□ R02年09月期 A-09  Code:[HC0305] : ダーリントン接続のトランジスタのhFEと個々のトランジスタのhFEの関係
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2022年
05/14 04月期問題頁掲載
01/11 12月期問題頁掲載
2021年
10/17 09月期問題頁掲載
H3209A09 Counter
無線工学 > 1アマ > R02年09月期 > A-09
A-09 図1に示すように、トランジスタTr1及びTr2をダーリントン接続した回路を、図2に示すように一つのトランジスタTr0とみなしたとき、Tr0のエミッタ接地直流電流増幅率hFE0を表す近似式として、正しいものを下の番号から選べ。ただし、Tr1及びTr2のエミッタ接地直流電流増幅率をそれぞれhFE1及びhFE2とし、hFE1≫1、hFE2≫1とする。
FE0≒hFE1+hFE2
FE0≒hFE1−hFE2
FE0≒hFE1FE2
FE0≒√(hFE1FE2)
FE0≒2(hFE12−hFE22)
問題図 H3209A09a
Fig.H3209A09a

 バイポーラトランジスタ(以下、トランジスタ)のhFEの意味を理解していれば、解ける問題ですが、今回(R02年9月期)が初出で、1アマの問題のついにこういった応用に近い問題が出るようになったのか、と感じました。今後、ダーリントン接続だけでなく、カスコード接続など、様々な、トランジスタの組合せ回路についても学んでおく必要があるかも知れません。

[1]ダーリントン接続とは

 2個のトランジスタを、Fig.HC0304_aのように接続した回路です。これから示すように、1個のトランジスタでは得られない、大きな増幅率を得ることができます。
 まず、1個のトランジスタの増幅についての数値的な復習です。直流電流増幅率hFEは、ベースに流れる電流の何倍がコレクタに流れるか、という指標です。図のようにバイアスがかかっているとすれば、エミッタに流れる電流はベース電流とコレクタ電流の和になりますから、エミッタ電流=(hFE+1)×ベース電流 となります。
 実は、この問題を解くのに必要な知識はこれだけです。後は、下に述べるような簡単な計算をして行くだけです。
 Tr1について、ベース電流、コレクタ電流、エミッタ電流をそれぞれIB1、IC1、IE1とすれば、上に述べたように
HC0304_a ダーリントン接続の解析
Fig.HC0304_a
ダーリントン接続の解析
 IE1=IB1+IC1=IB1(1+hFE1) …(1)
となります。同様にTr2についても、
 IE2=IB2+IC2=IB2(1+hFE2) …(2)
となります。回路図を見れば、r1のエミッタ電流出力がそのままTr2のベース電流入力となっていますから、
 IE1=IB2 …(3)
です。そこで、(2)式の右辺のIB2に(1)式の右辺を代入すれば、
 IE2=IB1(1+hFE1)(1+hFE2)=IB1(1+hFE1+hFE2+hFE1FE2) …(4)
となります。ここで、(4)式の右辺のカッコ内に着目すると、問題文の条件(hFE1≫1、かつ、hFE2≫1)より、
 IE2≒hFE1FE2B1 …(5)
となります。ダーリントン接続を、一つのトランジスタとして見た時の、「合成トランジスタ」としての直流電流増幅率hFE0は、
 hFE0=IC2/IB1≒IE2/IB1=hFE1FE2 …(6)
と求められます。
 この式から、ダーリントン接続の電流増幅率は、2つのトランジスタの電流増幅率の積にほぼ等しい、ということが分かります。

[2]ダーリントン接続のデメリット

 その昔、大電流(30Aクラス)のシリーズ型の定電圧電源を設計した際のことです。パワートランジスタのhFEは一般に数十と小さいので、このトランジスタの制御にオペアンプを使う(ベース電流の供給をオペアンプの出力でまかなう)ことを考えると、出力電流が数100 [mA}必要となり、現実的ではありません。そこで、ダーリントン接続にして電流増幅率を稼ぎ、制御可能にしたことがありました。
 ただ、メリットばかりではありません。
 トランジスタを2段直結するだけで、全体としての電流増幅率がそれぞれの電流増幅率の積になるので、小さな電流で大きな電流を制御でき、いいことずくめのように思えます。トランジスタを2個使うなら、2段の増幅段を構えるよりも、ダーリントン接続にしてしまった方が、段間の結合方法等に気を使わなくてよいようにも思えます。
 しかし、ベースバイアスに必要な電圧が、シリコントランジスタ1個なら、VBE≒0.7 [V]ですが、ダーリントン接続にすると、2倍のVBE≒1.4 [V]程度が必要になります。つまり、一箇所、ダーリントン接続を採用すると、そのために全体の電源電圧を高めにしなければならず、バッテリーで使う用途などでは、不利になる、ということがあります。

それでは、解答に移ります。
 この問題が問うているのは、ダーリントン接続を一つのトランジスタと見た時の電流増幅率ですから、(6)式が解答そのものとなり、正解はと分かります。