で表されます。ここで、ε0 [F/m]は真空の誘電率、d [m]は原点までの距離です。Eの向きは、Q>0なら原点から遠ざかる向き、Q<0なら原点に近付く向きになります。ε0は定数ですから、電界はQ(電荷量)と原点までの距離のみで決まると言えます。但し、方向には注意しなければなりません。

[2]電荷が複数あったらどうするか

 上記は、原点に点電荷が一つだけの場合でした。電荷が複数の場合は、どう考えればよいでしょうか?
 答えは簡単で、空間に(電界の元となる)電荷が複数あるなら、それらの影響を「全部足せばよい」のです。但し、単に「足す」といっても、電界はベクトルなので、「足す」のはベクトル量となります。
 Fig.HA0207_aで具体的に見てみましょう。点Aにある点電荷QA [C](QA>0)と点Bにある点電荷QB [C](QB<0)が点Pに作る電界P [V/m]を求めます。
 AP間の距離をdA [m]、BP間の距離をdB [m]とすると、QAとQBが点Pに作る電界の強さEA、EBは(1)を使えば、次式で求められます。
Fig.HA0207_a 2つの電荷が作る任意の点の電界
Fig.HA0207_a
2つの電荷が作る任意の点の電界
 
 
 但し、上で述べたように、電界は全てベクトル量ですから、EA、EBを単純に(算術的に)足すのではなく、ベクトル量として加算する必要があります。実際には、Fig.HA0207_aのように、APを結ぶ向きとBP間を結ぶ向きのベクトルの加算となりますが、それぞれの電荷の符号や大きさ、位置関係によって、答えとなるベクトルEPは変わってきます。
 電荷が3つ以上の場合も、考え方は同じです。

それでは、解答に移ります。
 図を見て分かりますが、凾р≠bノおいてda=dbで、∠adb=90°の直角二等辺三角形です。点cはabの中点、∠acd=∠bcd=90°です。
 そこで、凾рモ≠ノついて、ピタゴラスの定理から、dA=da=1 [m]、dB=db=1 [m]と求められます。
 (2)式と(3)式にQA=1×10-9 [C]、QB=-1×10-9 [C]、dA=dB=1 [m]、1/(4πε0)=9×109を代入して電界の強さEA、EBを求めれば、
 EA=9 [V/m], EB=-9 [V/m]
となります。EBの符号がマイナスなのは、電界がdからbに向いているからです。
 文章の説明で分かりづらく、申し訳ありませんが、電界ベクトルEAは線分abに対して+45°、電界ベクトルEBは線分abに対して-45°をなす、それぞれ長さが9 [V/m]のベクトル、ということになりますから、両者の合成ベクトルは線分abの向きで、
 EAcos45°+EBcos45°=9√(2/2)+9√(2/2)=9√2 [V/m]
となりますから、が正解と分かります。